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交流会の感動をみんなに伝えたい!!

交流会の感動をみんなに伝えたい!!

 生活クラブグループをあげて年間で最大規模の産地見学交流会・「第36回庄内交流会」が7月21日から24日にかけて実施されました。生活クラブの主要品目である米と豚肉の産地・庄内は「生活クラブの食料基地」。今年は2グループに別れAグループは、庄内コースのみのBグループと合流する前に、山形県の内陸にある寒河江市、大江町を訪れ、提携生産者と交流を重ねました。(2009年8月19日掲載) 

1日目―日本酒・ワインなどの「千代寿虎屋」、りんご、ラフランス、野菜などの「JAさがえ西村山」と産地交流

 3年ぶりに組まれた内陸コースに参加したのは上野しのぶ団長、太山清美副団長ら37人。 JR山形駅から千代寿虎屋のある寒河江市に向かう移動中、参加者にもたらされた話が「これまでに経験したことのない」(JAさがえ西村山・大江りんご部部長の鈴木文雄さん)という、りんごの雹害(ひょうがい)でした。6月17日の昼頃、約10分間にわたって5~10ミリ大の降雹があり、JAさがえ西村山のりんごの60%近くが被害に遭ったといいます。
  千代寿虎屋で日本酒造りに欠かせない酒造好適米の地域内連携や水、さらに工場を見学しながらの説明をうけた後、一行が向ったのは雹害がもっとも激しかったりんご畑でした。実は昨年、りんご価格は暴落。今年の雹害はりんご農家の経営悪化に「さらに追い討ちをかけることは確実」(鈴木さん)だといいます。実際の現場をみた参加者からは「こんなにひどいとは」という声が漏れたほどです。鈴木さんは「この現状を帰ったら伝えて欲しい」と訴えました。また、参加者が驚かされたのは農家の高齢化問題でした。大江町の農家の65歳以上人口は73%にのぼり、後継者も育たず有効な対策もないという説明があったからです。
  トマトハウスにおける減農薬と環境保全型農業の実際、伝統を守り続ける女性たちによる農産物加工所の見学を終え、夜は奥大江にある宿で生産者との交流会がありました。この場でも、りんごの雹害が話題になり、交流会の冒頭、JАさがえ西村山産地協議会会長の大泉太吉さんは、こう強調しました。「消費材として何らかの形で受けいれてもらえれば、りんご農家の支えになる。そしてこの交流会でよりよい絆が結ばれることを期待したい」

2日目-だだちゃ豆、赤かぶ漬けなどの「月山パイロットファーム」、こめ育ち豚の「平田牧場」、豚肉加工品の「平牧工房」

 この日のテーマは、こめ育ち豚を核にした「健康な家畜の生産と地域内循環」。Aコースは、この日庄内入りするBコースと合流する前に、月山パイロットファームの圃場を見学しました。その面積は東京ドームとほぼ同じ5.2ha。同ファームの相馬大さんは開口一番「この面積で栽培される農産物だとわずか40人しか生きられません。日本の農地面積は470万haですが、輸入農産物を面積に換算すると1200万haにのぼり、輸入に依存しています。しかし、世界では水不足による農地の劣化が進み、毎年400~500万haが砂漠化している」と解説しました。そのうえで、つくり続けられる環境こそ、将来にわたって食べ続けられることにつながると指摘しました。
  馬鈴薯の提携から始まった生活クラブと同ファームの関係は32年に及びます。農薬をできる限り使わない持続的な農業と、平田牧場の堆肥、JA庄内みどりのコメぬかを使った土づくりという地域内の資源循環に取り組む実際をつぶさに見た組合員に、相馬さんは、こう言葉を継ぎました。
  「申込み用紙に1と書くことが、農薬を使わないことと庄内の資源循環につながり、それが、子どもや孫の未来も共同購入することになるのです」

平田牧場本社ミートセンター

 Aコース、Bコースは庄内空港で合流後、Aコースは平田牧場本社ミートセンター→平田牧場の千本杉農場、Bコースは平牧工房→千本杉農場のルートで現場を視察しました。本社ミートセンターでは、1頭からとれる部位バランスの確認や、枝肉がどういう工程を経て「食肉」になっていくのかなどについて、平田牧場のスタッフの詳細な説明で学びました。また、平牧工房では、食品添加物を使わない無塩せきハムとウインナーなどの製造工程や品質管理の実際を学びました。千本杉農場の視察は防疫上の観点から車上からになりましたが、こめ育ち豚の姿が見えると「あー、いたいた」という歓声がどこからともなくあがりました。
  食料自給率の低下に歯止めがかからないなかで、平田牧場は1996年から、減反や休耕田を利用して飼料用米をつくりそれを豚の飼料にすることで、食料自給率を上げようという取組みを始めました。2004年には「遊YОU米」の故郷・遊佐町とJA庄内みどり、平田牧場、生活クラブ、山形大学などが連携して、環境保全型の「飼料用米プロジェクト」がスタートしました。平田牧場の堆肥も利用し、飼料用米を生産することで地域循環型農業に近づけるとともに、水田を守り、食料自給率を高めることを目指しています。この取組みは「自給モデル」として注目され、昨年は生活クラブの提携産地の宮城県のJA加美よつば、栃木県開拓農協へ作付けが拡大。昨年は340haに作付けされ2,133tが収穫されました。平田牧場での視察の際、これが今年は作付け面積で92ha、収穫量は4,051tへとさらに増える見通しが示されました。これに伴い、5%給餌していたお米の割合を今年8月から10%に変更する(供給は44週から)こと、さらには、穀物価格が下がったことによる豚肉の値下げ(36週から)も明らかにされました。
平田牧場と平牧工房とは、現場視察を終えた後に、生産者との意見交換の時間が設けられました。参加者は4グループに分かれ、「こめ育ち豚の現状とこれから」や1頭買いの意味、利用促進などについて話し合いました。
平田牧場とは一頭買いについて、こんなやり取りがありました。
  「個配なので偏りのある注文をしている」「頭では分かっているけど、実際は意識していない」「スライスもいいけどブロック肉もみんなで食べようと、料理講習会を開いている」(以上、組合員)。
  この部位バランスは庄内交流会でも毎年話題に上ります。平田牧場のスタッフはこれについて、「人気のある部位だけの豚はいません」と断言しつつ、こう説明を加えました。「部位バランスが大切なことは言うまでもありませんが、加工肉の利用も含めて、と考えてください。また生肉ではいまロースが余剰気味ですが、これもひき肉に使われます。つまり、ひき肉が部位バランスの調整役を果たしているのです」。このほか、「脂身が多くなった」などの意見も出されました。これに対して平田牧場からは「豚の元祖はイノシシで、脂身がつく動物。ただ、課題として受け止めたい」との考えが示されました。

