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今年も長野県で「加工用トマト」を植え付けました

今年も長野県で「加工用トマト」を植え付けました

 市販の濃縮果汁製品と違って、生活クラブのトマトジュースは完熟した長野県産のトマトをそのまま搾ってつくります。しかし、原料となる加工用トマトの栽培は、苗の植え付けや収穫が短期間にまとまった作業を必要とし、生産者にとっては負担の多い作物です。そこで生活クラブは、農作業が集中する時期に組合員が労働参加をする活動を進めています。今年も5月13、14日の両日、東京・神奈川・埼玉・千葉の組合員15人が長野県・飯綱高原にある提携生産者の畑で、トマトの苗の植え付け作業を行いました。この生活クラブ独自といえる取組みは「計画的労働参加」といい、生産者から頼りにされ、15年目を迎えました。(2009年6月11日掲載) 

生産者から頼りにされ、15年目を迎える

今回は3人の生産者の畑でのべ1万3864本の苗を植えるのを手伝いしました

  「“おとうちゃん”と二人だけで作業していると、ささいなことでケンカになってしまうことがあります。だけど、おおぜいでやれば辛い仕事も笑いながらできます。とても楽しいです」
  長野県飯綱町で加工用トマトの栽培を営む相沢明寛さんの妻のけい子さんは、苗の植え付け作業をしながら笑顔で話します。
  5月13、14日と2日間にわたり新緑が薫る奥信州の飯綱高原で、首都圏に住む組合員15人がジュースの原料となるトマトを植える作業を行いました。
  生活クラブのトマトジュースは、長野産の加工用トマトを原料に指定しています。ところが、トマトの栽培は植え付けや収穫が短期間に集中するため、生産者にとっては負担の多い作物です。そこで、トマトジュースを利用する側の組合員が、人手を必要とする時に農作業に加わることで原料トマトの生産の安定化を図ろうとしています。この労働は一般的な援農にみられるような無償による提供ではなく、生産者から労賃が支払われます。したがって参加する組合員は、いっそうの責任を感じて農作業に取組んでいます。生活クラブ独自といえるこの活動は「計画的労働参加」といい、1995年から継続して実施され、今年で15年目を迎えました。
  「いつもは会社勤めをしているので、いろいろとストレスが溜まります。今回は休みを取って来ました。緑の中でかく爽快な汗は、それだけの価値があると思います」
  参加者には男性もいます。組合員の夫で神奈川県から来た木場一武さんはこのように話し、「ゴールデン・ウィークより心待ちにしていました」と続けます。また、「息子が家を離れて群馬県で就農しました。母として農業を体験したくて」と動機を語る組合員も。みな生産者の指導を受けた後、黙々と作業に励みます。  
  仕事は生産者があらかじめ畑の畝に敷いた黒いシートに穴を開け、苗を植え付けることから始まります。そして、生産者によってはさらに寒冷紗とよばれる白い覆いを畝全体にかぶせます。ちなみに畑にシートを敷くのは土の保温や雑草が生えないようにするためで、白い覆いには畑の保水やアブラムシを寄せ付けない効果などがあるといいます。

生産者のふだんの労働に思いを馳せる参加者

風で覆いが飛ばされないように土をかけます。腰をかがめた地道な作業が続きます

 当日は朝まで激しく降っていた雨こそ止んだものの北風が強く、覆いが風にあおられてかぶせるのも一苦労です。  
  「こういう時におおぜい来てくれて本当に助かった」と、JAながの飯綱トマト部会・前部会長の相沢明寛さん。  
  生産者はこのような仕事をいつも、ひとりかふたりで行っています。参加者は改めて生産者のふだんの労働に思いを馳せていました。
  5月中旬とはいえ高原の夕刻は冷え込み、中腰の作業が続くので肉体的にはきついものがあります。時折り腰を伸ばしたり、肩をすぼめて凍えるような仕草をする人も見られます。そんな時、収穫もふくめて何度か参加したことがある組合員が「仕事が終わって近くにある温泉にいけば、不思議と翌日まで疲れが残らないのよ」と言って励まし合っていました。
  「私たちが労働参加して農作業を支援します。でも、もし、食料危機がきたらその時は私たちを助けてください」 。 計画的労働参加を始めるようになったきっかけは、このような組合員の言葉が生産者を動かしたからだとトマトジュースを製造する長野興農(株)常務の小澤秀邦さんは明かします。
  そして、今日までの15年間で1300人近い組合員が参加し、生産者とともに汗を流してきました。
  JAながの北部培養センター係長の山田和弘さんは「世間では『消費者と生産者の顔が見える関係が大切』とよくいわれますが、生活クラブの組合員と生産者が一緒につくってきた関係は二歩も三歩も進んでいると思います」と評価します。

「収穫の時も参加をお願いします」と生産者

初日の農作業が終わりトマト部会長の杉山昭和さん(中央)は、組合員をねぎらう言葉をかけていました

 しかし、これまでの道のりは平坦なものではありませんでした。
  植え付けを行ったものの夏場の低温の影響で実がならず、畑から苗を抜く作業を組合員が手伝ったことがあります。それは泣きながらのつらい作業でした。また、生産者は収穫の機械化を検討しましたが、地面を這うようになる加工用トマトでは思うにまかせず断念した経緯もあります。
  そして、組合員による労働参加は定着しましたが、産地では後継者不足や生産者の高齢化、輸入原料との競争による価格の低迷などが重なり、栽培適地といわれる飯綱町でも加工用トマトを作付する面積が減る傾向が続いています。今年度の作付面積は565haで、前年に比べて98%となりました。
  現在、JAながの飯綱トマト部会の部会長を務める杉山昭和さんは「ぜひ収穫の時も労働参加をお願いします。トマトもみなさんに会いたがっているはずです」と参加者に呼びかけました。そして、組合員も夏に再び会えることを願うとともに、飲み続けることで生産を支えることを誓いました。
  市販のトマトジュースはトマトペーストを水で還元して製造するものが一般的ですが、生活クラブは収穫時期に一気に搾汁して一年分をつくるシーズンパックとよばれる製法です。

苗の植え付けに参加した組合員のみなさん。今回はトマトジュースの提携生産者である日本ミルクコミニティ(株)や長野興農(株)、JA全農からも参加がありました。

 「味はもとよりのどごしがまったく違うので、ぜひ一度試してほしい」と、毎日必ず2本は飲むという組合員は話します。
  また、生活クラブの共同購入では飯綱町でとれるズッキーニを扱っています。ズッキーニはウリ科の植物でナス科のトマトと異なるために、トマトを同じ畑で続けてつくることによる障害を防ぐのに有効な作物なのです。
  組合員が労働参加してつくられるトマトジュース、そしてズッキーニをつかってあなたもこの夏はラタトウユ(野菜の洋風煮込み)をつくってみませんか。きっとよそにはない味わいが楽しめるはずです。