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全農、畜産生産者らと「畜産飼料対策協議会」をスタート!NON-GMO飼料の安全確保と飼料の国内自給に向けて動き出す。

全農、畜産生産者らと「畜産飼料対策協議会」をスタート!

牛や豚、鶏などの畜産飼料としてアメリカから輸入しているトウモロコシ、大豆粕(かす)の価格が今、急騰しています。このままでは国内の畜産が危機的な状況に陥ってしまう。こうした現状を踏まえ、生活クラブ、畜産生産者、全農による「畜産飼料対策協議会」が3月29日に発足、輸入飼料の対策や国産自給飼料への本格的な協議をスタートさせました。

輸入飼料の値段が高騰…日本の畜産が危機的状況に

 昨年9月前半は1ブッシェル(約25kg)あたり240セントだったトウモロコシの価格が、12月には370セント、そして今年3月には430セントを超えた。たった半年間で1.85倍も値上がりしました。この数字が何を意味しているかわかりますか。
   

とうもろこしシカゴ定期の推移
  *ブッシェル:米国の単位。大豆は1ブッシェル約27.2kg、トウモロコシは約25.4kg
  *セント/ブッシェル:とうもろこしのドル/メトリックトンを算出するには、上記数字に0.394を乗ずる。
  (為替117円として、240セント/ブッシェル≒11,000円/トン、370セント/ブッシェル≒17,000円/トン)

 

今、アメリカで生産されているトウモロコシの価格が急騰しています。背景には、中国などの経済成長や発展途上国の人口増で食料需要が増えているうえ、アメリカ政府による穀物への農業助成金の削減、そしてエネルギーを石油依存からバイオエタノールへと転換する政策が一気に推し進められたことにあります。バイオエタノールはトウモロコシなどからつくられた代替燃料として、二酸化炭素排出抑制にもつながると注目を集めています。アメリカのエタノール工場はここ5~6年で2倍以上の110箇所に増え、生産能力は年間約54億ガロンと3倍以上になりました(『日経ビジネス』1月22日号)。

NON-GMOトウモロコシ

アメリカではエタノールの原料となるトウモロコシの需要は高まる一方で、世界の穀物価格の指標となるシカゴ穀物取引所では、引き続き高値での推移が見込まれています。大豆も、トウモロコシに引きずられるようにして価格が高騰、9月の180ドル/トンから3月には210ドル/トンまで上昇しました。
  日本の畜産飼料は、その75%を海外からの輸入に依存しています。特にトウモロコシに関しては、ほとんどをアメリカから輸入しています。畜種で多少数値は異なるものの、生産原価のうち餌の割合は30%から50%近く。配合飼料の原料は約50%がトウモロコシ、20%が大豆粕、そして残りの30%をふすま(外皮や胚芽)や草です。
  餌の値段が高騰しますが、それに連動して食肉の市場価格が上がらない場合は、畜産農家の負担が急増します。反対に、餌の高騰に連動して食肉の市場価格が上昇した場合、価格の高い国産肉よりも輸入肉に走ることになります。いずれにしても、廃業に追い込まれる畜産農家が出てくることが予想されます。

それでも生活クラブはNON-GMOの旗を下ろさない

 さらに私たちに追い討ちをかけるのが、バイオエタノール利用によって、遺伝子組み換え作物(GMO)の作付けが増えていること。除草剤耐性や害虫耐性を持つGMトウモロコシは、NON-GMトウモロコシよりも3割ほど収量が多いと言われ、食品用途としては区分管理されていたGMトウモロコシも、燃料用ならばトレーサビリティを気にする業者もいないことから、どんどんGM作付けへの転換が進められているのです。現在、アメリカのGMトウモロコシ作付比率は61%ですが、今年度中に10%以上の比率増が予想されています。さらに、大豆はGM作付比率が89%で、9割以上になるのはもはや時間の問題です。
  生活クラブでは一貫して、飼料もNON-GMOを徹底しています。このままの状況では、アメリカでNON-GMトウモロコシを確保するのが難しくなるという見込みから、中国から輸入して豚肉に実験的に与えるなど、飼料原料の産地を分散するなどの具体的な取り組みを開始しています。
「NON-GMOの飼料を確保することは、今後ますます難しくなっていくでしょう。アメリカで残り少なくなったNON-GMO農家を死守するためにできること、中国の農家へNON-GMOの意義を伝えていくために何をしたらいいかを、今こそ真剣に考えていかなければなりません」と、生活クラブ連合会開発部畜産課長の赤堀和彦は気を引き締めます。
* GM=遺伝子組み換え、GMO=遺伝子組み換え作物・食品
* NON-GMO=遺伝子組み換えでない作物・食品
*PHF=ポストハーベストフリー。収穫後に殺虫剤などの農薬をしないこと。

