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国産なたね産地、北海道滝川市へ西オーストラリア州生産者が訪問

国産なたね産地、北海道滝川市へ西オーストラリア州生産者が訪問

 生活クラブの国産ブレンドなたね油は、オーストラリアの西オーストラリア州産なたね90%と国産なたね(青森県横浜町と北海道滝川市産)10%をブレンドしています。もちろん、どちらも完全にNON-GMO(非遺伝子組み換え作物)。6月6日、7日、西オーストラリア州の生産者が産地の一つ北海道滝川市を訪れ、両生産者が初めて顔を合わせ交流を深めました。組合員にとっても深刻な、各生産者の事情と今後の課題がはっきりと見えてきました。

二日間に渡り、交流、意見交換

二日間に渡り、交流、意見交換

「この水はどこから来るのか」「農家は水代を払うのか」。西オーストラリア州でなたねなど穀物を4,000ヘクタールの自家農場で栽培するロバート・セーウェルさんは、溢れんばかりの水路を見ては尋ねます。昨年、オーストラリアは歴史的な干ばつに見舞われ、東オーストラリアを中心に穀物生産が壊滅的被害をこうむりました。西オーストラリア州のなたね生産量も前年の63万トンから26万トンに激減。ロバートさんはやはり水のことが気になるようでした。 西オーストラリア州産NON-GMOなたねに大きく依存する生活クラブにも影響が及びました。輸入先である生産者組織・グレインプール社から契約量約4,000トンを確保することができましたが、「国産ブレンドなたね油」を値上げするに至った諸事情は、ホームページ上ですでにお知らせしたとおりです。
  今回、グレインプール社の販売担当マネジャー、ロブ・ディッキーさんと同社の元会長でもあるロバートさんを滝川市に招いたのは、生活クラブ連合会。「西オーストラリア州と滝川の生産者の橋渡しをし、世界の穀物情勢が厳しい中で互いの課題を共有するためのきっかけづくりがねらい」(開発部食品加工課課長・守屋馨)です。生活クラブ側からは3年に1回、西オーストラリア州に訪問団・なたねミッションを派遣し交流に努めてきましたが、西オーストラリア州から日本の産地を訪れるのは今回が初めて。
  この機会は、生活クラブの米(北海道江部乙米)、なたね・大豆・小麦・そばの産地である滝川との産地別推進協議会の日程に合わせて設けられました。6月6日は、JAたきかわ江部乙支店で全体会、米・その他穀物の2つに分かれての分科会の後、大豆、小麦、そばの圃場を見学。圃場でロバートさんが作付農家に肥料や農薬散布について熱心に質問していたのが印象的でした。
  夜は、たきかわ産アスパラづくしの創作料理を肴に、日豪関係者どうしの交流は大いに盛り上がりました。翌7日も、小雨模様の中を大勢でなたね生産農家、なたね圃場、とんぼの会の水田、ライスセンターを視察。この2日間で西オーストラリア州におけるなたね生産の現状も聞き、意見交換の機会を持てたことは大きな収穫でした。

