生活クラブ活動情報

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生活クラブ連合会「政策討論集会」開催

 2007年度の活動報告と2008年度の活動方針を討議する生活クラブ連合会の政策討論集会が開かれました。この場には、協同組合の研究者として著名なイアン・マクファーソンさんも参加。「生活クラブの活動を世界に知らせて欲しい」とエールを送りました。(2008年4月24日掲載)

「中国産餃子事件」を切り口に活発な議論が

2008年度方針の提案加藤連合会会長(右)

 3月26日、生活クラブ連合会は都内のホテルで「2008年政策討論集会」を開催。連合会を構成する北海道から大阪まで全国30の単協や生産者など約340人が参加しました。
  政策討論集会は生活クラブグループ(約30万人)としての前年度の活動をふりかえるとともに、次年度はどのような方針のもとに活動していくかを自由に意見交換する場です。午前中は3つの分散会で、午後は全体会で前向きな討議を展開しました。
  2007年度の活動報告で関心を集めたのは「牛乳の新たな配送形態」の導入です。これは牛乳の利用を少しでも高めようと提案されたもので、何人かのグループ(班)で共同購入をしながら、牛乳だけは個人申込・個人配送が可能となります。
  その仕組みを「さらに詳しく説明してほしい」といった意見が二つの分散会で出されました。現在、牛乳の新たな配送方法は、生活クラブやまがたと東京の一部で導入されていますが、「利用手続きや利用者の管理、配達コストの点でも課題があり、慎重に推移を見守りたい」(連合会)というのが現状です。
  2008年度の活動方針をめぐっては、いわゆる“中国産餃子事件”を切り口に、活発な議論となった分散会もあります。「生活クラブは中国産餃子を扱っていた他生協との違いをアピールできたか」という趣旨の発言に対し、「短期的な損得の構図で他生協の比較をするのはどうか。いまや協同組合の存在そのものが危機的な状況にあり、むしろ協同組合間の連帯を強め、運動をすすめていくことが大切なのではないのでしょうか」との意見が出されました。
  全体会では07年度(4月~12月)の「拡大力強化キャンペーン」について、質問や意見がありました。この活動により約12000人の組合員が増加しましたが、質問は「生活クラブの基本姿勢を新規加入者に伝えていく必要がある。それには『簡単・便利』だけでなく、食料自給を前提にした素材の開発が求められると思うが対策は?」というものです。
  この問いに対し、連合会は「08年度の活動として『ライフステージ別消費材開発』を提案し、組合員のさまざまな暮し方に応じた材を用意するための検討に入ります」と回答。「なかには使い勝手に配慮した加工品の開発も含まれる可能性もありますが、それも単に“利便性”を追求するものではなく、゛食゛の自給と自治を前提にしての開発である」と説明しました。
  全体会を締めくくったのは、青森県六ヶ所村の核再処理施設「六ヶ所再処理工場」の本格稼働への反対アピールでした。生活クラブでは07年4月から署名活動などの運動を展開。08年1月には2000人規模の集会を日比谷公園(東京)で開きました。「循環型社会への流れに逆行する再処理工場の稼働を許していいのか」という生活クラブ青森の組合員の訴えに、会場からは賛同の大きな拍手がありました。

「国際的な協同組合運動の傾向と生活クラブ運動の特別な役割」

イアン・マクファーソン所長

 全体会の後、カナダのビクトリア大学ブリティッシュ・コロンビア協同組合研究所のイアン・マクファーソン所長の特別講演がありました。テーマは「国際的な協同組合運動の傾向と生活クラブ運動の特別な役割」。マクファーソンさんは分散会、全体会ともに参加し、その感想を次のように述べました。「議論を聞いていて分かったことは、皆さんが高潔で民主的なアプローチを実践しようとしていることです」  
  講演は、1世紀以上にわたる協同組合運動に「共通していると思われる10の傾向」、それに現在、「新しいと思える10の傾向」について、資料とコメントを併用して行われました。  前者に挙げられた「10の傾向」は、〈協同組合運動は組合員と資産の点から見ると成長し続けている〉、〈協同組合事業への理解及び期待は各国政府で大きく異なる〉、〈協同組合運動は内向きかつ謝罪ばかりになりがちです〉、〈多くの国で、協同組合運動についての意識は弱い〉、〈協同組合運動へ新しく加わる人々はいつもながら、たやすく関与し活気がある〉など。  
  マクファーソンさんは、「国際協同組合連盟に加盟している協同組合の総組合員数は実に8億人。その年間事業高はカナダの国民総生産にほぼ匹敵します。これを覚えておくことは大事なことです。また、協同組合がテクノロジーの分野、福祉サービスの分野、倫理的貿易の分野で発展していることを考えると、新しい協同組合の形態が生まれ、その数は増えると確信しています」としつつ、こう指摘しました。  
  「協同組合は公的な政策課題についての議論において、またはどのように経済的・社会的ニーズを満たすことができるのかという議論において、一般的にあまり有力な勢力ではありません。また、協同組合運動をはじめとする人々の集団や制度化された組織は、ある種の逆境に直面し、それをどうにかしようと決意した新人をたやすく受け入れません。しかし、現実にはそうすることによって将来は保証されるのです」

「生活クラブは協同組合運動にとって良いモデル」

 そして協同組合の現在の「新らしいと思われる10の傾向」として、〈協同組合運動の国際的側面への自覚が高まっている〉、〈環境の重要性〉、〈参加に関する懸念〉、〈同じ考えを持つ団体との連携〉、〈平和への希求〉などを挙げました。この中でマクファーソンさんは生活クラブの活動に触れ、「環境問題の重要性という点において、生活クラブは世界の他の協同組合よりも先行してきた協同組合の一つと思っています」と語るとともに、こう強調しました。  
  「生活クラブの様々な活動を公表し、多くの人に説明してください。少人数で資金のないところから活動を起こして成功を収めている姿は、協同組合運動にとって良いモデルになるからです」  講演の後、参加者と質疑応答がありました。
  質問は、「若い人を運動の担い手に育てるアイデアは」や、「平和への希求のなかで、『混沌たる世界で協同組合が果たす役割は何でしょうか』を問いかけていますが、その好例があれば教えてください」など。これらについてマクファーソンさんはこう応えました。  
  「若い人にもっと、話し合う場を設けることです。どういう協同組合にしたいのかを含め、色々なテーマについて議論させる必要があるのではないでしょうか。そして、協同組合とは何かについて知ってもらう努力も求められます。   
  中東でもアフガニスタンでも協同組合が違う階層の社会をつないでいます。軍事力で平和は成し遂げられません。平和は、協同組合をはじめとする地域で生きる市民の手によって成し遂げられるのではないでしょうか」