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「雄武と生活クラブの提携懇談会」を設置、「まるごと」の産地提携をめざす!

「まるごと」の産地提携をめざす!─雄武町(北海道)と生活クラブの「提携懇談会」を設置

 ホタテ、毛がに、塩さけ切り身などの産地として知られる北海道の雄武(おうむ)町は、北海道チクレン農業協同組合が肉牛を生産委託している「おうむ農協」と「(有)おうむアグリファーム」があるところです。生活クラブの産地として他に例がない「漁業と畜産が横断する地域」ということから昨年10月、町の参加も得て今後の提携関係について協議していくことに合意。4月から「雄武と生活クラブの提携懇談会」が動き出しました。(2009年6月5日掲載) 

今後の水産物取組み強化のモデル産地候補

雄武漁協・ほたての栽培漁業

 水産大国ニッポン―はいまや昔の話です。国内の漁獲量は1984年をピークに減少を続け、2006年には567万tに半減、その傾向に依然、歯止めがかかりません。漁獲量の減少とともに深刻なのが漁業者の減少と高齢化です。07年度の漁業就業者数は約20万人で、これも84年に比べてほほ半減。また、60歳以上が約47%を占めています。このように、高齢化と担い手不足が生産基盤をさらに弱体化させ、漁業生産力が衰退しているのが現状です。
  そうした中で生活クラブは、国内自給を進めていく基礎となる産地を確立するために、漁協や漁連との直接提携を中心に、持続的な生産と消費のモデルづくりを目指す―など、今後の水産物の取組みに向けた強化策をまとめました。そのモデル産地候補として挙げられているのが雄武漁業協同組合(以下・雄武漁協 提携先・北海道漁業協同組合連合会)です。同漁協は秋鮭のふ化事業、ほたての栽培漁業、毛がにの資源管理を計画的に行い、栽培管理型漁業を実践することで持続的な生産を続けています。漁協組合員の年齢構成は60歳以上が25%と、全国平均を大幅に下回り、後継者も育っています。
  雄武漁協の水揚げ金額は36億円前後で、うち70%以上をほたて、鮭、毛がにが占めています。ほたては共同経営を行い、プール方式による利益分配で漁業経営全体の安定に貢献しています。そのことが、漁業後継者の育成につながっているといえるでしょう。

自給粗飼料を多く与える肉牛の肥育地

雄武町

 北海道のオホーツク海沿岸、稚内―知床間のほぼ中央に位置するのが雄武町です。人口は約5500人。面積は東京23区よりもやや広い637平方キロを有しています。オホーツク海に臨む海岸線は35kmに及び、海岸から南西に伸びる大地には緑輝く牧草地が一面に広がっています。その背後には原生林が残るピヤシリ山をはじめとする山系が連なっています。ちなみに、「雄武」の語源はアイヌ語の「オムイ」で、川が塞がることの意味。町を流れる雄武川は、嵐のときには川から海に流れ出る水よりも、海から打ち寄せる波のほうが強くて塞がってしまうことから、この言葉が当てられたと伝えられています。
  町の産業は冒頭で紹介した漁業、そして酪農です。また、生活クラブの牛肉の提携生産者・北海道チクレン農業協同組合(以下・チクレン)が生産委託している「おうむ農協」と「(有)おうむアグリファーム」が肉牛の肥育をしています。品種は乳用種のホルスタインの雄と肉専用種アンガス。一般的な肉牛の飼料は「さし」を入れるために配合飼料を多く与えますが、ここでは乾牧草やデントコーンサイレージなど粗飼料を一般より多く与えて育てています。
  ところで、アンガスは生活クラブにとって歴史のこもった品種といえます。日本の牛肉の価格が世界一高いと言われていた頃、生活クラブは牛肉市場の「霜降り信仰」に対して、「健康な赤身」を実現するために北海道の古平町(積丹半島)に(有)古平牧場を設立しました。そこで飼育する品種として選ばれたのが、粗飼料中心で育てられるアンガス種だったからです。イギリスのアンガス州で在来牛を改良した小型の肉牛で、西洋の中ではもっとも肉質が良いとされる肉専用の代表的品種と言われています。
  最終的に生活クラブはこの事業から撤退することになりましたが、牧場とアンガスは「健康な赤身」の取組みをかねてから進めていたチクレンに引き継がれることになりました。ただ、北海道は日本一の酪農地帯。肉牛として肥育されるホルスタインの雄が多く生まれることから、生活クラブも国内自給という点でホルスタインの取組みを優先させてきました。
  「その中でアンガスはなかなか表舞台に登場する機会がありませんでした。現在、加工肉を含めて生活クラブは共同購入で年間約4000頭以上の牛を消費していますが、そのうちアンガスは200頭程度です。しかし、飼料全体に占める粗飼料の割合は、ホルスタインが2割程度に較べアンガスは3割と高く、しかも粗飼料は100%が自給できていますから、飼料自給という生活クラブの考え方に合う品種と言えるでしょう。そのアンガスを日本でもっとも多く肥育しているのが雄武町のおうむ農協と(有)おうむアグリファームです」(生活クラブ連合会畜産担当の鮱名定昭さん)。
  雄武のアンガスの粗飼料になるのは牧草やデントコーンサイレージなど。その100%を地元でまかなっています。ちなみにチクレンは、ホルスタインでも粗飼料の100%自給を実現しています。が、配合飼料との比率ではアンガスにはかなわないといいます。

ナタネの栽培も始まる

 水産物、そして肉牛。文字通り「漁業と畜産を横断する地域」が雄武町ですが、実は地域では一昨年からナタネの栽培が始まっています。そのナタネの種子は生活クラブが持ち込んだもの。前出の鮱名さんは、そのきっかけをこう説明します。
  「畜産、水産の生産者と生活クラブで意見交換する機会があり、出席されていたおうむ農協の組合長にナタネの栽培をもちかけたことがそもそもの始まりです。組合長の『この辺は草しかできないけど、温暖化でナタネも育つかもしれない』という言葉に飛びついたわけです。ナタネ油生産者の米澤製油さんに連絡をとり、現地に種を送ってもらいました」
  これが一昨年のこと。1年目は厳しい気象条件で実験は実を結ばなかったが、2年目は搾油できるだけの収穫があったといいます。
  遺伝子組み換えナタネの栽培が日本への輸出国であるカナダ、オーストラリアで増加傾向にある中で、生活クラブの非組み換え原料を確保するとともに、組み換えの心配がなく、自給率が向上する国産なたねの栽培を産地とともに進めてきました。青森県の横浜町、北海道の滝川市ですが、産地拡大が重要な課題になっています。となると、今年秋の雄武の収穫がどうなるか、関心を持たざるを得ません。

「第一回 雄武と生活クラブの提携懇談会」

 雄武漁協、そしておうむ農協と(有)おうむアグリファーム、さらには提携先になる北海道漁連にチクレン、そして雄武町と生活クラブ。この6者で提携強化の範囲を広げるために設けられたのが「雄武と生活クラブの提携懇談会」です。4月に開かれた第1回では、産地交流会に消費地交流会、また、消費材開発などについて具体的な協議が行われました。
  雄武では畜産と水産で提携関係の強化がはかられています。これに加えてナタネ栽培が順調に推移すれば、まるごと地域とのつながりが出てきます。