生活クラブの消費材10原則 消費を通して健康で安心な社会へ

生活クラブの消費材10原則

私たち、生活クラブと生産者は、共に対等な立場で消費材(*)を開発し、その共同購入を通じて“健康で安心して暮らせる社会”の実現をめざします。 消費とは生命が生まれて死ぬまでの過程そのものであり、何をつくり出し、選び、利用するかという私たちの行動によって未来の命と環境のあり方が決まります。 だからこそ私たちは、原材料の調達から生産、流通、消費、廃棄に至るすべての過程で安全・健康・環境を最大限に尊重し、ここに「生活クラブの消費材10原則」を定めます。

そして、関わるすべての人が主体的に参加する制度の下に、継続的に目に見える形でこの原則を追求します。

(*)生活クラブでは、取り扱う食品や生活用品を利潤追求が目的の「商品」ではなく、実際に使う人の立場にたった材であるという思いを込めて「消費材」と呼んでいます。消費材を通じて、生活の中にある課題の解決をめざしています。

SDGs(持続可能な開発目標)と消費材10原則

「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」とは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のこと。公正で持続可能な社会づくりに向けての目標が示されており、貧困や飢餓、教育やエネルギー、気候変動などのさまざまな分野を包括しています。世界共通の“ものさし”となるこのSDGsの考え方は、消費材10原則にも反映しています。

パリ協定と消費材10原則

地球温暖化対策の新しい国際ルールである「パリ協定」は、2016年に発効しました。世界の平均気温上昇を産業革命前の2℃未満(努力目標1.5℃)に抑え、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標にしています。生活クラブでは従来から温室効果ガス削減への取組みを推進してきましたが、消費材10原則はこのパリ協定も踏まえて作成しています。

消費材10原則は身近な消費材に活かされています。

「生活クラブの消費材10原則」は、消費材や取組みのひとつひとつに反映され、“健康で安心な社会”の実現の基礎となっていきます。消費材にどんな原則が活かされているか、その例をご紹介します。

食品添加物や農薬の使用を限りなく削減するとともに、独自の放射能検査を実施することで食品の安全を確かなものとします。人体や食品に直接触れるものへの化学物質の使用についても安全性を追求します。

たとえば...
生活クラブの野菜は、残留農薬が国の基準の10分の1未満、放射能も4分の1以下(生椎茸は2分の1)と厳しく定め、安全性を追求しています。

「あっぱれ育ち」や「はればれ育ち」など化学合成農薬と化学肥料の不使用や削減をさらにすすめた取組みもしています。

生命の倫理に反し、企業による種の支配を招く“食べ物の遺伝子操作”に反対します。原材料だけでなく、飼料などにおいても遺伝子組み換えのものは使わないことを基本とします。

たとえば...
生産者の協力のもと、消費材の原材料を遺伝子組み換えでないものに変える対策を行なっています。遺伝子組み換えの原材料が使われる可能性のある品目1,647品目のうち1,406品目が対策済みです。またそれ以外にも、肉・卵・牛乳などについては畜産飼料の非遺伝子組み換え(NON-GM)も実現しています。

共同購入を通じて、生命の産業である農業・林業・漁業・畜産業の持続力を高めます。飼料や原材料についても国内自給力の向上をはかり、持続できる生産体系と食料の安定確保、地域の環境保全に尽力します。

たとえば...
国内自給力を高める「循環型農業」の取組みを各地で広げています。提携生産地の山形県庄内地方は全国でもいち早く飼料用米の栽培を始めた地域で、その飼料用米を豚が食べ、排せつ物が有機肥料となって野菜や飼料用米を育むといった、国産資源の循環のしくみによって自給力を高めています。

原材料の生産環境における生物多様性や、生産に従事する人々の人権に配慮した責任ある調達をめざします。また、外国産原材料・海外産品にもフェアトレードとトレーサビリティを追求します。

たとえば...
インドネシアやベトナム産の養殖エビなど海外の生産物の場合も、現地に足を運び生産者との信頼関係を築くことを大切にしています。自然環境を壊さない養殖方法を選ぶなど、責任ある調達によって、現地の生産者の持続的な生産や経済的自立を支えるよう努めています。

*写真:現地のエビ生産者

人工的に精製された化学調味料には頼らず、素材本来の味を大切にします。そして、さまざまな食材をバランスよく食べる知恵や文化を共有し、健康で豊かな食を実現します。

たとえば...
生活クラブの餃子は、肉、野菜、調味料、皮に使う小麦粉まで、提携生産者の原材料を使った自然な味です。

市販のお惣菜の餃子のほとんどは、食品添加物である「調味料(アミノ酸等)」などが入っていますが、生活クラブでは食品添加物は不使用です。

“疑わしきは使わず”という予防原則に基づき、健康をおびやかし環境を破壊するおそれのある化学物質の使用を減らすとともに、環境への放出を削減します。

たとえば...
生活クラブでは、合成洗剤は使わずせっけんを使う活動をすすめています。せっけんは水で薄まると短時間で分解されるので、環境への負荷が少なくて済みます。組合員のせっけんの共同購入により、一般的な合成洗剤を使えば排出されていたはずの合成界面活性剤を年間140トン削減したことになります。(2017年度実績)