輪作にはなくてならない作物

 生活クラブの国産なたね産地は現在、JAたきかわと青森県JA横浜町の2ヵ所。両産地の原料を搾り西オーストラリア州産とブレンドしている米澤製油社長の森田政雄さんは、「価格は高めでも、国産なたね油の評価は高まっている。今年は400トン必要なので、ぜひ作付面積を増やしてほしい」とJAたきかわに注文をつけました。ちなみに、昨年ブレンドした国産なたねは、JAたきかわ産250トン、JA横浜町産70トンの合計320トン。「国産100%なたね」も製品化したところ 評判は上々です。
  それに対しJAたきかわでは、「ここでのなたね栽培は、大豆、小麦、そば、ビートなどとの輪作体系の中で行われているので、急に作付面積を増やすことは難しいのが現状です」(特産部園芸畜産課課長・佐藤仁彦さん)といいます。横浜町でもなたねは、馬鈴薯との輪作作物として作られています。両産地とも穀物の輪作は、米の転作奨励策をきっかけに始まり、連作障害を避けるために同じ畑地で複数の作物を年々ローテーションさせていく、昔からある農法です。
  「なたね栽培は農薬散布もしないで済むし、次の作物の施肥量がぐんと減るので、輪作になくてはならない作物なんです。ただ、今ある国の補助金がなくなると、コスト的に作り続けるのが容易でなくなります」。JA滝川のなたねのタネ生産農家、福田慎一さんは話します。
  実際、なたね栽培をコスト的に支えているのは、国の助成「高品質なたね産地確立対策事業」です。滝川市 経済部農政課主査の阪本康雅さんによると、「現在、国産なたね価格は1俵(50キログラム)4,300円ですが、生産者には4,166円が補助されています。補助金がなくなれば最低8,000円で買い取ってもらわないと、作り続けられないのが実情です」。
  その助成制度が平成2009年春からはなくなります。この制度は、2006年3月で終了した「なたね契約栽培推進対策事業」の後も国産なたね栽培に対する助成継続を生活クラブなどが農水省に要請し、3年間の期限つきで設置されたもので、この“猶予期間”に産地は補助金なしで「自立」できるようにすることが求められているのです。

GM栽培解禁への圧力高まるオーストラリア

  一方、西オーストラリア州でもNON-GMOなたね栽培に大きな不安要素が迫っていることが、グレインプール社のロブさんの報告からわかってきました。
  オーストラリアでは、国内消費者のGMOに対する抵抗感と輸出作物としての差別化から、2002年頃より全州で、商業的作物のGMO導入を凍結する政策を実施しています。ただし、州ごとで違いはあるものの2008~09年までの期限つき。西オーストラリア州では2009年まで。「昨年の大干ばつの後、農業者の強い要望でヴィクトリア州が2008年2月以降は凍結解除を検討すると表明しました。連邦政府、他の州もこれに続く動きが強まるでしょう」と、ロブさんは話します。
  GMOなたねは雑草や害虫に強く農薬散布量が減る、水消費が少ない、干ばつや塩害にも強いといった効能を信じ期待する農業者や卸・輸出業者による政治的圧力が、NON-GMOを望む大多数の消費者の声を凌ぐほど に強まっているようです。

生活クラブのなたね油を守るには

 西オーストラリア州が2009年以降、GMOなたね栽培の解禁に踏み切るかどうかは同年の選挙結果に左右されると言われます。いずれにせよ、オーストラリアでは今、GMO栽培に踏み切ることを前提に、GMOとNON-GMOを分別するためのマニュアル作りが進んでいるとのことです。
  滝川市での産地別協議会に参加した多摩南理事の若林 裕子さんは、「望むだけではNON-GMOを継続できない現実を知りました。分別しても交雑などのリスクがあります。西オーストラリア州までGMOになってしまったら、どうしたらいいのでしょう」と不安を語っていました。
  生活クラブ連合会開発部部長の田辺樹実は、今後について次のように話します。「国産なたねの確保にさらに力を入れていかなくてはなりません。滝川市と横浜町が継続的に生産できる保証費のようなものを上積みした価格で買い取る契約栽培的な形にしていくかどうかなど、再来年以降を見通して国産なたね協議会(注)で決めていこうと考えています」。国産を守り、NON-GMOを手に入れ続けるには、消費する側にも相当な覚悟が求められる時代が来てしまったことを、私たちは認識しなければならないようです。
(注)国産なたね協議会:生活クラブと生産者が連携して取り組んでいる国産なたね栽培およびなたね油生産・消費事業をより強化し発展させることを目標に、国の助成金なしでもこの取り組みが中長期的に継続できるよう関係者が策を講じていくための協議の場。
* 関連記事---「農協・生産者団体と共同発表--GMOフリーゾーンを宣言」

 

なたね圃場