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「タオル1本提供運動」を展開中

「タオル1本提供運動」を展開中

 生活クラブではこの夏から秋にかけて、全単協をあげて「タオル1本提供運動」を展開しています。これはパスチャライズド牛乳の生産者を応援するために、組合員がタオルを提携酪農家に提供するものです。前回の2005年には2万枚以上のタオルが送られました。(2008年8月18日掲載)  

1日100枚以上のタオルを使う提携酪農家

タオルは洗濯して何度も使う

千葉県茂原市にある藤乗(とうじょう)牧場の経営者で新生酪農クラブの藤乗幹久さんは、組合員から送られてきたタオルを1日に100枚以上使っています。「タオルは搾乳の前に牛の乳房(にゅうぼう)を拭くのに使います。搾乳そのものはミルカーという機械で行いますが、ミルカーを装着する前に、タオルで乳房を拭いて清潔にするのです。1回の搾乳で牛1頭につき1~3枚のタオルを使いますが、搾乳は朝晩2回しますから、1頭につき1日最低2枚はタオルが必要なんです」
  藤乗さんが飼っている搾乳牛は50数頭。生活クラブの提携酪農家の平均飼養頭数は40頭前後ですから、1日100枚以上というのは平均より少し多いくらいのタオル使用量なわけです。
  使ったタオルは洗濯してまた使用しますが、この洗濯の手間もかなりのものだといいます。「1回搾乳すると洗濯機を3回は回すかな。タオルの傷みも早くて、1枚が1か月もたないくらい」と藤乗さん。使い捨てのペーパータオルを使ったこともあるそうですが、「布のほうがやわらかく、汚れを落としやすいので、結局、布のタオルにしました」と話します。

パスチャライズド牛乳には厳しい菌数管理が不可欠

牛乳は乳房の中にあるときは無菌状態ですが、搾られて外に出てきた瞬間から菌の汚染にさらされます。乳頭にわずかでも汚れが付着していれば、搾乳した乳には菌が混入してしまいます。それを防ぐために乳房拭きが必要なのです。
  生活クラブの自主基準が定めている生乳(しぼりたての乳)内の総細菌数の規格基準は100万個/mL以下。さらに目標とする基準も定めていて、総細菌数で3万個/mL(生菌数で1万個/mL)を目標基準としています。国の基準が400万個/mL以下ですから、大変厳しい基準といえます。数値をクリアするために、生産者は乳房拭きだけでなく、ミルカーやパイプラインの衛生を保ち、牛舎を清潔にするなどの衛生管理を徹底し、牛の健康を守る飼養管理を研究・実践するなど、大変な労力を使っていて、現在では、9割が厳しい目標基準を達成しています。
  生乳はとても傷みやすい性質のもので、搾った乳に菌が混入していれば、牧場から工場へ運ぶあいだや工場で瓶詰めするあいだに菌は何十倍にも増え、腐敗や食中毒の原因になってしまいます。それを防ぐために、流通している牛乳はほぼすべてが工場で加熱され、殺菌されているのです。殺菌方法には大きく3つあり、一つが120~130℃で3秒間加熱する超高温殺菌。この方式では、生乳内の細菌数が多少多くても加熱したときに死滅させることができます。市販されている牛乳の9割以上がこの方式です。二つ目が、生活クラブが採用している72℃15秒間の高温殺菌。三つ目が63℃30分間の低温殺菌です。高温殺菌と低温殺菌はパスチャライズド法ともいい、人体に有害な菌を殺すことはできますが、超高温殺菌ほど高い殺菌率ではありません。したがってこれらの殺菌方式の場合は、細菌数が少ない生乳を確保する必要があります。
  「生活クラブの牛乳も、かつては超高温殺菌方式で生産していました。1980年代後半に滅菌法でつくられたロングライフ牛乳の安全性を問う論争が起こり、このとき生活クラブでも殺菌温度を議論しました。超高温殺菌は菌を殺すという点では安全ですが、熱ダメージが大きく、牛乳の栄養価や味を損ないかねません。高温殺菌と低温殺菌ではタンパク質の変成がなく、免疫物質のラクトフェリンも超高温殺菌のように破壊されません。低温殺菌はコストの面で実現が難しかったため、結局、高温殺菌法を選んだのです」。連合会開発部畜産課の鮱名定昭はこのように説明します。
  生活クラブのパスチャライズド牛乳は栄養価、味ともに搾りたての乳により近い牛乳だといえますが、細菌数の少ない生乳でなければ生産ができず、生乳の細菌数を抑えるのには清潔なタオルが不可欠なわけです。生活クラブではパスチャライズド牛乳の取り組みを始めた1988年から、組合員が生産者にタオルを提供する運動をずっと続けてきています。

危機的状況にある酪農業を支えよう

 このように労を惜しまずパスチャライズド牛乳をつくっている酪農家たちが今、経営の危機に陥っています。牛の飼料にしているトウモロコシや大豆粕はほとんどが輸入に頼っていますが、バイオエタノール需要の高まりにともない、トウモロコシの国際価格が急騰。そのあおりを受けて飼料代が高騰しているのです。これは、飼料代が生産コストの半分を占める日本の酪農業にとって死活問題になっています。
「4、5年前と比べると、飼料代は約2倍になりました。われわれが使っているNON-GMOのトウモロコシも高くなり、入手がどんどん難しくなっています。また、穀物の値上がりの影響で牧草など粗飼料の作付面積が減ったので、今後は粗飼料も値上がりしてくるでしょう」と藤乗さんは言います。生活クラブでは稲ホールクロップサイレージ(稲醗酵粗飼料)を利用するなど、飼料自給の試みも進めていますが、供給が追いつかないのが現状です。
「生活クラブの牛乳は価格をこの4月から10円上げてもらいましたが、それでも厳しい。酪農業全体で見ても、来年までもたない、今年いっぱいで廃業する酪農家が何割出るか……。牛を飼って、乳を搾っているだけで赤字になってしまう、そんな状況なのです」(藤乗さん) 乳牛は毎日定時に乳を搾らないと乳房炎などのトラブルを起こすため、どんな事情があれ、365日、搾乳を休むわけにも、餌をやるのを休むわけにもいきません。私たちにできる支援は、第一にパスチャライズド牛乳を飲み続けること、そしてタオルを送り続けること。今回のタオル1本提供運動は、生産者との関係を今後も維持していきたいという、組合員から生産者に向けた応援メッセージでもあるのです。