消費材の生産、流通、消費段階での3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進します。最終的に処分せざるをえない廃棄物を削減し、さらなる資源循環をめざします。

たとえば...
生活クラブの醤油、酢、みりんなどのびんは共通のリユースびんを使っています。このようにびんを回収して洗い、くり返し使うなど「グリーンシステム」の取組みにより、1 年間で計4,291トンのごみを削減しました。(2017年度実績)

消費材の生産から流通、消費、廃棄に至るすべての過程で排出する温室効果ガスについて、未来への責任を果たすべく、長期的な視野に立った数値目標をもって継続的に削減をすすめます。

たとえば...
CO2の排出量が多い物流や、生活クラブの事業所で、具体的な「CO2削減行動基準」を定めて省エネ等を行っています。施設の屋上に太陽光パネルを設置するなどの、CO2の排出を抑える取組みもしています。今後、生産者の施設での省エネや温室効果ガス削減にも取組みを広げる計画です。

*生活クラブ飯能デリバリーセンターの太陽光パネル(埼玉県飯能市)

安全・健康・環境に影響を及ぼす情報については、たとえ不利益につながる情報であっても、積極的に開示します。

たとえば...
消費材の原材料表示を包材だけでなくカタログやWEBにも掲載し、「わかって食べる」ことを大切にしています。

東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の懸念についても、放射能検査結果をデータベース化し、いつでもアクセスできるようにしています。2017年度は、9,100検体の結果を開示しました。

*ゲルマニウム半導体検出器

原材料の調達から生産、流通の各段階で独自の基準を定めて、自主的な管理と点検をすすめます。そして、共に学び、高め合うことができる制度を継続・発展させます。

 

たとえば...
組合員が生産現場を訪問し自主基準への到達度を確認(消費材Step Up点検)。

生産者だけでなく組合員自身がよりよい消費材づくりに関わるしくみがあります。1997~2017年度にかけて、合計1,174回実施しました。


 


組合員と生産者の代表が納得のいくまで検討を重ねました【原則検討委員会】

▲組合員と生産者が参加して行われた検討委員会の様子

消費材について追求すべき原則(「安全・健康・環境」生活クラブ原則)が1997年に定められてから20年あまり。このたび世界的な動きも踏まえてこの原則の内容を見直し「生活クラブの消費材10原則」(以下、「消費材10原則」と記す)としてバージョンアップし、2018年6月の連合総会で全文が最終決定しました。

 

生活クラブの理念を伝えやすい「消費材10原則」になりました

エスコープ大阪理事長 岡公美さん

今回これまでの原則を見直すにあたり、私が大事にしたいと思っていたのは、生活クラブの考えをきちんと押さえた上で「わかりやすく伝えやすいもの」にすることです。検討委員会でも、生産者の意見を聞いたり、「生活クラブらしさとは」を議論したり、各地の生活クラブからの意見を取り入れたりして、納得のいく議論を重ねることができました。最終的にできあがった「消費材10原則」は、今までよりもぐんとわかりやすく伝えやすいものになったのではないかと思います。

検討に先立って世界共通の目標であるSDGsなどの勉強もしましたが、今の世界的潮流は、生活クラブがすでに歩んできた方向と同じだと再認識しました。「消費材10原則」を生産者と共にすすめ、私たち自身の指針にするのはもちろん、生活クラブを知らないより多くの人へと自信をもって広げていきたいです。

 

「消費材10原則」を実践するこれからが本番です

㈱マルモ青木味噌醤油醸造場 青木幸彦さん

今回、この原則の検討に生産者の代表の一人として関わりましたが、嬉しくもあり責任重大とも感じました。生活クラブにはいろいろな消費材がありますが、どの生産者であっても、「消費材10原則」を実践していくのには大変な苦労が伴います。ですから生産者の代表として、「実際にこの原則を現場で実践するとしたら?」という具体的なことを会議では常に考えていました。

“健康で安心して暮らせる社会の実現”という生活クラブの理想と、現実とのギャップを埋めるためにも、「消費材10原則」を活かしていくべきだと思います。生産者の立場で言えば、この「消費材10原則」に基づいて実際に消費材を生産するところこそが肝心です。大局的な視点も忘れずに、この原則にのっとった消費材づくりを組合員と共に追求していきたいです。

 

「消費材10原則」をベースによりよい消費材を生み出すしくみ

「生活クラブの消費材10原則」は、よりよい消費材を生み出すための基本ルール。 この原則を実現するため、消費材の「自主基準」を組合員と生産者が一緒に考え、どれぐらい達成できているかを「消費材Step Up点検」で組合員が共に確認します。 こうした具体的なしくみのもと、お互いが向き合ってらせん階段を昇るように、消費材をよりよくしていくことができます。

「持続可能な生産と消費」推進制度と呼びます。


生活クラブでは、地域社会の中で暮らしていくために「Food(食べ物・生活用品)」「Energy(エネルギー)」「Care(福祉)」を自給し循環させる取組みをすすめています。「生活クラブの消費材10原則」は、この中の「Food」の分野の基本となる原則です。

★この記事は『生活クラブOPINION 2018年8月1回』の転載です。

【2018年7月17日掲載】