3~4日目―「遊YОU米」のJA庄内みどり遊佐支店、日本酒の「杉勇酒造場」、そして意見交換と山形親生会と交流会、懇親会。4日目、Aコースは平牧工房、Bコースは庄内食肉流通センターでと畜の現場を視察

■杉勇酒造の酒米の説明(写真:左)■共同開発米の圃場に設置された看板(写真:中)■無農薬実験米の説明

 前日の夜、JA庄内みどり共同開発米部会並びに遊佐支店女性部との交流会の熱が冷めやらぬまま、「遊佐の米づくり これまでとこれから」をテーマに、午前中は無農薬栽培、飼料用米圃場と精米センター、カントリーエレベーター、杉勇酒造場の酒米圃場の視察。午後は「遊YОU米」生産者との意見交換会、山形親生会との交流会、懇親会が行われました。

JA庄内みどり遊佐との交流会

 2004年から本格的にスタートした「飼料用米プロジェクト」。その先鞭をつけたのは遊佐町でした。当初、7.8haだった面積は今年170haまで拡大しました(JA庄内みどり管内では約454ha)。さらに、全国から視察が絶えないなど、その実際が注目を浴びています。一方、遊佐町で収穫されるお米の約70%を生活クラブが利用しています。JA庄内みどり遊佐支店の営農課長の佐藤秀彰さんは、「飼料用米については実践しながら国などに提言していく重要性を知りました。また、登録米制度をはじめ、つくっているお米をすべて食べてもらえるという支えがあったから出来たことです」と指摘しました。
  4グループに分かれた意見交換会では、共同開発米の会長、川俣義昭さんが「スーパーに並んでいるお米とどこが違うかとよく聞かれますが、一緒につくりあげてきたことと、顔が見えるお付き合い」としたうえで、こう続けました。「我々も安全、安心についてはステップアップし、使う農薬成分を8成分まで減らしてきました。また、無農薬栽培にもチャレンジしています。これは皆さんと一緒につくりあげてきた成果だと思います。ただ、皆さんは数字の低い方に関心が向き、高いものは安全ではないと思われるかもしれませんが、それでは困ります。北海道も岩手もこことは気候風土が違います。そのなかで最大限の努力をしている農法を理解してもらいたい」

山形親生会との交流会前列左:平田牧場会長の新田嘉一さん

 山形親生会との交流会のテーマは「山形親生会の地域内資源循環」。飼料用米取組みの現状(庄内みどり)や、資源循環と自給の取組み(羽黒・のうきょう食品加工)など、それぞれのテーマに沿って報告をしました。
  「生活クラブの食料基地」庄内。遊佐の米生産者ら21人らが始めた飼料用米はこめ育ち豚に給餌され、「自給力向上モデル」として国の農業政策にまで影響を及ぼしています。また、平田牧場で生産される堆肥が、遊佐や月山パイロットファームを始めとする庄内の田畑に利用されるという循環は、「地域内資源循環」の好例として注目されています。その実際を視察した参加者に、山形親生会の顧問で平田牧場会長の新田嘉一さんは、懇親会の場で「国もようやく自給の重要性を分かってきた。それはとりも直さず、生活クラブが正しかったことの証明」と訴え、こう続けました。
  「36回も庄内交流会が続いているのは、皆さんが見たこと、聞いたことを地域に帰って伝えてきたからです。食料がいつでも輸入できる時代はもう終わりました、昔から自給の大切さや安全にこだわってきたのは生活クラブだけ。それを、飼料用米、こめ育ち豚という形として提携のなかで実現させ、国もそれに理解を示すようになってきた。ともに辛抱してきた喜びを皆さんと分かち合いたい」
  これに対して太山副団長は「飼料用米、こめ育ち豚はお互いの関係で築きあげたこと。生活クラブと生産者の関係がより深いものになるように、庄内交流会の感動を他の組合員に伝えたい」と強調しました。また。上野団長も、「庄内では若い生産者に会えて良かった。生産者の方々の一生懸命さ、見て、きいたことを単協に持ち帰って伝えていきたい」と締めくくりました。