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よりよい消費材を目指して、「おおぜいの自主監査」が進行中です。

よりよい消費材を目指して、「おおぜいの自主監査」が各地で進行中です。

食品の品質管理では、有機JASやHACCP(ハサップ)など、さまざまな認証制度がありますが、中でも生活クラブの消費材のチェックのしくみは独特です。生活クラブでは消費材を直接調べに行く独自の監査制度を持っています。監査を第三者に任せる受け身の消費者ではなく、自分たちで責任をもって消費材をチェックしていく「おおぜいの自主監査」。2005年度には計67回行われ、2006年度も12月まで48回実施され、さまざまな生産者のもとを組合員が訪れました。

生産者と組合員が思いを共有する「おおぜいの自主監査」

 青森県は八戸市の陸奥湊。冬の薄暗さのなか煌々と光を灯すイカ釣り漁船が停泊し、北の漁港らしさを感じさせます。港の目の前、生活クラブの消費材「やりいか(加熱用)」の生産者であるぜんぎょれん八戸食品(株)の工場で、12月7日、「おおぜいの自主監査」が行われました。自主監査委員会の6人と、青森単協の3人の組合員、職員・生産者・見学者合わせて総勢20人以上が参加しました。  

熱心な監査

全員が白衣にマスク、白帽を着用し、手洗いとアルコール消毒、エアーシャワーで異物を落とすなど、工場の従業員と同じように徹底的にクリーンにして加工場に入場。やりいかをさばいて輪切りにする行程は、すべて手作業です。手さばきに感心しながらも、監査する組合員の表情は真剣そのもの。流水洗浄の水は井戸水なのか水道水なのか、洗濯洗剤には何を用いているのかなど、細かい質問が飛び交います。冷凍してパック詰めされた状態での異物チェックは、実際に利用する組合員にとっては関心の高いポイント。直径何ミリ以下の異物なら機械を通過してしまうのか、ウニの刺などの異物は、どんな経路で混入するのか、その対策は?といった質問にも、工場の担当者はていねいに説明していました。「おおぜいの自主監査」では、100項目以上の自主基準で消費材のレベルを確認します。事前学習会を経て生産現場の確認、質疑応答、意見調整、報告書の作成を行います。

一度水洗い
刺身の加工

工場見学後は、事前学習会で出た疑問に対する回答を確認。その後、見学を通してチェックしたポイントについてやりとりが行われました。 「自主監査登録基準で×になっていた資源管理については、きちんと取り組んでいることがわかった。○に訂正してもよいのでは」「衛生管理を徹底していることはわかったが、次亜塩素酸ナトリウムの消毒臭がきつかった。働く人の健康に影響を与えるのではないか」「生活クラブの組合員にとっては、合成洗剤は化学物質。アルキルベンゼン系の洗剤の不使用について検討してほしい」など、率直な意見が組合員から出されると、生産者側も「今後は、管理運用マニュアルをつくったり、労働環境の改善、せっけん運動に取り組むなど、具体的に検討していきたい」と答えていました。
  このようなやりとりが約3時間に渡って行われました。組合員の高い関心事である六ヶ所村の核再処理工場のアクティブ試験に対しても意見交換が行われ、今後、海洋環境を守っていくために一緒にできることを探っていきたいという点で一致しました。多摩きた生活クラブの鈴木さんは、「どんな質問にも真摯に答えていただいた。生産者、組合員と立場は違うけれど、消費材を通して同じ思いを共有していることがわかった」。生活クラブ青森の戸川さんは、「初めて自主監査に参加したけれど、たいへん勉強になった。青森でも今後、おおぜいの自主監査に取り組んでいけたら」と話していました。

消費材をレベルアップしていくための制度

異物混入チェック

 「おおぜいの自主監査」は、「安全・健康・環境」生活クラブ原則に基づいた「自主管理監査制度」の一環として、1997年にスタート。2005年度で生産者269団体、生活クラブ26単協がこの制度に参加しています。2005年までには、延べで390回の自主監査が行われ3,283人の組合員が参加しました。
  自主管理監査制度では、生産者と組合員で組織する自主管理委員会のメンバーが、農業・漁業・畜産・加工食品・生活用品・包装材など分野ごとに部会をつくり、自主基準を定めています。生産者はこの自主基準の項目に沿って情報を公開(自主基準登録)します。「おおぜいの自主監査」は、生産者が自主基準に沿って登録した内容と生産工程の実態と合致しているかどうか、組合員が事前勉強会を通して検討、現地に足を運んでチェックをするという、生活クラブ独自の監査のしくみです。生産者が自主基準の目標を達成すると、より高いレベルに基準を改定します。
  「生活クラブの組合員は、ただの消費者ではありません。使う人間が自分の使うものをチェックし、組合員と生産者の二者間でお互いに成長しながら、消費材をレベルアップしていくのです」と、生活クラブ連合会自主管理推進室室長の森泰見は話します。

消費材の価値がより身近に

話しあいの様子

「おおぜいの自主監査」は、一つの消費材につき約4カ月かけて行われます。自主基準登録をした消費材から監査対象を選定し、監査の1カ月前には事前学習会が行われます。監査の「まと」をしぼり、事前に質問事項をまとめておくことで、当日の監査がより有意義なものとなります。監査後も監査報告書の作成、監査後の活動など、やるべきことは盛りだくさん。それでも、参加した組合員の多くは「自分が取り組んでいる消費材のことを深く知ることができ、生産者とのつながりも密になる」と話します。ポイントの追求も厳しく、馴れ合いのない緊張感のある関係がかえってよい効果をもたらしているようです。
  東京23区南生活クラブの森田さんは、「監査を第三者に任せるのではなく、自分たちで責任をもってやることで、消費材の魅力について自信をもって語ることができます。今が完璧なのではなく、目標を共有しながら、互いに成長していけるところがいい」と、自主監査のおもしろさを語ります。
  「生活クラブの消費材は美味しい」という評価は、組合員と生産者の10年にわたる緊張感ある関係が支えているのです。