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2007年度の遊佐町での作付け面積は130haに拡大!さらに面積の拡大、収量アップをめざす。

2007年度の遊佐町での作付け面積は130haに拡大!

中国などでの食料需要の増加やバイオメタノール生産の影響で輸入トウモロコシ等の価格が急騰する中、「飼料用米」が大きな注目を浴びています。 休耕田や転作した田んぼに水を張り、豚が食べる飼料用の米を育てることで、飼料の自給率向上を目指す---。生活クラブと遊佐町、平田牧場などによる「飼料用米プロジェクト」も、3年間の取り組みを終了しましたが、取組みを拡大していくことを確認し、新たなスタートを切りました。

2007年度は130haの田んぼで飼料用米がつくられます

 トウモロコシや大豆かすなど、畜産物のエサとなる輸入飼料が高騰している今、畜産農家の頭を悩ませているのが、エサの調達先。もし、近くの田んぼで収穫された米をエサにすることができれば、当面は豚や牛たちのごはんの心配をしなくても済みそう。通常の配合飼料に飼料用の米を10%混ぜて育った「こめ育ち豚」は、「やわらかい」「おいしい」と食べた人の評価も上々です。

米育ち豚しゃぶしゃぶ

「飼料用米プロジェクト」がスタートしたのは、2004年5月。持続可能な水田機能の保持、飼料の国内自給率向上などを目標に掲げ、生活クラブ、遊佐町の米の生産者、平田牧場、全農、山形大学ら各機関が連携して取り組んだ共同事業です。作付け面積は初年度の7.76ha(生産者21名)から2006年度は60.5ha(生産者111名)まで広がり、今年度は130ha、生産者も200名を超える勢いです。
「稲作農家としては、田んぼで大豆を育てるよりも、稲を植え付けるほうが満足するもんです」。そう語るのは、共同開発米部会会長の川俣義昭さん。遊佐町でも例に漏れず減反政策が進められ、多くの田んぼが大豆に転作したり、耕作放棄地や休耕田が目立つようになりました。飼料用米は同じ米でも転作と認められるため、技術や農機具を流用でき、水田の多面的機能も維持できるーー生産者や環境にとってもメリットが大きいプロジェクトなのです。

輸入飼料の価格、飼料用米の値段に近づく

 1俵(60kg)1万6,000円と、1トン2万円。飼料用米プロジェクトが始まった3年前、食用の米と飼料用の米の値段には、実に13倍以上の開きがありました。「栽培はこれまでにやってきた稲作の技術を応用すればいいので、特に難しいことはなかった。何といっても価格がいちばんのネックだった」。生活クラブの米の生産者で、遊佐町飼料用米研究会の今野進さんはそう振り返ります。
  初年度は台風と潮害が重なった影響で、1反(10a)あたりの米の収量は391kg。生産者が赤字を出さないギリギリの線が1反あたり1トンであることを考えると、非常に厳しい数字でした。省力化と生産コストの削減が、飼料用米プロジェクトの最大の課題となりました。
  栽培方法は、耕して代かきした水田に直接播種する「湛水直播」に一本化し、品種も当初の4品種から収量の多い2品種にしぼり、生産性を向上。堆肥は平田牧場の豚が排泄する尿を液体肥料として用いることで「土ー米ー豚」の資源循環を確立させ、トータルでのコスト低減をはかりました。
  その結果、昨年度実績で反収は平均574kgまで増加。最高収量は879.4kgと、目標の1トンに限りなく近づいてきました。「作付け面積も年々増えていることだし、将来的には、庄内で飼育されている平田牧場のすべての豚が“こめ育ち”にできるといいですね」と、生活クラブ連合会開発部農産課の椿宣彦は話します。
  飼料用米の価格は、1反(10アール)当り45,500円の産地交付金が生産者に支払われていることを前提に、1トンあたり4万円に設定されています。米の生産者が意欲をもって作付けできる、平田牧場にとっては飼料価格が安定している、そして組合員が常時購入できる価格帯、というバランスを考えて決定したものです。しかしこれは、3年前の価格設定当時、飼料用米の一般流通価格の2倍、輸入トウモロコシ価格の2.5倍でした。
  しかし、昨秋シカゴ市場で1万6,000円/トンだったトウモロコシの価格は、今年3月末で3万6,000円/トンに急騰(最近では反発)。現在、遊佐の飼料用米の値段に近づいているのです。「国産かつ安全な飼料をつくろうとしてやってきたことが、いかに先進性があったかがわかった」と、川俣さんは意気軒昂です。

飼料の自給率向上にわずかでも貢献!

 「飼料用米プロジェクトを通して、いくらかは国内自給率の向上に貢献できたんではないかなあ」。川俣さんら生産者の率直な感想です。2003年度の日本の飼料自給率は24.3%。そのうち、豚の主なエサとなる濃厚飼料の自給率は9.5%にすぎません。農林水産省が定める「食料・農業・農村基本計画」では飼料自給率を2015年度までに35%に引き上げることが目標に定められています。
  飼料用米プロジェクトの「100haの作付けで、反収1トン」の目標が達成されると、0.15%飼料自給率の向上に寄与することになります。これは一見、小さな数字ですが、少なくとも生活クラブの豚肉の飼料を海外に依存しきらないで済むことや、飼料の安全性を確保するという点から、とても大きな意味があります。
今後の課題としては、現在作付けしている「ふくひびき」「べこあおば」の2品種に加えて新たに多収が可能な種を実験栽培していくこと、さらなる生産コストの削減に向けた栽培方法の研究、家畜飼料として食品残渣(食品の製造工場や学校、ホテル、スーパーなどで発生する残りもの)を有効利用する「エコフィード」の調査、そして何よりも飼料用米の収量をアップし安定供給していくことが挙げられます。
  飼料用米プロジェクトは、当初の活動計画によって3年でいったん解散することになりました。しかし、今後も取り組みを継続していくことをプロジェクトメンバー全員が確認し、新たな組織を立ち上げることが決まりました。今後も、飼料の自給率向上を目指し、作付け面積の更なる拡大、飼料用米の収量アップや活用方法の研究を進めていきます。