PHF・NON-GMOとうもろしが日本の畜産農家に届くまで

●生活クラブの遺伝子組み換え対策については、コチラをご覧下さい。

今後、牛肉、豚肉、鶏肉を段階的に値上げ

 そんな畜産農家の生産原価を保障するために、生活クラブでは畜産品の値上げを検討しています。畜産業界には配合飼料安定基金といって、畜産農家や全農などが積み立てた財源と、国の補助金で飼料の価格を補填する制度があるものの、原料の価格が高いままなら段階的に補填が縮小され、いずれはなくなってしまいます。このような状況でも生産者が安心して畜産を続けていけるよう、飼料価格の上昇を反映し、生活クラブでは豚肉と鶏肉を今年の10月から、牛肉は11月から価格変更をすることを予定しています。国内で自給できる粗飼料の割合が多い鶏卵と牛乳については、当面価格を据え置きします。

国内の畜産を守るため、飼料の国内自給に向けて動き出す

 しかし、このまま外国に飼料を依存しているだけでは、日本の畜産の未来は不透明なままです。このままでは肉は輸入した方がよいと安易に走り、67%の畜産物自給率も右肩下がりになっていくことが予想されます。まさに「食べながら日本の農業を守る」という生活クラブの活動が正念場に来ていると言えます。
  それにはまず、NON-GMO飼料を安定的に確保すること、飼料の自給率を高めていくことが必要不可欠と考え、生活クラブ、生活クラブの主要な畜産生産者、そして全農と伴に「畜産飼料対策協議会」を発足させました。配合飼料設計の見直しや、GMO未承認国の中国、GMO承認国であるがNON-GMOの割合の高いアルゼンチンでの飼料調達の可能性を探るなど、輸入飼料の安定化を目指します。さらに生活クラブと遊佐町、平田牧場などで進めている飼料用米プロジェクトや、千葉県旭市で進められている稲発酵粗飼料の取り組みを強化するなど、国内で飼料を自給できるような取り組みを進めていきます。
  「安全・健康・環境」生活クラブ原則に基づいた生産、そして、何よりも美味しい。このように評価の高い生活クラブの肉の今後は、食べる側でもある私たちの選択に大きく委ねられているのです。

●「稲発酵粗飼料の取り組み」については、コチラをご覧下さい。

●1997年1月に採択した、生活クラブの基本的態度については、下記をご覧ください。

生活クラブ連合会の遺伝子組み換え作物・食品等に対する基本態度

                                            

1997年1月21日
生活クラブ連合会

1. 遺伝子組み換え技術によって生産された作物・食品およびその加工品の取り扱いを行わないことを原則とする。ただし、混入した事実が判明した場合、その情報を公開するとともに、該当消費材についてその旨を表示する。

2. 日本政府は、遺伝子組み換え技術によって生産された作物・食品およびその加工品等のすべてについて表示し、消費者の選択権を尊重すべきである。また、同技術がもたらす「環境への影響」「食料としての安全性」「食糧問題等への社会的影響」について、予測される事態も含めた情報公開をするべきである。

生活クラブ連合会は、上記事項を推進するため、関係生産者との連帯を強化する。また、内外・諸団体との協力を強めつつ対応を図るものとする。