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第34回庄内交流会

第34回庄内交流会「田んぼ」と「豚」そして「食の自給」とのつながりを見る・学ぶ

 「見て見て! 田んぼが一面に広がっているわよ」。「あれが鳥海山、きれいな姿ね」。飛行機から庄内平野の雄大な自然と美しい水田の風景を見下ろしつつ、憧れの地に舞い降りた64名の組合員たち。生活クラブの主要品目である豚肉とコメの「耕畜連携」や、庄内の循環型農業について学びを深める第34回庄内交流会が、7月25日~27日に開催されました。2日目の懇親会では国産飼料100%の「こめ育ち豚」が初披露されるなど、実り多い3日間となりました。

豚の飼育から解体・加工、そして“と畜”までを見る

  庄内は「生活クラブの食料基地」と位置づけられ、これまでにさまざまな先駆的な取り組みをしてきました。米の予約共同購入のシステムづくり、飼料用米の作付けや、平田牧場の豚の糞尿を有機堆肥として山形県内の生産者で分かち合うなど、産地全体が協力して食の自給と耕畜連携の循環型農業を志しているのです。今回の庄内交流会では、そのシンボルである「こめ育ち豚」をキーワードに、田んぼと豚、そして「食の自給」とのつながりについて学んでいきました。

ウィンナーの製造(太陽食品)

初日、加工肉の提携先・太陽食品の工場では、ウィンナーやベーコンを製造する工程を見学。その後、4,000頭の豚が肥育されている平田牧場の千本杉農場では、豚の感染症防止のためにバスの中から三元豚たちと対面しました。柵の近くまで寄って物珍しそうにバスを見つめる豚の愛くるしさに歓声が上がり、「どうして黒やブチなど毛の色が違うの?」など、さまざまな質問や感想が飛び交いました。豚舎から出る糞尿は農場内で完熟させて堆肥にします。「サラサラして意外と臭くないのね」。この有機堆肥は、生活クラブ山形親生会のメンバーに格安で提供されます。
  庄内食肉加工センターで豚がと畜解体され枝肉になるまでを見学した坂本潤子さん(さがみ)は、「食べること、生きることについて考えさせられました。食べることは、社会の仕組みとつながっているのね。山形では畜産が核となって循環型農業が成り立っていることがよくわかりました」と、しみじみ語っていました。 

評判上々の国産飼料100%の「こめ育ち豚」

平牧三元豚の見学

 旅の2日目、山形親生会の生産者たちが試食会を用意してくれました。この日、思いも寄らないプレゼントが待っていました。純米酒やワイン、せんべい、漬物などと並んで、なんと、国産飼料100%で育った「こめ育ち豚」が初めて披露されたのです。「甘みがあってやわらかい」「おいしい! かなりイケるんじゃないの」など、組合員の評価は上々。通常のこめ育ち豚は、飼料用米を10%混ぜた配合飼料を食べて育っていますが、国産飼料100%豚は、飼料用米が58%、小麦20%、大豆10%、米ぬか10%、その他2%がすべて国産で、米の割合が非常に高いのが特徴です。
「国産飼料100%こめ育ち豚が庄内交流会でデビューする」。このニュースを聞いて東京から駆けつけた生活クラブ連合会の加藤好一会長は、「4年前から平田牧場と遊佐町の共同開発米部会と一緒に飼料用米プロジェクトに取り組んできましたが、まさかこんなに早くアメリカでトウモロコシや大豆が高騰するとは予想外でした。飼料の自給率を高めるために生産者がこれほど大胆なチャレンジをしてくれていることは、まさに生活クラブの元気の源です。国産飼料100%豚はきっと新たな時代を切り開くだろう」と、興奮気味に話しました。

国産飼料100%の「こめ育ち豚」

 今、日本は畜産飼料の多くをアメリカに頼り、飼料の自給率はたったの25%。しかも、アメリカのバイオエタノール政策の影響で、今後もNON-GMOのトウモロコシを確保し続けるのは難しい状況に陥っています。そのため、少しでも国内の飼料自給率を上げるために、遊佐町では休耕田や耕作放棄地に畜産飼料用の稲を植え付ける飼料用米プロジェクトに取り組んでいます。4年経った今年は、230名が130haもの田んぼに作付けしています。100haの作付けで反収1トンが実現できれば(昨年度実績は平均574kg)、飼料の国内自給率を0.15%押し上げることに貢献できるのです。
  山形親生会の会長で平田牧場社長の新田嘉七さんは、「庄内交流会は、私たちにとっていちばん大切な場。組合員の方に毎年来ていただいているからこそ、食の安全を求めるお互いの思いが通じ合うんです。エサの問題は本当に大変で、国産飼料100%の豚はとても大きな実験ですが、これからもみなさんと一緒にチャレンジしていきたい」と、頼もしい決意を語ってくれました。

 

産地は一緒につくるもの

無農薬米の説明を聞く

 「庄内で生活クラブと提携している生産者は、持続可能な農業を目指し、なるべく農薬や化学肥料に頼らない農業に取り組んできました。平田牧場の会長や私の父は、昔は地域の中で変わり者と揶揄されたものですが、みなさんとともに歩んで今はもう40年近い。この思いを新しい世代につなげていくには、さらに次の10年を見据えていかなくては」。こう話すのは、野菜や漬物などを生産している月山パイロットファームの相馬大さん。「私たち生産者にとって、組合員のみなさんがOCR申込用紙に“1”と記入することがどれだけ大きな力になるか。安心な食べ物を求める人がいるからこそ、無駄な農薬を使わずに畑を耕せるのです」と力を込めます。
  組合員と生産者が一緒になって産地をつくってきた最たる例が、生活クラブの米どころ、遊佐町です。遊佐町で1,000軒ある農家のうち、500軒が生活クラブに出荷。さらに、2,100haある水田のうち、1,100haが減農薬(8成分)米である遊YOU米やはえぬきを栽培しており、減農薬の作付け面積は年々広がっています。無農薬実験米の栽培はもちろん、今年度から3成分米への挑戦も始まっています。JAの女性部のメンバーを中心に、町全体でせっけん運動にも長く取り組んでいます。
  JA庄内みどり遊佐町支店(当時、遊佐町農協)と生活クラブとの提携が始まったのは1971年。庄内交流会は、74年に田んぼや米の品質のチェック、人体に有害な農薬を使用せず有機質の肥料への転換を図っている実態を確認することを目的に開始されたのです。共同開発米部会長の川俣義昭さんは、「生活クラブとの付き合いが始まって36年。それこそ、“トレーサビリティ”という言葉が世に出る前から、我々は情報公開をしてきた。これから10年先を見据えれば、米の自由化や、飼料の高騰など、取り組まなければならない問題はたくさんあるけれど、それを組合員のみなさんと一緒に考えながらやっていけるのは本当に心強いこと」と話します。
  こめ育ち豚から始まって、無農薬の田んぼ、カントリーエレベーターまでひと通り見学し、さまざまな生産者との交流を2泊3日で駆け抜けた64名の組合員たち。副団長を務めた細川国子さん(横浜北)は、「私たち、お客さんじゃなくて同志なのよね。産直とは違い、産地と提携して一緒に消費材をつくっている関係なんだということがよくわかりました。庄内で見てきたことを、今後の活動につなげていきたい」と語っていました。

「こめ育ち豚」を誕生させた「飼料用米プロジェクト」についての詳しい情報はこちらをご覧下さい。
http://www.town.yuza.yamagata.jp/Contents/View.asp?BOXNO=3616

田んぼで記念写真