生活クラブ活動情報

 活動情報一覧へ

松葉のダイオキシン調査を実施・23区南生活クラブ生協(東京)

23区南生活クラブ生協(東京)松葉のダイオキシン調査を実施

  東京23区では、これまで「不燃物」として分別回収していたプラスチックごみを2008年度から「可燃物」として収集し焼却処分する予定です。資源の有効利用にならないことと大気汚染を懸念した23区南生活クラブでは、この3月に松葉を使ったダイオキシン調査を組合員の手で実施し、7月14日、その分析結果の報告会を開催しました。

カンパで約130万円を集めて、調査を実現

松葉の採集

  プラスチックって、燃やしてはいけないものじゃないの?。素朴な疑問が今年3月のダイオキシン調査のきっかけになったと、23区南生活クラブ(東京)の尾澤和美さんは報告会で話しました。尾澤さんは「松葉のダイオキシン調査実行委員会」の一人です。今回の調査は廃プラスチック(使用後のプラスチック製容器包装など)焼却が東京23区で実施されると聞いた23区南生活クラブの組合員が、2006年秋に急遽企画したもので、焼却実施後の影響を把握するために焼却実施前の基礎データを確保しようと行われました。調査費用捻出のためにバザーや寄付の依頼などカンパで130万円ほどを集め、その結果、今回の調査が実現しました。
  7月14日、23区南生活クラブ主催の「2007市民がおこなう松葉のダイオキシン調査報告集会」(世田谷区・北沢タウンホール)には、生活クラブ組合員や市民団体55名が参加しました。

信頼性の高いデータを得られる松葉調査

報告会には多くの参加者が

 もともと松葉を使った市民によるダイオキシン調査活動を全国的に広めたのは、生活クラブでした。埼玉県所沢市で高濃度ダイオキシンが検出されて大きな社会問題になった90年代まで、行政による大気中のダイオキシン調査は一切実施されておらず、地域の安全を確かめる信頼できるデータは存在していませんでした。そこで、「市民参加でダイオキシン調査ができないだろうか」と、研究機関の門を叩いたのが生活クラブ連合会だったのです。
  生活クラブ以外の生協団体もこの調査に賛同し、1999年、松葉を使った市民によるダイオキシン調査が初めて全国規模で実施されました。翌2000年には、ダイオキシン類対策特別措置法が施行され、日本の焼却施設の排ガス規制がようやくスタートしたのです。
●1999年に実施した松葉ダイオキシン調査の結果は、コチラをご覧ください。

一見改善しているダイオキシン濃度、だが…

池田こみちさん

  「2007 市民がおこなう松葉のダイオキシン調査」の調査対象地域は、世田谷、大田、目黒、品川、江東、江戸川の6区、9エリアで調査の呼びかけに応じた約150名の組合員や一般の人々が採取地点としたのは、全部で236地点に上りました。
  今回調査の分析の結果、多数あるダイオキシン類の成分のうち最も毒性が高いPCDFとPCDDの成分の濃度は、1999年に最大値6.9ピコグラム(pg-TEQ/g=1兆分の1グラム)だったものが2.6ピコグラムへと減少。全体に大きく改善していることが分かりました。しかしこのデータを楽観的に捉えるわけにはいきません。松葉に蓄積されたダイオキシン類の量を大気中の濃度に換算した値の全国平均は、2005年度で0.051ピコグラム(pg-TEQ/立方m)。それと比べて今回最も数値の低かった世田谷区西部や品川区全域でも0.09ピコグラム、最も濃度が高かった江東区臨海地域では0.41ピコグラムですから、全国的にみると都内はとても高いことがわかります。
  この結果について(株)環境総合研究所の池田こみちさんは、報告会で次のように解説しました。
  「1999年に出された国連の発表は、世界のダイオキシン排出量の約半分は日本からというとてもショックなものでした。前回の1999年調査の後、日本でもようやく法律ができたことで、大気中のダイオキシン類濃度は全国平均で0.051ピコグラムまで下がりました。ですが、欧米都市部では0.01~0.02ピコグラム、農村部においてはさらに一桁以上も低い値が維持されています。日本はヨーロッパに比べれば5~10倍の値を示しており、まだまだ改善しなければならないのです」
●(株)環境総合研究所の「全国松葉ダイオキシン調査」のページは、コチラから。

焼却炉のある限り「ごみ」も「ダイオキシン」も減らない

 一般に大気中のダイオキシン類は、火葬場、農薬などの産業系発生源、たばこの煙、自動車の排ガスなどからも発生するとされています。しかし、今回の調査対象地域で検出されたダイオキシン類の化学的なパターンは、ほとんどがごみ焼却に由来していると考えられることが分析結果から明らかになりました。
  「早くから日本の焼却炉の多さは世界有数でした。1993年のごみ焼却施設数は、アメリカ148、カナダ17、ドイツ53に対して、日本は1,800以上もありました。今は規制強化で1,300にまで減少していますが、世界のごみの焼却処分率40%程度と比べ、日本は全国平均77%。いまだに非常に高い」と池田さんは話します。その背景には、処理施設を大規模化、高性能化させようと建て替えを促した旧厚生省の施策があるのだとも言います。
  「本来、資源はリデュース、リユース、リサイクルの順に扱われるべき。生活クラブでもびん容器の再使用を進めたり、回収したびんのキャップでごみ袋をつくったりして資源の有効利用に努力してきました。だから、今回の廃プラ焼却という動きはおかしいと感じています。環境に対して世間が敏感になっている今こそ、リサイクルをしっかりしたしくみにしていきたい。今後は、焼却しても安全なものをつくってもらえるよう製造者責任も追及し、行政への働きかけを続けていきたいと思います」。尾澤さんは報告会の中で意気込みを語りました。
  今回の分析調査は、あくまで基礎データの収集に過ぎません。2008年度から東京23区で廃プラ焼却が本格的に稼動した後に大気中のダイオキシン濃度がどう変化するのか。今後も注目しなくてはなりません。