生活クラブ活動情報

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消費材の検査機能が益々充実---従来の3倍の種類の農薬検査が可能に、遺伝子検査機器も導入!

私たちが「消費材の安全」を見張っています

 生活クラブの消費材の食品に含まれる残留農薬や微生物などを検査し、消費材の安全を保証する陰の監視役が、さいたま市にある「生活クラブ連合会検査室(*注)」です。この4月からはポジティブリストに対応し、従来の3倍ほどの種類の農薬検査が可能になりました。また。新たに遺伝子検査機器を増設し、遺伝子組み換え作物・食品の検査の準備も進めています。
(*)2007年4月より「生活クラブ連合会検査室」の部署名称は「品質管理部品質管理課」になり、「生活クラブ連合会検査室」は施設名称となりました。

残留農薬、微生物、合成抗菌剤の2万項目以上を検査

   JR東大宮駅からバスで約15分、埼玉単協大宮センターの2階には、生活クラブ連合会検査室があります。

生活クラブ連合会検査室(大宮センター)

  93坪ほどの検査室内部では6名の職員が、様々な検査設備の前で白衣に身を包んで検査に励み、まるで研究機関の実験室のようです。
  ここでは消費材の青果物中の残留農薬、加工食品中の微生物、畜肉に含まれる合成抗菌剤の測定、そして放射能汚染測定の斡旋を行っています。
  検査には、生産者から依頼を受けて行う「自主管理検査」と、「物流品検査」と呼ばれる流通の過程で行う消費材の抜き取り検査の二種類があり、2006年度には残留農薬は214検体(17,665項目)、微生物は1,024検体(2,750項目)、合成抗菌剤は23検体(314項目)もの検査を行いました。検査の結果に問題が認められた場合は「検査結果処理連絡票」という書類を発行し、連合会を通して提携生産者に生産工程の見直しや改善を求めるシステムです。より安全で確かな品質の消費材を生み出すため、検査室は生産者と組合員の間でチェック機能を果たす監視役でもあるのです。

想定外の危険を防ぐ、食の安全の“監視役”

 生活クラブグループに初めてこのような検査室を設けたのは1989年。当初は新生酪農(株)(千葉県長生郡睦沢町)の牛乳工場の一部を間借りして、工場職員3名が兼任で消費材の検査を行っていました。生活クラブ連合会品質管理部の槌田博は、次のように話します。

槌田博さん

  「もともと生活クラブでは、『消費材は生産者と組合員が直接提携する関係性の中で供給されているもの』という原則論から検査は不要、という考え方があったのです。しかし、生産者自身が気付かない原因で問題が発生することもあります。そこで、『組合員の目を補強する』という意味で検査室を創設することになったわけです」。
  実際、昨年の検査室の報告の中には、使っていないはずの農薬が青果物から検出されたという事例が何件かあります。その中には、使用農薬の新しい基準を生産者が知らずに従来の農薬を使い続けていたというケース、別の農薬を使っている商品とコンテナを共用していたために微量の農薬が移ってしまったというケースもありました。 「通常の検査機関に残留農薬などの検査を依頼した場合は、依頼した項目の検出しか行わないため、他の農薬が残留していたとしても見つかりません。ここでは検査項目以外にも、様々なことに目を配っています」と槌田は説明します。

手作業にこだわり、精度を保つ

 残留農薬の検査を担当する品質管理課の雨谷順子によると、検査作業はそんなに簡単ではないと言います。

農薬検査

  「たとえばトマトの残留農薬を検査するには、トマト5個からサンプルを切り取り、溶剤を加えて機材ですりつぶし、ろ化、凝縮、希釈などを約1日半繰り返して最終的に2ミリリットルの検体にします。この手作業による検体づくりに手間がかかるのですが、機械化するより検査精度が高いのですよ」。
  他生協の検査室などに比べると早い時期から多くの農薬成分を測定できる「ガスクロマトグラフ質量分析計」を導入し、なるべく多くの成分の検査を他検査機関よりも安く実施できるように務めている生活クラブの検査室。それでも一週間に検査できる量は、農薬7件、微生物22件、合成抗菌剤は月に3件ほど。農薬の成分の中には、高温で破壊されてしまうものや、含まれる栄養素と分子の大きさが似ていて判別が難しいものも多くあるのだそうです。想像以上に労力がかかる検査業務ですが、「いい消費材をつくるためのお手伝いができれば」(雨谷順子)と意欲的に話していました。

ポジティブリスト、遺伝子組み換えにも対応へ

 生活クラブ連合会検査室では、これまで約90種類の農薬成分が検査可能でしたが、この4月からはその3倍近くの約240種類を判別できるようになりました。2005年に改正された食品衛生法の「ポジティブリスト制」に対応するためです。ポジティブリストとは、規制されたものについてリスト化した従来の「ネガティブリスト」とは逆の考え方で、原則すべてを禁止とし、一部禁止されていないもののみをリスト化するというものです。

農薬検査

  ポジティブリスト制導入によってこれまで規制のなかった何百種類もの農薬も使用規制が生じたため、生活クラブも加盟している「全国生協商品検査研究会」では新たに300成分の農薬標準品を購入し、これを使用することによって検査報告できる成分数を飛躍的に多くすることができました。
  また、検査室では今年に入ってから新たに遺伝子検査機器を導入。現在は試験を重ね、遺伝子組み換え食品の検査の準備中で、“監視役”としての守備範囲はさらに広くなりそうです。
  さらに槌田はこれからへの意欲を次のように語りました。 「今年から生活クラブ連合会の中に『品質管理部』が創設され、検査室も品質管理部に入りました。これまでは、もし検査結果に問題があった場合に生産者対応する窓口は『開発部』だったのですが、それも品質管理部になりました。開発部は新たな消費材の開発やリニューアルを行い、品質管理部はできた消費材の品質の維持に責任を持って取り組みます。今後も必要な検査項目の拡充を行いながら、より有機的に消費材の品質維持に取り組んで行きたいと考えています」。