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「自生GM(遺伝子組み換え)ナタネ」調査を全国で展開

「自生GM(遺伝子組み換え)ナタネ」調査を全国で展開

 2003年頃から国内でGM(遺伝子組み換え)ナタネの自生が確認され、遺伝子汚染の危険が指摘されています。生活クラブは全国の他団体や市民とともに、2005年から全国各地でGMナタネの自生状況を調査しており、今年も多くの単協がこの「GMナタネの監視活動」に取組んでいます。千葉単協では4月14日、16日の2日間にわたり、千葉港を中心とした広範囲で調査と抜き取り検査を実施しました。(2009年5月7日掲載) 

4月16日は県庁や港付近を調査

採取風景

 4月16日、国内有数のナタネ輸入港・千葉港に19名の調査参加者が集合しました。千葉の組合員を中心に、2004年から全国でGMナタネの調査をしている「ストップ遺伝子組み換え汚染種子ネット」(以下、種子ネット)のメンバー1名、同じく2005年から全国で調査をしている農民連食品分析センターのスタッフ2名という顔ぶれです。2班に分かれ、1班は千葉県庁から中央区役所に至るルート、もう1班は港に沿ってミヨシ油脂から日清製粉までのルートを調査することになりました。
  初めて参加する組合員が「花が咲いていないと、ナタネかどうかわかりませんね」と話すように、まず黄色い花を探し、見つけたら近づいてナタネかどうか見分けるのですが、なかなか判別できません。しかし、種子ネットの入沢牧子さんは、小さな双葉が2枚出ているだけの個体でも「これはナタネ」と見分けます。

これもナタネです、と入沢さん

   ナタネは舗装された道路でも、わずかな土があれば発芽し、路肩や道路の中央分離帯に雑草のようにひょろりと1本生えていたりします。GMナタネの種は港でサイロに格納されるときやトラックに積載されるときにこぼれたり、トラックで工場に運ばれるときにこぼれ、風や空気の動きにのってあちこちに運ばれて、このような場所に着いてしまうのです。全国各地の陸揚げ港や製油工場周辺、運搬路の幹線道路沿いに集中的にGMナタネが自生していることがわかっています。

中央区役所近くの花壇

 ナタネを見つけると、場所を記録して写真を撮り、根から引き抜いてビニール袋に入れます。県庁ルートではほとんどのナタネが1本立ちで生えていたのですが、中央区役所近くの交差点には菜の花の大きな花壇がありました。
  「菜の花は千葉県の“県の花”なので、自治体がこうやって花壇をつくったりするんです。ここにGMの種子が飛んできて生長したら交雑してしまうでしょう? こういうことはやめてほしいと市や県にお願いしているんですけれどね」と入沢さんは苦笑します。花壇のナタネは1本だけ採取して検査することとし、市には再び要望を出すことにしました。

多くの検体にGM遺伝子の陽性反応が

5分ほどすると赤いラインが

 約1時間の採取ののち、みつわ台デポー2階の組合員室に集合して検査を行いました。採ってきたナタネの葉を砕いて水を加え、細長い試験紙を浸すと、5~10分程度で試験紙が液を吸い上げ、陽性であれば2本のラインが現れます。これはGM遺伝子がつくるタンパク質が液中に存在することを示すもので、間接的にGM遺伝子の存在を確認できる検査方法です。
  県庁付近で採取した7検体のうち、5検体に2本のラインが現れました。また、港付近で採取した3検体のうち、2検体からやはり陽性反応。採取班とは別に、千葉の生産者グループ「元気クラブ」の会長が生産地周辺の2検体を届けてくれ、これは両方陰性でした。最後に、班ごとに結果を発表して、調査は終了しました。 現在、日本ではGMナタネの商業栽培は許可されていませんが、年間230 万トンものナタネが食用油や飼料の原料としてカナダなどから輸入されており、そのうちの60%程度がGMであると言われています。このGMナタネの種子が、輸入港から製油工場などに運ばれる途上でこぼれ、自生を始めていることが、これまでの市民による調査でわかっています。
  ナタネは風や虫の媒介によって広範囲で交雑が起こりやすく、また在来ナタネやセイヨウカラシナなどの近縁種とも交雑しやすい性質を持っています。生命力が強く、生長も早いので、思わぬスピードで自生地が広がっていくおそれがあります。 生活クラブの2008年度の調査では全国の15単協が634検体を調べて陽性12検体を検出。07年度は14 単協で760検体を調べ、陽性9検体を検出しています。これらの陽性検体の一部は千葉で見つかっています。千葉単協は2005年から監視活動を行っていますが、今年初めて種子ネットと農民連食品分析センターに合同調査を依頼、2日間にわたる大がかりな調査を行いました。4月14日は参加者23名、みつわ台からボーソー油脂へ向かうルートで15検体のナタネを採取。なんと13検体から陽性反応が出ています。

2010年の「COP10」に合わせて調査を継続発表

 担当理事の風間由加さんは「調査を通して、やはり工場のまわりにはGMナタネが多いという実感を得ました。ただ、製油会社でも種のこぼれを気にするようになり、従業員がナタネの抜き取りを行ったり、トラックの荷を満載にしないようにしたり、曲がり角では減速するなどの対応がされていると聞いています」と話します。
  種子ネットの入沢さんも「行政や製油会社の意識が高くなって、市が道路の清掃をするようになったり、製油会社でも清掃や抜き取りをするようになった。その影響でしょうか、ここ数年はGMナタネが減っていると感じます」と言います。
  地道に続けてきた監視活動は、徐々に効果をあげてきています。今後も根気強く地域の中で監視活動や対策を継続していくことが、非GMナタネを守り、在来種を守ることにつながっていきます。
  「GMナタネ監視活動は、組合員が食の安全・安心の視点からだけでなく、環境・農業への遺伝子汚染の問題を実感できる運動です。2010年に名古屋で開催される生物多様性条約締結国会議(COP10)に合わせて市民調査の発表ができるよう、あと2年、調査に力を入れていきたい」と生活クラブ連合会企画部長の前田和記は語っています。