生活クラブ活動情報

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米と豚を「キー」にした、先進的な「循環型農業」を実感できました。

米と豚を「キー」にした、先進的な「循環型農業」を実感できました。

 生活クラブの「庄内交流会」が今年で35回目を迎えました。7月23日~25日、北海道から関西までの総勢60名の組合員が集合し、「生活クラブの食糧基地」である庄内の地に降り立ちました。ここでどのような農業や畜産が行われ、それが自分たちの共同購入活動とどのように結びついているのか、生産の現場を見、生産者と直接語り合った有意義な3日間となりました。(2008年8月8日掲載)  

35年続いた生産者と組合員の交流の場

鳥海山

日本有数の米どころ、山形県の庄内地方は生活クラブとは切っても切り離せない関係にあります。庄内の最北端、遊佐町と生活クラブとの提携関係が始まったのは、米の取引が国の管理下に置かれていた1971年のこと。過酷な減反政策に反対する遊佐町農協(現在のJA庄内みどり遊佐支店)と、素性が確かな米を求める生活クラブが手を結び、ササニシキの玄米3000俵から取り組みがスタートしました。1974年には米の産地である遊佐町と太陽食品(現在の 平牧工房)のウィンナー工場を組合員が見学し、生産者と交流する第1回庄内交流会を開催。それが毎年続き、今年で35回目になるのです。今年の庄内交流会では「米」と「豚肉」をキーワードに、農業と畜産を結びつけた「耕畜連携」の循環型農業が、実際にどのように行われているのかを確かめました。

平田牧場で解体体験をする組合員

1日目と3日目は豚肉の提携生産者の 平田牧場関連施設の見学や、組合員と生産者が豚肉や飼料の価格についての意見交換を行いました。平田牧場の千本杉農場では飼料用米を食べた豚が肥育される様子と、豚の糞尿が完熟して堆肥になる様子を見学しました。と畜され枝肉となった豚肉は平田牧場ミートセンターでロース、ヒレ、バラ肉といったように部位ごとに解体されます。後藤徳雄センター長が「一頭の豚肉からとれるヒレ肉の割合はたったの2%です。一部の部位に人気が集中するとバランスが崩れてほかの部位が余ってしまいます。時にはロースなどの高級部材もひき肉や加工肉に回すこともあるのです」と話すと、「解体の現場を見ることで、生活クラブが“一頭買い”を大切にしている理由がよくわかりました」と、瀬山克美さん(埼玉)は感想を述べました。平牧工房ではポークウィンナーなどの加工肉の原料に平田牧場の豚肉を用いま す。加工肉で原料肉のバランスを調整できるため、美味しくて安全な豚肉が余すところなく有効に使われている様子を確認できました。

遊佐町の美しい田園風景はみんなで守ってきた

菅原英児さん

2日目は「遊佐の米づくり これまでとこれから」をテーマに、遊佐南西部地区カントリーエレベーター(米の貯蔵施設)、無農薬実験米・飼料用米の田んぼ、精米センター、 杉勇蕨岡酒造場(日本酒の提携生産者)の酒米の田んぼを見て回りました。遊佐町で2008年に作付けされた米のうち生活クラブ向けは1,394haで、町の水田面積のうちの約60%にもなります。いかに生活クラブと遊佐町の関係が深いかがわかります。
  生活クラブの米の代表的な品目が、 JA庄内みどり遊佐町支店の共同開発米部会のメンバーがつくっている「遊YOU米」です。遊YOU米はどの農薬と化学肥料をどれくらい減らせるか試行錯誤を重ね、今では1,054haの田んぼで県の基準(農薬と化学肥料が16成分)の半分である減農薬減化学肥料栽培米(8成分)をつくっています。さらに農薬の成分を減らした3成分実験米、無農薬実験米の生産に取り組んでいる生産者もいます。その一人、菅原英児さんは稲を手に取り、「無農薬実験米の田んぼでは今年もイネミズゾウムシに根っこを食われ成長が悪い。草抜きも毎日です。

