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鹿川グリーンファーム 採卵鶏に地元産の「飼料用米」を給餌!

鹿川グリーンファーム 採卵鶏に地元産の「飼料用米」を給餌!

  生活クラブの関連会社で鶏卵の生産者である(有)鹿川グリーンファームが飼料自給を目指した画期的な取組みを2008年12月からスタートします。農場のある埼玉県深谷市に近い、羽生市と鴻巣市川里地域の水田で飼料用米を育ててもらい、飼育する採卵鶏のエサにする試みです。(2008年12月1日掲載)  

「農場のある地域の水田をフルに活用したい」

(有)鹿川グリーンファームの丸尾敏晴さん

鹿川グリーンファームでは、「種」の供給を外国の巨大企業に依存しなくとも国内で持続的に品種改良が可能な《国産採卵鶏》のゴトウ「もみじ」を飼育し、飼料から遺伝子組み換え(GM)トウモロコシや大豆を追放してきました。しかし、この間の世界的な穀物不足やバイオディーゼル燃料への需要の高まりからトウモロコシの価格はこれまでの3倍まで高騰し、遺伝子組み換えではないもの(NON‐GMO)の入手はさらに困難になっています。
   「日本の食料自給率は40%、つまり6割は輸入に頼らざるをえない構造にありますが、その最大の原因が家畜のエサになる飼料穀物の自給率の低さにあります。飼料用のトウモロコシや大豆の国内生産量は目を覆うばかりの水準であり、必ず近い将来、鶏卵や肉類といった畜産物の継続的な生産ができなくなる恐れもあります。このままではいけません。何としても飼料自給率を高めなければならない。それには90%以上の自給力を誇る主食のコメが育つ地元の水田をフルに活用したい。そこで同じ埼玉県の農家に飼料用米の生産をお願いしようと考えたわけです」
  このように鹿川グリーンファームの丸尾敏晴さんは語ります。その言葉には「食」の自給という大きな安心への期待が込められていました。飼料用米といえば、生活クラブの豚肉の生産者である山形県酒田市の (株)平田牧場と生活クラブ連合会、さらにJA 庄内みどりと遊佐町がパイオニア(先駆者)となり、その価値を全国に広めてきた飼料自給のための仕組みです。具体的には遊佐町の農家が飼料用米の栽培に取り組むことをJAと遊佐町が積極的に支援し、収穫したコメは平田牧場が買い取って肥育後期の豚に与え、その肉を「こめ育ち豚」として生活クラブ連合会が共同購入するというものです。この仕組みは社会的に高い評価を受け、政府が注目するところとなっています。

「地元の埼玉県、羽生市も応援してくれています」

生活クラブ埼玉の田んぼの生きもの調べ活動(羽生米の田んぼにて)

「まさに山形にならえ、続けということ。埼玉県も羽生市も賛同してくれ、私たちの取組みを応援してくれています」と丸尾さん。
  今回、鹿川グリーンファームが導入するのは埼玉県のコメどころとして知られる「JA ほくさい」の羽生市の農家が中心に育てたもので、良質な食用米ができる地域として知られています。ですが、その田んぼの土の性質は転作には向かず、麦や大豆も育てにくい土地。しかも農家の高齢化と後継者不足も進んでいます。
  「このままでは田んぼは荒れ、耕作放棄地が増えるなと心配していたところに(有)鹿川グリーンファームさんから飼料用米の契約栽培の提案をいただきました。この結果、年間128tの飼料用米を66名の農家が生産することになっています。おかげで県内の水田を守りながら転作を進めることができ、大変心強く思っています」
と、喜ぶのは、埼玉県農林部米づくり改革支援室で水田再編担当を務める畑克利主査です。
  畑さんは羽生市の水田で育つ飼料用米を鹿川グリーンファームが採卵鶏に与え、その鶏卵を生活クラブ連合会が共同購入する仕組みの導入を「生活クラブのみなさんのように『食』の自給を考え、いたずらに低価格志向に走らず、生産者のコストまで考慮した価格を支持して食材を購入する人たちだからできること。その姿勢を今後も貫いてほしいですね」と評価します。

課題は安定した収量の確保と買い入れ価格

生活クラブ埼玉の田植え交流の様子(羽生米の田んぼにて)

今回、鹿川グリーンファームが「JA ほくさい」に提示した買い入れ価格は1トンあたり8万円。この間の飼料用米の相場を2万から3万上回るものです。この金額には国や県の助成金が含まれますが、これまで輸入の飼料用トウモロコシ価格が1トンあたり6万円以上の高い水準を維持してきたことを考えれば止むを得ないことであり、意味ある投資といえるでしょう。この点は畑さんも認めるところ。「今後も買い入れ価格を維持していただくことが飼料用米の作付けをさらに広げるカギになります。県としても今回の鹿川さんの英断ともいえる取組みをモデルケースとして積極的にアピールしていきたいです」といいます。
  この点は「JA ほくさい」営農部の木元啓営農販売課長も同意見。「田んぼを守るためにも非主食米を飼料用米として利用してもらう取り組みは、ぜひ進めていきたい」としながら「転作には国から助成金が支払われる制度がありますが、2009年度に内容が改正されます。もし助成金が廃止され、飼料用米の価格が大きく下がれば農家の動きも違ってくるでしょう。だとすれば農家が今後も再生産できる価格を常に検討しながら、この取り組みを軌道に乗せていくことが何より肝心になるはずです」と話します。

配合率は当面1.5%で、12月から給餌

国産採卵鶏のゴトウ「もみじ」

鹿川グリーンファーム飼料用米の給餌は埼玉県内にある岡部農場と坂戸農場で行なわれ、期間は08年12月中旬から09年6月までの7ヵ月間。配合率は当面1.5%を維持し、これを高めつつ、栽培面積を広げていく方法については生活クラブ連合会、埼玉県農林部、羽生市農政課、JAほくさいからなる「飼料用米会議」で検討していくことになっています。
  自県産米として「羽生米」を共同購入している生活クラブ埼玉の吉田文枝理事長は「自分たちが食べるコメが育つ地域で飼料用米が栽培される。これは稲作農家との絆を強め、水田を守っていくことにもつながります。さらに、このコメを食べた鶏の産んだ卵を食べることになれば、私たちにとっては地産地消の度合いが一層高まることにもなります。いまは配合飼料に占める飼料用米の比率は1.5%ですが、この比率をさらに高め、地域の畜産と農業を結びつけていきたいと思っています。今後は鶏卵の価格にも変動が生じるかもしれませんが、未来の『食』の確保という大きな安心への投資と考え、おおぜいの利用を呼びかけていきたいと思っています」と期待を膨らませています。