生活クラブ活動情報

 活動情報一覧へ

果汁たっぷりで余分な添加物をカットしたジューシーフルーツミニゼリー

 茨城単協取手支部では2006年度から「みんなでTRY!」で消費材の開発をスタート。当初は「こんにゃくゼリー」の開発を目指していましたが、07年春の誤飲事故報道で方向転換。こんにゃくを使わないおいしいゼリーを完成させました。

市販品の添加物の多さにびっくり

 「みんなでTRY!」は、自分たちの欲しい消費材を組合員が自ら開発する、生活クラブならではの活動です。原材料の決定から包材、価格の決定まで、つまり開発の最初から最後まで組合員が行うのが大きな特徴。今回の開発は、茨城単協から新しい消費材として「こんにゃくゼリー」が欲しいという声が上がり、始まりました。なぜ「こんにゃくゼリー」が欲しかったかというと「手軽なおやつでヘルシーなイメージがあること、冷やして子どものお弁当に入れると保冷剤を兼ねたデザートとしてちょうどいいこと、などがありました」と、開発チームリーダーの古賀ひろ美さん。
  古賀さんを中心に「ぷるぷるチーム」が結成され、06年6月から月に1度のペースで集まって開発を進めていきました。まずは「こんにゃくゼリー」の市場調査をスタート。さまざまな市販品を買い集めて食べ比べ、生産者につくり方を聞く。この過程で、市販品には添加物が多いことがわかり、一つひとつの添加物がどのようなものか、なぜ使われるのかも自分たちで調べていったのです。
  「ここでこんにゃくゼリー独特のもちもちした食感はこんにゃくによるものではなく、ゲル化剤のカラギーナンによるものだとわかったんです。衝撃を受けました。こんにゃく粉を入れなくても固まるし、逆にこんにゃく粉だけだとかなり軟らかいものになることもわかりました」(ぷるぷるチーム・斉藤美子さん)

“業界の常識”をひっくり返す開発に

 カラギーナンは生活クラブの自主基準で禁止されている添加物。発がん性が疑われていることもあり、カラギーナン抜きのこんにゃくゼリーを目指すことになりました。
  今回の開発の提携先である(有)片山食品の片山雄之社長によると、こんにゃくでないふつうのゼリーでもカラギーナンと増粘多糖類を使って固めるのが市販品の主流とのこと。「弊社ではこのふつうのゼリーでカラギーナンを抜くことはしていたのですが、こんにゃくゼリーでカラギーナンを抜くのは初めての試みでした」(片山社長)。何種類もサンプルを作り、結局、寒天とこんにゃく粉と増粘多糖類(キサンタンガムとローカストビーンガム)を使ってこんにゃくゼリーの食感を出すことに成功しました。まさに業界の常識をひっくり返す開発となったのです。
  次の課題は天然果汁の量でした。「低価格を優先する市販品では、果汁10%でも多いほう。“果汁入り”とだけ表示されたものや“無果汁”のフルーツゼリーが多く出回っている」(片山食品の金谷昭洋さん)中、従来の”子どものお菓子“を超えた本物志向のゼリーを目指しました。
  試作品を作って組合員アンケートをした結果、果汁100%よりも50%の方が、おいしいという意外な結果でした。また、アンケートでは酸味が足りないという意見も寄せられていましたが、この酸味は市販品で使用されている食品添加物のpH調整剤の味だということもわかりました。
  こうして一つひとつ検討していき、pH調整剤、着色料、香料など、できるだけ添加物を使わない国産果汁50%、鹿児島県の甘しょ分蜜糖入りのフルーツゼリーを開発することになりました。

誤飲事故報道で開発中止の瀬戸際に

 その後、リンゴ味とミカン味の開発は順調に進みました。パッケージもでき、注文カタログに登場するばかりとなっていた2007年春、「こんにゃくゼリー」の誤飲死亡事故が報道されます。この事故は7歳の学童児で起きたこともあり、社会の注目を集めました。
  生活クラブではこの事故を重く見て、開発を中止するか、こんにゃく抜きの消費材に方向転換するかの判断をチームに委ねることにしました。
  勉強を重ねてきた開発チームにしてみれば、誤飲事故の真の原因はカラギーナンでは、という気持ちもありましたが、社会的に「こんにゃくゼリー」のイメージが悪くなっており、供給時にいちいち詳しい説明をすることも困難と考え、こんにゃくを抜く道を選択しました。結果的には、こんにゃく粉は使わず、原材料にもともと含まれていた寒天をメインにして、みかんとりんごの製品を完成させることができました。

「安心して子どもに食べさせられるおいしいゼリー」

会議風景

 「こんにゃくを抜くことは技術的には簡単でした。大切なのは、開発チームの皆さんの思いがここで変化したことだと思います。たまたまこんにゃくゼリーから出発しましたが、お母さんたちが本当に欲しかったのは『安心して子どもに食べさせられるおいしいゼリー』だったのではないでしょうか」と片山社長。今回、「みんなでTRY!」で一緒に開発することで、こうした組合員の「思い」が伝わってきたのが一番の収穫だったと語ります。
  組合員の得たものは何だったのでしょうか。「私も含めて組合員には“添加物は何でも危険、無添加がよい”という感覚があるけれど、供給する以上、保存や安定のために必要な添加物もあるということが今回の開発でわかりました。でも、その添加物は生活クラブの厳しい基準で選ばれていることもよくわかり、よかったです」と開発チームの阿部よし子さん。この発見はメンバー全員に共通するもののようです。
  「“みんなでTRY!”は、必要なものを自分たちでつくるという、生協の活動の原点だと思っています。市販品の問題点やからくりを考えるきっかけになりますし、開発の全行程にかかわることで組合員の意識が高まります。香料や着色料、保存料を使わず、トレーサビリティのとれる原材料で安心・安全な消費材を作ることができました。市販品に比べると軟らかいので、誤飲事故の危険も少ないと考えています。22g10個入りで179円(税込)と価格も手ごろ。味もいいですよ」(生活クラブ連合会農産課・田村徹)。