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「自給力向上」「安全の確保」に向け、「国産鶏振興協議会」を設立

「自給力向上」「安全の確保」に向け、「国産鶏振興協議会」を設立

  今、日本では“国産の鶏”が産んだ卵はどのくらい食べられていると思いますか? たった7%未満、93%以上の種鶏(注1)が外国から輸入されているのです。しかも、鶏が食べるエサもほとんどが外国から輸入されています。この状況を何とかしようと、生活クラブと生産者、育種、繁殖、流通の関係者がともに「国産鶏振興協議会」を立ち上げました。
(注1)「種鶏(しゅけい)」=採卵鶏の親

国産鶏種の維持、普及を目的に

会場の様子

 「アメリカのバイオ燃料政策による飼料の高騰、オーストラリアの異常気象など、日本の畜産業界は今、外国の情勢に大きく左右され厳しい状況にあります。生活クラブは卵から日本の食料自給のあり方を変えていきたい」。11月5日、生活クラブ連合会専務理事・福岡良行の挨拶で始まった「国産鶏振興協議会」の設立会。
  生活クラブの鶏卵の8生産者(会田共同養鶏組合、旭愛農生産組合、幾見養鶏、鹿川グリーンファーム、黒富士農場、常盤村養鶏農業協同組合、野地養鶏場、美濃愛農産直)、国産鶏を生産している後藤孵卵場と家畜改良センター・岡崎牧場、そして生活クラブ連合会と組合員の代表で組織された国産鶏振興協議会は、オブザーバーにJA全農たまごと農林水産省生産局畜産部の担当者を迎え、日本の鶏種(注2)を維持し普及することを目的に設立されました。
(注2)「鶏種(けいしゅ)」=鶏の品種
  「今までは産地点検の報告会で生産者が顔を合わせることはありましたが、エサの問題や国産鶏種の堅持など、生産者どうしが鶏卵にまつわる社会情勢、課題への共通認識を持ち、解決のために話し合う機会を持つのは初めてのことです」と話すのは、生活クラブ連合会開発部畜産課・鶏卵担当の八巻賢二です。

ごとうさくらのヒナ

生活クラブの鶏卵は、飼料のNON-GMO(非遺伝子組み換え作物)、PHF(ポストハーベストフリー)や開放的な鶏舎で育てるという点では共通しているものの、産地が全国にまたがることから飼育方法やエサの配合に特徴があります。こうした現状を踏まえ、協議会では生産者による作業部会を設け、採卵鶏(卵を産む鶏)の飼育方法や効率のよいエサの配合法、サルモネラ対策、また外国産のトウモロコシや大豆粕から国内自給飼料(飼料用米など)の割合を増やしていくなど、より美味しくて安全、しかも健康な卵を生産するために、議論や研究を重ねていきます。

 

種鶏の90%以上を外国資本に握られている

ごとうもみじのヒナ

  生活クラブで取り組んでいる卵は「ごとうさくら」と「ごとうもみじ」(*詳しくはコチラをご覧ください)。採卵鶏、種鶏(採卵鶏の親)、原種(祖父母)に至るまで、すべて国内産です。岐阜県の後藤孵卵場では原々種(原種の親)を持っているため、原種を再生産できる仕組みが確立されているのです。「これは、原種を外国から移入し、国内で交配している国産鶏とは違う、“純国産鶏”なのです」(後藤孵卵場・望月完ニ研究開発本部長)。  

後藤孵卵場の望月さん

今、日本では採卵鶏の種鶏の90%以上を外国の資本に牛耳られ、国産鶏は「さくら」と「もみじ」と他わずかな種類だけです。2005年のシェアはたったの6.1%です。もし鳥インフルエンザなど新たな病気で種鶏の輸入がストップしたら、日本で卵を食べられなくなる可能性もあるのです。後藤孵卵場の望月完二さんは、「世界の種鶏は外国のたった2社が独占しています。種があるからこそ、食の安全確保と国内自給率の向上が可能なのです」と語ります。
  2004年からは危機管理の一環として、後藤孵卵場で持っている原種を家畜改良センター岡崎牧場にも分散し、それぞれに系統を保持。そのほかにも育種技術を共有し、共同で研究を行うことで、新しい優良な国産鶏種の開発に取り組んでいるとのことです。
  さらに、岡崎牧場は、独自に開発中の純国産の卵肉兼用種「岡崎おうはん」(卵肉兼用種とは、卵を産んだ後は肉として出荷する鶏)について協議会の場で紹介しました。岡崎牧場の宮田透さんは、「これからは産卵性能も高く、かつ肉として美味しい鶏をつくり、資源の少ない日本で鶏を有効活用していくことが重要になる」と話しました。

自給飼料の拡大と追求の取り組みも

旭愛農生産組合の大松さん

 協議会では、鶏卵の生産・流通・消費の情勢についての確認も行いました。 「今年度に入って飼料の値段が上がる一方、鶏卵の市場価格は下がり続け、Mサイズの価格は170円を切る情勢です」とJA全農たまごの加藤訓康さんが報告。生活クラブでは「生産原価保障方式」で生産者が鶏卵を再生産できる価格を守っていますが、卵の利用率が下がると生産者は余った卵を一般市場に出さざるを得ず、それが経営を圧迫することになります。NON-GMO、PHFの飼料や育てかたにこだわった国産鶏の卵は、一般市場の価格で取り引きされると赤字になってしまうのです。
  この状況を改善するには、一般で販売されている卵と国産鶏の卵の差別化をはかり、鶏卵の価値を新たにつくり上げる必要があるのではないか。そう生産者から声が上がりました。常盤村養鶏農業協同組合の石澤直士さんは、「国産鶏は採卵率も悪くないし、肉も卵も美味しい。全農や行政も一緒になって、ぜひ国産鶏の市場をつくっていこう」と提案。旭愛農生産組合の大松秀雄さんは、「国産鶏を、次の世代に安心して食べ物を伝えていくひとつのモデルにしていきたい」と訴えました。生活クラブ連合会の福岡専務理事はこれを受けて「今日が、国産鶏を社会に広めていく出発点。生活クラブが先頭に立ち、他生協とともに大きな運動にしていく」と決意を述べました。
  今後、年に2回のペースで協議会を開催し、来夏には最重要テーマである国内自給飼料の拡大と追求に取り組みます。そのうえで、組合員がどのように鶏卵を利用していくか、価格も含めて検討していきます。