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「エネルギーの共同購入は"もう一つの経済"として重要」と評価

「エネルギーの共同購入は

  去る11月9、10日、モンブラン山ろく、フランスのシャモニーで第3回「モンブラン会議」が開かれました。正式名称は「社会的経済のための国際会議」。EU諸国を中心に協同組合、共済・市民団体などの実践家や理論家が集うこの国際会議で、生活クラブグループから北海道の「市民風車」の事業を発表しました。

ダボス会議に対抗する「モンブラン」

モンブラン会議の会議風景

 「グローバルな市場化を進めるVIPが集うダボス会議に対抗してモンブランの麓でと、3回目を迎えたのが『モンブラン会議』です。ヨーロッパの『社会的経済』のリーダーたちが世界に呼びかけて横のネットワークをつくろうという国際会合なのです」。今回のモンブラン会議に参加した生活クラブグループの市民セクター政策機構専務理事の米倉克良さんの説明です。
  「社会的経済」とは? 農協、漁協、生協、労組、信組といった協同組合、共済、NPOやNGOなどの非営利セクター・・・市場で利益を上げるためでなく、互助的に支え合い社会的な役割を果たすセクターが担う経済活動のことを言います。日本では耳慣れない言葉ですが、加入者どうしが共同して地域社会に貢献する事業を行う生活クラブもワーカーズ・コレクティブもまさにここに含まれ、実は日本でも馴染み深い領域なのです。
  ヨーロッパでは、排除されたり生きにくくなった人たちに必要とされるサービスなどを担うセクターとして、19世紀ごろ生まれた「社会的経済」という言葉が、1990年代後半、欧州を中心に再び注目され始めました。その研究や実践、そして制度も整いつつあり、国連にも影響を与えています。「第3セクター」(日本では自治体に代わって営利事業を行う会社を指すことが多く、かけ離れた意味になってしまいましたが)と呼ばれることもあります。
  生活クラブグループでは2004年の第1回目、2005年の2回目、そして今回と3回連続で会議に参加し活動紹介も行っています。前2回ではワーカーズの代表者が報告をし、「社会的企業」の実践例として注目を浴びました。

今回のテーマは持続可能な「エネルギー」

船橋奈穂美さん

 今回のモンブラン会議では初めて具体的なテーマが設定されました。地球温暖化問題を機に化石燃料やバイオ燃料のあり方が地球的課題となっているなかで「エネルギー」がテーマ。再生エネルギー関係者を含め、これまでで最高の約250人が集まりました。
  「社会的経済はエネルギー危機に対しどのような役割を果たすことができるのか」という全体的な問題設定であったため、生活クラブ北海道による「市民風車」実現への過程と現状を発表しました。代表として参加したのは生活クラブ北海道理事長の船橋奈穂美さん。「会議の主言語がフランス語、訳が英語なので苦労しましたが、他国の団体の実践例から学べることがいろいろありました」と話します。
  たとえば、フランスの酪農家が飼料を発酵させたバイオガスをバス燃料として利用しているという報告は、北海道でも可能性が探れるかもしれないと頼もしく思ったそうです。最も共感した事例は、ドイツ・フライブルク市の市民が資金を集めてサッカースタジアムに太陽電池パネルを取り付けたこと。公共施設に設置することで市民の関心を集め広めていくやり方に関心を持つと同時に、市全体が環境都市をめざすようになった一つのきっかけが1975年の反原発運動であった点に、「北海道の私たちの経緯と似ていると思った」といいます。
  フライブルク市では当時、近くに計画された原発建設に対し、市民による3万人規模の反対デモが繰り広げられ、その後はさまざまな市民団体と行政とが自然エネルギー政策を推し進め、環境都市として知られるようになりました。

チェルノブイリ、泊から「市民風車」へ

市民風車「はまかぜ」ちゃん

  船橋さんがモンブラン会議で発表した内容は、泊原発反対運動から「市民風車」を建てるまでの生活クラブ北海道、そして現在のNPO法人北海道グリーンファンドに至る市民運動と事業の展開についてです。
  生活クラブとエネルギー問題との関わりは、1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故で消費材のお茶が放射能汚染された件でした。おりしも札幌から70kmの泊村に原発建設計画があることを知った市民らによる道民投票条例制定の署名運動が起こり、100万筆を集めたにもかかわらず道議会は2票差で否決。その悔しさから、議会に自分たちの代理人を送り込む運動、「自分たちで使う電気を自分たちでつくろう」という新しい市民参加の提案型の運動へと転換が図られます。グリーン電気料金運動というものです。
  「これに参加する組合員を募り、月々の電気料金に5%を加えた金額を生活クラブの共同購入代金とともに支払い、その5%分を市民共同発電所『市民風車』建設のための『グリーンファンド基金』として積み立てる仕組みです」(船橋さん)。

市民による自然エネルギー事業

 99年当初60人でスタートした有志組合員は5年後に700人に。一般市民にも出資を呼びかけるため「NPO法人北海道グリーンファンド」を立ち上げ、寄付も含めて最終的に1億6,600万円を集めて2001年、ついに市民風車第1号「はまかぜちゃん」(浜頓別町)が建ちました。その後、「市民風車」をつくる動きが北海道・東北地方を中心に広がり、現在11基が稼動するに至っています。
  船橋さんは、「市民風車のような社会的企業が触媒となって再生エネルギーが社会に普及していけばいいなと思います。モンブラン会議でうれしかったのは、『エネルギーの共同購入という考え方はもう一つの経済として重要だ』と評価されたことで、自分たちの運動に自信が持てました」と話します。