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「コーヒー粉パプアニューギニア」の産地を訪問してきました

「コーヒー粉パプアニューギニア」の産地を訪問してきました

 生活クラブ生協連合会は2008年度の方針にもとづき、海外で生産される食品や原料の《産地点検》を充実させています。今年4月26日から5月3日にかけては「コーヒー粉パプアニューギニア」の産地を開発部が訪問。提携先の日東珈琲(株)と“農園から食卓まで”のコーヒー豆の動きをつぶさに点検するとともに、その品質や栽培条件などに問題がないことを確認しました。今回の視察の成果を田辺樹実開発部長と守屋馨加工食品課長に聞きました。(2008年6月20日掲載)

コーヒー豆が唯一の換金作物

パプアニューギニアの少女

――今回の視察の収穫は?
田辺 フェアトレードは食品や衣料品などを発展途上国から適正な価格で輸入し、販売する仕組み。これにより途上国の生産者に公正な対価を支払い、貧困の解消を図ろうというものです。その点でも、農園から食卓までに5者(農家、コンゴ・コーヒー社、日東珈琲、生活クラブ、組合員)しか介さない生活クラブの共同購入は透明度が高く、お互いの顔や事情がわかりあえる優れた仕組みといえるでしょう。しかも私たちは豆の品質や価格を互いの意志にもとづき、生産者と相対で決定、代金も直接支払いという明快なものにしています。こうした点を実際に自分の目と耳で確認できたことが大きな収穫でした。

チュアベ区の農園にて

――守屋さんはどうですか?
守屋 生産農家は自給自足の暮らし。食べるものに事欠くことはありません。しかし、乳児の死亡率は高く、病院をはじめ電気や水道などのインフラの整備が進んでいないのが現実です。農家にかぎらず、パプアニューギニアの人びとは80%が村落で暮らしていますが、政府の支援は町や都市部が中心。その政府も先進国からの政府開発援助(ODA)に頼っています。こうしたなか、産地にある唯一の地域企業が、自らの資金で学校を建設するなどして地域を豊かにする活動を続けています。その原動力となっているのがコーヒー豆。コーヒー豆は農家にとっては衣類や靴などを手に入れ、子どもを学校に通わせる唯一の換金作物でもあります。
  一方、「経済大国」と称され、モノに溢れた日本の食料自給率は39%とお粗末なもの。世界に「食料」の供給を依存せざるを得ないのが実情です。対して「食」の不安がないパプアニューギニアの生産農家は実にいい笑顔をしていました。正直、彼らを「支援」する言葉を使うのもはばかられます。それは経済大国のおごりであり、おこがましいこと。「対等な立場での提携」と表現するのがふさわしいと痛感しながら、あらためて豊かさとは何かを考えました。

農家の生産意欲とコーヒーの品質を高める工夫も

コーヒー粉パプアニューギニア

――どんなことを点検してきたのですか?
守屋 日本は年間42万tものコーヒー豆を輸入していますが、これを担うのは多国籍企業や商社が中心。どうしても生産から加工流通までが複雑なものになります。一方、「コーヒー粉パプアニューギニア」の原料豆は、提携先の日東珈琲(株)が「エリンバリ珈琲豆」を直輸入してロースト(焙煎)。これを生活クラブが各組合員に届けています。これほど農園から食卓までの流れが明白なコーヒーは少ないですし、産地では栽培条件や出荷基準を自主的に定め、豆の品質を高める努力を重ねています。主にこうした点を点検しました。

赤く熟したチェリー(実)

――結果はどうでしたか?
田辺 産地はハイランド(山岳)地方のシンブー州。チュアベ区を中心に6つの区に農園があります。チュアベの標高は1800m。高地特有の冷涼な空気のなかで、コーヒー豆が栽培されていました。農家は赤く完熟したチェリー(実)だけを選んで手摘み。機械で皮をむいてから、天日乾燥させています。このとき、出来の悪い豆を分別することも忘れません。むいた皮もムダにせず、肥料として使っていました。  
  チュアベには「コンゴ・コーヒー社」があり、生豆の加工から乾燥までの処理を担っています。コンゴ社では地域の美しい山の「エリンバリ」にちなみ、「エリンバリ珈琲」をブランド化。豆の選別から洗浄乾燥・保管方法について6つの受け入れ基準を定め、合格した豆を「エリンバリ珈琲」と認証。他の豆よりも30%高い価格で現金買い取りしています。これが豆の品質のみならず、産地の生産意欲を向上させることはいうまでもありません。
  というのも、シンブー州には小規模の農園が圧倒的に多く「ロードバイヤー」と称されるブローカーに生豆を現金で売る農民も多いのです。これが“買い叩き”の構造を定着させ、貧困の温床となる場合もあり、これをコンゴ社が防いでいます。その工場では選別から洗浄、乾燥から再選別(ピッキング)までの処理工程を視察し、栽培者や地域名、栽培方法などが把握されていることもわかりました。

●コンゴコーヒー社の日本語のブログはコチラから 
●コンゴコーヒー社のホームページはコチラから

<一般の珈琲の流通と生活クラブのPNG珈琲>

生産農家との交流を深め、さらに関係性を強めたい!

パプアニューギニア

――他に特徴的なことは?
守屋 「エリンバリ珈琲」はコンゴ社が処理する年間6000tの生豆のうち、わずか180tしか手に入らない貴重品。うち40tを日東珈琲が買い入れ、生活クラブに供給しています。コンゴ社から輸出港、さらに日本の横浜港までの生豆の流通に不備がないことは、それぞれの関係機関とパプアニューギニア政府の珈琲機関(CIC)を訪ねて確認しました。
――今後の課題は?
守屋 「エリンバリ珈琲」はチョコレートのようなエキゾチックな香りと酸味、程よい甘さが舌に残ると評されるコーヒーです。その味わいを私たちが楽しむこと、生活クラブの「コーヒー粉パプアニューギニア」を選択することが、産地に水道を普及させる力になり、小学校の教科書を購入する資金にもなっています。こうした動きを今後もおおぜいの利用で支えながら、生産農家との人的交流を深めていくことが課題ではないでしょうか。
田辺 生産農家との関係性が強まれば、自立した者同士の国際交流が可能になります。何かを「してあげる」とか、「してもらう」ということではなく、生産者とは対等互恵という生活クラブの考え方に沿った産地との提携関係がより強化されるわけです。今回は事務局と生産者だけの訪問になりましたが、次の機会には組合員にぜひ参加していただき、生産者との交流を深めてほしいと思います。

コンゴコーヒー社の寄付で設立された小学校にて。子どもたち、地域の人、生産者から盛大な歓迎を受けました。左から、日東珈琲・川端専務、日東珈琲・長谷川社長、生活クラブ連合会・田辺開発部長、生活クラブ連合会加工食品課守屋課長。