杉勇蕨岡酒造場の田んぼで試飲をする組合員

農薬を使えば簡単に駆除できますが、水の引き方を工夫したり畦にヒマワリを植えて日陰をつくるなど様々な実験をしながら、ともかく手間と愛情をかけて米を育てています」と話すと、稲葉亨江さん(多摩きた)は、「遊YOU米の予約共同購入を登録して食べるということは 、信念を持って実験に取り組む生産者の挑戦を支えることでもあるんですね」と、感慨深げに話していました。
  今年の庄内交流会には、昨年、生活クラブに加入した関西の単協(なら、京都エルコープ、大阪)から初めて4名の組合員が参加しました。細谷みつ子さん(京都エルコープ)は、「遊佐町では町を挙げて減農薬米にチャレンジし、生産者、農協、生活クラブが一体となってさらに広めようとしている。生活クラブが遊YOU米に登録を結集している意味がよくわかりました」と話しました。関西の単協では、この10月から「遊YOU米」などの取り組みが始まります。?

飼料用米へのチャレンジで生活クラブの先進性を実感

川俣義昭さん

昨年から続く穀物価格の高騰を受け、遊佐町と平田牧場に今、大きな注目が集まっています。飼料用米に穀物自給率を高めるヒントがあるのではないかと、政府関係者や国会議員がひっきりなしに遊佐町と平田牧場を訪れ、熱心に質問していくそうです。2004年には7.76haだった飼料用米の栽培面積は、今年は遊佐町で170ha、隣りの酒田市で130haの合計300haに広がりました。飼料用米は平田牧場の肥育後期(120日~200日)の豚のエサに10%配合していますが、米を食べて育った豚は旨味成分のオレイン酸が増加し、締まりがよいうえに口どけのやわらかな肉質となります。飼料の自給率向上に貢献するだけでなく、食味の上でも評判がよく、組合員の人気も上々です。

飼料用米モデル圃場

共同開発米部会の川俣義昭会長は「長年農業をしていましたが、今年初めて自分の持っている全ての田んぼに米を植えました。飼料用米は価格が安いけれど、米農家としては田んぼに転作作物でなく米を植えられるのはうれしいこと。減農薬・無農薬米はもちろん飼料用米の取り組みも、皆さんが食べる立場で生産に参加してくれるから、私たちは国がやらないことにも率先してチャレンジできるんです」と力強く組合員に訴えました。?

申込用紙に「1」と書くことは、未来への貯金

生活クラブの消費材の試食説明会の様子

 2日目の夕方には、庄内や山形の内陸部から山形親生会(山形県の生活クラブ提携生産者の会)のメンバーが大勢駆けつけ、生活クラブの消費材の紹介と試食説明会を行いました。山形親生会では庄内を中心に、生産者全体で地域循環型農業に取り組んでいます。飼料用米を食べた豚の糞尿は完熟させて有機堆肥にし、遊佐町の米農家をはじめ、りんごやラ・フランス、トマトなどの野菜・果樹をつくっているJAさがえ西村山大江営農センターなど山形親生会の生産者に提供します。ほかにも杉勇蕨岡酒造場の酒粕が平田牧場の豚みそ漬けの原料になったり、平田牧場のとんかつの廃油が月山パイロットファーム(野菜、漬物などの提携生産者)のトラクターの燃料になるなど、地域内の異業種間で様々な形での資源循環を行っています。
  月山パイロットファームの相馬大さんは、次のように組合員に呼びかけました。「皆さんがこれから先も安心して食べ続けるには、生産が続けられる仕組みづくりが大切です。今週の申込用紙に書く“1”という行動は、来週食べるものを決めるだけではなく、実は山形の循環型農業の仕組みを未来につなげていくことでもあるのです」
  庄内交流会を終え、副団長を務めた林美由紀さん(群馬)は、「今回庄内に来て、若い生産者が増えていることがとてもうれしかった。同じ消費材を食べている全国の仲間たちと語り合えたことも収穫です。これからは特に若い組合員に対して消費材の価値と生産者の勇気を伝え続けていきたい」と話し、さらなる活動への意欲を燃やしていました。