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飼料用米の給餌を5%から10%へ

飼料用米の給餌を5%から10%へ

 「こめ育ち豚」は、これまで「飼料用米」の給餌が5%でしたが、11月2日(44週)供給から、10%給餌した豚肉が組合員に届けられます。多くの生産者で「飼料用米」の作付けが進んだことが要因ですが、平田牧場によれば、「味の面でも、いっそう美味しい豚肉になっている」といいます。(2009年10月16日掲載) 

いっそう美味しい豚肉に

 「食料自給率の向上をめざしてみなさんと進めてきた『こめ育ち豚』ですが、豚にコメを与える割合が従来の倍にあたる10%となった肉を11月2日(44週)から供給できる見込みになりました」
  生活クラブの豚肉の提携生産者である(株)平田牧場・本社ミートセンター長の後藤徳雄さんは、7月に開かれた庄内交流会で組合員に「こめ育ち豚」の成果をこう報告しました。
  「自給率を高めることにロマンをかけよう」と1996年から始まった平田牧場とJA庄内みどり遊佐支店、それに生活クラブなどの飼料用米への取り組み。荒唐無稽と思われた活動も、平田牧場で年間16万頭生産されるすべての豚に対して肥育後期から配合飼料全体の10%分をコメで与えられるまでになりました。
  現在、日本の食料自給率は41%程度。なかでも穀物自給率は約25%と低迷しています。主食のコメがほとんど自給できているにもかかわらずこのような低い割合かといえば、家畜のエサとなる穀物の大部分を輸入に依存しているからにほかなりません。とりわけトウモロコシは配合飼料の半分近くを占める穀物ですが、ほぼ全量を米国からの輸入に頼っているのが実情です。
  その米国ではバイオエタノールの需要や、穀物への投機的な動き、そして世界的な穀物需給のひっ迫によってトウモロコシ相場が一昨年、昨年と急騰したのは記憶に新しいところです。また、同国では、日本の多くの消費者が不安を抱く遺伝子組み換えトウモロコシの作付割合がすでに85%まで広がっています。
  このようにトウモロコシをはじめとした飼料用穀物の輸入には数々の問題がありますが、生活クラブと提携生産者は、飼料の自給を目標に十数年前から飼料用米の可能性を追求してきたのです。
  ところで、飼料用米を10%与える効果は自給率の向上だけではないと、後藤さんは次のように説明します。
  「コメを与えないものや5%給餌の豚肉と比べて、うま味成分であるオレイン酸が増加することが試験結果により明らかです。また、脂肪の融点も低くなり、口どけがさらに良くなります。つまり、いっそう美味しい豚肉になるのです」
  実は生活クラブは以前、しゃぶしゃぶ用の豚肉などに限定して10%給餌の「こめ育ち豚」を共同購入をしていました。それは飼料用米の生産が少なかったのが理由ですが、増産が確認された2008年の秋、給餌率を5%に引き下げるかわりに全頭に与えることを平田牧場とともに決めました。

「飼料用米」の作付けの増加が要因

コメ10%に

  その時の経緯を生活クラブ連合会の守屋馨畜産課長はこう説明します。
  「私たちは生産者と組合員が一緒になって“自給力”を高めていく活動として『こめ育ち豚』を位置づけています。ですから、生活クラブで共同購入するすべての豚肉を『こめ育ち豚』にして組合員とその成果を共有し、次の目標を10%給餌にすることを選んだのです」
  もちろん、生活クラブと平田牧場の努力だけでは「こめ育ち豚」が実現できないことは言うまでもありません。それには飼料用米を栽培する農家の存在が不可欠です。今回の10%給餌の実現には、生活クラブが提携する多くの農産物の生産者が飼料用米の作付を始めたことがあげられます。
  「当初から飼料用米づくりに取り組んでいる山形県のJA庄内みどりの生産者はもとより、昨年度から宮城県のJA加美よつば、栃木県開拓農協、そして今年度から新いわて農協が栽培を始めました。その合計は作付面積で約700ヘクタール、収穫は約4000トンの予測です。面積でいえば5年前の100倍近くにあたります」(守屋馨畜産課長)
  マスコミからも注目され、広がる一方にみえる飼料用米ですが、大きな課題を抱えているのも事実です。それは価格で、飼料用米は食用のコメの5分の1程度にしか過ぎず、栽培農家が採算を取るには困難な側面があります。また、飼料用米を買い取る平田牧場からみれば、高騰した輸入トウモロコシよりも高値。共同購入する組合員が生産者のこのような事情を理解したうえで食べ続けることが重要になっています。
  それでも、実際に飼料用米を栽培する遊佐町の提携生産者で、共同開発米部会長の川俣義昭さんは、「長年農業を続けてきましたが、減反によりすべての田んぼでコメを作付することができませんでした。ところが飼料用米が転作作物と認められたことで、初めて全部の田んぼでコメをつくることができました。価格は安いけれど、コメ農家としてはうれしいことです」と話します。
  また、前出の守屋馨畜産課長は、「国も飼料用米の取り組みを評価し、08年度から新たな助成の枠組みをつくりました。今後もコメ、豚、双方の生産者と実践や意見交換をしながら国に政策提言していきたい。」と抱負を語ります。