生活クラブ活動情報

 活動情報一覧へ

「国産100%丸大豆醤油」、ただいま仕込み中!

 穀物価格の高騰により、世界中で食料原料の争奪戦が起こっています。日本人の味覚の原点とも言える味噌、醤油の原料となる大豆の自給率はたった5%に過ぎません。身近なところから食料自給率を高めたい─。生活クラブでは12月からの供給に向け、100%国産大豆と小麦でつくる「国産丸大豆醤油」の仕込みを始めました。(2008年4月30日掲載)

木桶の中で熟成させる“本物の醤油”

仕込みの様子

 「私たちの蔵と木桶に棲み着いている酵母が、醤油の味の決め手になります。醤油独特の高い風味を“木香(きが)”と言いますが、これは木の桶でないと出ないんです」
  こう話すのは、生活クラブの醤油の生産者、タイヘイ(株)工場長の伊橋弘二さん。すでに、4本の木桶に国産大豆と国産小麦原料の醤油を仕込みました。これから隔月で4本ずつ国産丸大豆醤油を仕込んでいくということです。    
タイヘイが生活クラブと提携を始めたのは、今から30年以上前の1974年のこと。日本の醤油醸造メーカーの多くが油のしぼりかすである脱脂加工大豆を使い、培養した微生物を添加してプラスチックの桶で速醸するのに対し、タイヘイでは当時から昔ながらの木桶と、1年がかりでつくる天然醸造にこだわってきました。原料は、アメリカから仕入れたNON-GMO(遺伝子組み換えでない)、PHF(収穫後農薬不使用)の丸大豆7割、国産大豆3割、カナダ産と国産をブレンドした小麦、そして塩だけ。余分なものはいっさい入っていない、微生物の力が生きている本物の醤油です。まろやかな味とコクに定評がある、生活クラブいち押し消費材の一つです。

アメリカ産NON-GMO大豆が手に入らない! 

圧搾の様子

 ところが昨年秋、この丸大豆醤油づくりを揺るがすことが起こりました。アメリカの生産者が契約の途中なのにも関わらず、突然、NON-GMOの大豆の生産を打ち切ると通告。2009年に仕込む醤油用のNON-GMO大豆が手に入らない、という事態に陥ってしまったのです。   生活クラブ連合会開発部加工食品課の守屋馨は、その時の戸惑いをこう振り返ります。「今や、アメリカのGM大豆の作付け率は97%に上ります。アメリカのバイオエタノール政策によって大豆からトウモロコシ生産へと転換する動きや、たくさん収穫できるGM大豆の作付けが広がり、一昨年ごろから産地の情勢は不安定でした。しかし、いきなり2008年産大豆の契約放棄になるとは……」。  
  幸い、生活クラブの味噌の生産者である(株)マルモ青木味噌醤油醸造場の紹介で、中国・大連産で有機JAS認証を受けた大豆を確保することができました。が、それでも安心していられない状況だと守屋は言います。
  「これまで穀物の輸出国だった中国が、人口増加や経済発展で輸入国へと変わりつつあります。また、中国国内でつくった食べものは自国で消費しようという機運が高まり、輸出規制を行う動きも見られます。中国はこれまでGM作物を生産しない方針を貫いていますが、今後もその状況が続くとは言い切れません」  
  生活クラブでは国内自給率を高めていくことを目標に掲げ、味噌、豆腐や豆乳の原料は国産大豆100%です。できることなら、醤油も100%国産に移行したい……。そこで、生産者の確保や価格の設定など、「国産100%丸大豆醤油」づくりへの挑戦が始まったのです。

「日本の味」を支えるのに日本の大豆を

  2006年度の食料自給率は39%ですが、その中でも大豆の自給率は極端に低く、5%しかありません。醤油や味噌など、日本人の味覚のベースとも言える調味料の原料ほとんどを、外国産に依存しているのです。今後ますます穀物の争奪戦が激しくなることが予想され、「お金を出しても食料が買えない」時代が来ることも十分にあり得るのです。  
  生活クラブでは提携産地の減反田等に、醤油や味噌、豆腐の大豆を植えることを奨励するなどして、大豆の作付けを少しずつ増やしてきました。契約している大豆は、2007年産の収穫実績で549トン。そのうち約半分の301トンが庄内産で、ほかにも産地は栃木、北海道、千葉など全国に広がっています。
  国産丸大豆醤油向けの大豆を確保するためには、新たな生産者との提携が必要でした。折しも2006年、生活クラブの梅干しの生産者である (有)王隠堂農園を中心とした西日本の生産者グループが、「国内自給率と自給力を上げ、環境保全型の農業を行おう」をスローガンに「ファーマーズユニオン西日本」を立ち上げました。その中で、特別栽培大豆の生産実績のある「ファーマーズユニオン島根」が、新たに提携先に名乗りを上げました。まずは2007年産の原料大豆30トン分を確保し、庄内産(JA庄内みどり)、宮城産(JA加美よつば)と合わせて60トン分を2008年中に仕込む目処が立ちました。  
  しかし、ネックはやはり原料の価格です。アメリカ産のNON-GMO大豆は1kgあたり約110円、中国産の有機大豆は100円弱なのに対し、国産は約280円と、どうしても割高です。100%国産丸大豆醤油がこれまでの丸大豆醤油と比べて値段が上がることは避けられません。これに対し、ファーマーズユニオン西日本の和田宗隆さんは、次のように話します。  
  「今の食べものの価格構造は、輸入農産物との対比で考えられています。輸入作物を基準に考えられると、日本の生産者は作物を生産し続けることができません。生産者がつくり続けるためには、消費者が安心して食べられるものを求め、買い続けることなのです」

2008年12月から食卓へ

 今年仕込んだ国産丸大豆醤油は、2008年12月から順次取り組みを開始します。小麦も国産、塩も生活クラブの消費材と同じ「真塩」と、こだわりの逸品です。価格は500mlで320円程度、月2万本の供給を予定しています。なお、900mlの丸大豆醤油の取り組みもこれまで通り継続して行います。“日本の畑が見える醤油”の登場が、今から待ち遠しいですね。