生活クラブ活動情報

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生活クラブのコメ産地--《進む、さらなる"農薬削減"》

生活クラブのコメ産地は《地域ぐるみ》で

 いよいよ、秋もたけなわ。すでに千葉県旭市の田んぼからは「新米」が届いていますが、この11月から生活クラブのコメはすべて「新米」に切り替わります。スーパーには「有機」や「減農薬」などの言葉を冠したコメもありますが、「生活クラブはどうなの?」。そんな疑問にお応えしましょう。(2008年11月4日掲載)  

生活クラブは6産地
いつでも、《たしかな中身》のコメを確保しています!

  山形県の遊佐町、岩手県の一関市、栃木県の那須塩原市、長野県の伊那市に千葉県の旭市、そして北海道の滝川市にも生活クラブのコメが育つ田んぼが広がります。どうして6つも産地が必要なのか。それは13年前に起きた「平成のコメ騒動」に起因します。  
  当時、生活クラブのコメ産地は山形県の遊佐町が中心でした。冷夏による全国的な不作で、スーパーや小売店の店頭からコメが姿を消し、街はコメを求める人びとで溢れていました。そのとき、長年の間「私たちは遊佐のコメを食べ続ける」と明言しつつ、田植えや稲刈りに組合員が参加するなどの産地交流を通して深い結びつきのあった遊佐町農協(いまのJA庄内みどり遊佐支店)では、一定量のコメを出荷してくれたのです。しかし、悔しいかな、それも組合員の申込み数量を全量まかなうことができるものではありませんでした。  
  世界的な異常気象と温暖化が叫ばれるなか、冷夏や集中豪雨、干ばつや病害虫によるコメの不作は、いつ襲ってきても不思議はないのです。そこで生活クラブでは1産地だけに集中する提携関係を見直し、国内の6産地の田んぼから、いつ、どこで、だれが、どのように育て、どこで精米され、袋詰めされ、どう運ばれたのかがしっかりわかるコメを共同購入することを決めました。もちろん、どの産地のコメも生活クラブが定めた「自主基準」に基づいた農法を選択した農家が、それを周囲の農家にも呼びかける形で広めていく「点」ではなく、「面」でのエコ=《地域ぐるみ》のエコの達成を目指したものです。

山形県遊佐町(JA庄内みどり) 共同開発米部会

山形県遊佐町(JA庄内みどり)

地域の農家は1200人。うち500人が生活クラブの生産者
農薬使用基準の「半分以下」は当たり前
無農薬栽培をはじめ、一般基準の5分の1でコメづくりも!

 提携は1971年から。1992年には生活クラブの「遊YOU米」の生産農家からなる共同開発米部会を主体的に結成し、町ぐるみで減農薬・減化学肥料での田んぼづくりに取り組んできました。遊佐町の農家戸数は1200戸ですが、うち500戸が生活クラブのコメ生産者。
  500人全員がコメをつくる際に山形県が認める一般栽培基準の農薬「半分以下」という厳しいハードルを越えています。さらに2002年からは、一度取り組みをはじめたら、何があっても3年間は継続するとの部会決定にもとづく「無農薬栽培」にチャレンジする農家も現れました。こうした《地域ぐるみ》でのエコ農法の実践は、多くの農家を刺激し、一般的な農薬使用回数(16成分回数)(*注1)の5分の1以下のレベルの「3成分回数」でのコメづくりや「5成分回数」で取り組む農家も増えています。
  それだけではありません。JA庄内みどりの共同開発米部会では「食」の自給を目指した飼料米の栽培(生活クラブの豚肉の生産者と提携)、生活クラブの味噌や醤油の原料となる大豆の作付けも進めてきました。まさに「食」の自給の拠点となることを目指した取り組みであり、今年からは生活クラブの食用油の原料なたねの栽培にも取り組んでいます。これが外国や多国籍企業に「食」の支配を許さないための備え=奪われない「食」と奪わない「食」への大きな力となっていることはいうまでもないでしょう。
(*注1)「成分回数」=2種類の農薬を8回散布した場合、2×8=16成分回数と表します)

岩手県一関市(JAいわて南)  都里夢米(どりいむまい)協議会

岩手県一関市(JAいわて南)

81人が中山間地の厳しい自然条件のなかで減農薬
栗駒山の清流で育つ「一関米」
生活クラブのもち米の産地でもあります

 山あいの風光明媚な自然環境を活かし、良質な水(栗駒水系)を使ったコメづくりが進められています。しかし、こうした良好な自然環境が必ずしもコメづくりにプラスになるわけではありません。
  一関市の山谷地区を中心に広がる提携生産者グループ「都里夢米(どりいむまい)協議会」の田んぼは冷たい水や特有の風(やませ)などの影響を受け、病害虫の被害も受けやすい土地でもあります。このため一枚の田んぼから採れるコメの量は平野部と比べ、どうしても少なくなってしまいます。こうした厳しい条件にありながら都里夢米協議会では、岩手県のコメの一般栽培基準の「16成分回数」の半分以下の水準での米づくりにチャレンジしています。それは周囲の農家と地道に話し合い、《地域ぐるみ》で化学合成薬剤を追放していく働きかけの繰り返しでもあるのです。

栃木県黒磯市(JAなすの) どではら会

栃木県黒磯市(JAなすの)

国内屈指の清流で育つコメ
「お腹いっぱい」=「どではら会」30人が減農薬
今年は作付け面積の全てが県基準の半分に!

 生産者グループ「どではら会」の30人のメンバーが広い田んぼから農薬と化学肥料を追放しようとしています。この田んぼの特長は「一関米」の産地と同じく、清流の水でイネが育つことにあります。田んぼに注ぐ那須連山の伏流水は国内屈指の高い水質で知られ、生活クラブの「黒磯米」だけでなく、滋味と風味に富んだ青果物も育ててくれます。
  生活クラブでは栃木県開拓農協と力を合わせ、この地域で栽培されるキャベツやキュウリの共同購入も続けてきました。現在、「どではら会」では栃木県の一般栽培基準(コメ)の「16成分回数」の半分の「8成分回数」で米づくりに取り組み、青果物も生活クラブの自主基準に従って育てています。生活クラブとの提携は今年で18年目。「どではら会」の結成は1997年です。なお「どではら」とは土地の言葉で「お腹いっぱい」を意味します。

長野県伊那市(JA上伊那) 宮田・東春近地区

長野県伊那市(JA上伊那)

農薬ありきの米作りを止め、 地域から無人ヘリでの農薬散布を追放!
小さな「アメダス」を田んぼに

 長野県伊那市の宮田村と東春近地区では、長野県のコメ栽培一般基準を「3成分回数」下回る「9成分回数」でのコメづくりが広がっています。これが生活クラブの「上伊那アルプス米」です。このコメが生活クラブに出荷される割合が今年は前年の50%から75%にまで高まりました。提携生産者の継続的な呼びかけの賜物であり、生活クラブの組合員が持続的に利用を集め続けたことの成果のひとつです。提携は93年から。生活クラブ神奈川との取組みがはじまりでした。
  今年はさらに大きな歓びが加わりました。生産農家の高齢化が進み、働き手が不足している産地では、病害虫の防除や除草効果を高めることを目的に、無人ヘリコプターによる農薬散布が行なわれるのが一般的です。むろん、生活クラブの産地も例外ではありません。また、地元では「高齢者でも続けられる米作りのために必要」、「高濃度の農薬を使用するため環境への影響が大きいのでは」など賛否両論があったのも事実です。こうした議論の末、上伊那では小さなアメダスを田んぼに設置し、病気や害虫の発生を事前に察知する「予察」という方法を選択。無人ヘリによる農薬散布を止めることに成功したのです。
  ですが、農家から見れば手放しで歓迎できることではありません。予察により病害虫の警報が出たときは、生産者が農薬を担いで田んぼに散布しなければならないからです。このため、いまでも農協組合員からはJAに「無人ヘリの復活」を求める声が寄せられるといいます。それでもエコを「点」ではなく「面」へ。地域全体の合意形成に向け生活クラブの提携農家の減農薬への歩みは続きます。

千葉県旭市(JAちばみどり) 旭開発米部会

千葉県旭市(JAちばみどり)

唯一の「早場米」産地
いちはやく9月から「新米」に
43人が減農薬 飼料自給にもチャレンジ

 魚の町として知られる銚子市に隣接した旭市。そこに広がるのが生活クラブと提携するJAちばあさひの自主開発米部会の田んぼです。提携は1983年から。生活クラブ千葉と旭市農協との間でコメの共同購入がスタートしたことが縁になりました。その後、95年に自主開発米部会が結成され、2005年から生活クラブ連合会の提携産地に。千葉県のコメの一般栽培基準では「14成分回数」まで農薬の使用が認められていますが、部会では「10成分回数以下」の準自主開発米、「7成分回数以下」の自主開発米を主体としたコメづくりが進められています。
  さらに旭市では自主開発米部会も参加し、転作作物として飼料用作物栽培もしています。これまでも収穫したイネを発酵させて牛のエサにする=ホール・クロップ・サイレージの導入を積極的に進めてきましたが、今年からは飼料用米にも取り組んでいます。ホール・クロップ・サイレージは生活クラブの牛乳の原料乳を生産する新生酪農の提携農家に出荷され、飼料用米は鶏卵の生産者である(農)旭愛農生産組合に供給される予定です。

北海道滝川市(JAたきかわ) とんぼの会

北海道滝川市(JAたきかわ)

「高度クリーン米」にもチャレンジ
38人の農家が農薬は北海道の栽培基準の「半分以下」で
今年からは4分の1の水準をスタンダードに!

 北海道でコメを栽培するときに、使っていい農薬は「22成分回数」とされています。これを生活クラブと提携する「とんぼの会」では「10成分回数」に。今年からはさらに厳しい「5成分回数」に統一することを申し合わせました。この背景には冷涼な気候にある北海道の空知平野の自然条件をフルに活かし、「多少の草には目をつぶり、病気での収量減もやむなし」とする大きな決断があります。これが個人的な決め事であれば、すべてが自己責任ということになりますが、38人の総意としたことに「とんぼの会」の減農薬への強い意欲が示されています。さらに「3成分回数」で栽培された「高度クリーン米」にも取り組み、コメづくりの水準をさらに高めていこうと「とんぼの会」では試行錯誤を重ねています。
  「とんぼの会」のメンバーが加入するJAたきかわはコメをはじめ、生活クラブにはなくてはならない産地のひとつ。なたね油の原料なたねはもちろん、生活クラブのそばをはじめとする加工食品の原料となる国産小麦や大豆、そばの供給基地です。「とんぼの会」のコメづくりが地域の「農」を守り、「食」の自給の基盤となって、多国籍企業による大豆やナタネのGM化(遺伝子組み換え化)対策の一翼を担っているのです。