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「天津甘栗類」中国の栗の生産地に調査団を派遣

「天津甘栗類」中国の栗の生産地に調査段を派遣

 生活クラブ連合会は、07年度から中国で栽培・加工・製造する消費材の現地検証を実施してきました。「中国はるさめ」「ザーサイ」「きくらげ」に続いて、9月24日~29日にかけて「天津甘栗類」の原料となる栗や製造工程を点検するための調査団を派遣。栽培や加工工程での高い安全性を確認しました。(2009年12月9日掲載) 

苦労を分かってくれる人たちに出会えた

張玉文さん

 「農薬を使うと栗の木が弱り、かえって虫がつきやすくなることを経験的に知っています。だから、手間がかかっても無農薬を基本に品質のよいものをつくるように努力してきました。ようやく私たちの苦労を分かってくれる人たちに出会えた気持ちです」
  中国は河北省遷西(せんざい)県の揚家峪(ようかこく)村で栗を栽培する張玉文さんは、産地を訪れた生活クラブ連合会・開発部の木下雅晴加工食品課員にこのように話します。
  生活クラブ連合会は9月24日~29日にかけて、消費材の天津甘栗類の原料となる栗や、現地工場での製造工程を点検するために調査団を派遣。栽培や加工工程での安全性を確認しました。  
  このように中国産の消費材を現地で検証するのは、今回で4回目。これで「中国はるさめ」「ザーサイ」「きくらげ」「天津甘栗類」と、2007年度より進めていた中国で栽培・加工・製造する消費材の確認が終了したことになります。
  生活クラブでは、消費材の原料は国産を基本にしています。しかし、なかには日本で生産できない食べ物もあります。天津甘栗類もそのひとつ。日本の在来種であるニホングリではつくることができません。中国原産のチュウゴクグリでなければ、あの独特の実の甘さは引き出せないのです。
  チュウゴクグリの主産地は中国北部に位置する河北省です。万里の長城に近い揚家峪村などがある地域は、寒暖の差が大きくミネラル豊富な土壌のため、品質のよい栗ができることで知られています。ちなみに「天津甘栗」とは、日本に栗を出荷した港に由来するといわれており、天津市では栗の栽培はほとんど行われていません。

原則無農薬で栽培履歴をつける農家を指定

 消費材の原料となる栗は揚家峪村のなかでも原則無農薬で、栽培履歴をつけている農家を指定して取り組んでいます。今期は84軒の生産農家と契約。前述の張玉文さんもそのうちのひとりで、100年以上前の祖父の代から栗を栽培する歴史ある農家です。  
  「張さんは揚家峪村でも栗栽培のパイオニアといえる人物です。現在この地域では『3113』という品種が広く栽培されていますが、1970年代に10年くらいかけて数十種類の栽培実験のなかからようやくたどり着いた品種です。張さんは当時、日本人研究者とともに品種改良に携わりました。その話をするうちに苦労を思い出し、涙ぐむこともありました」  木下・加工食品課員は、張さんの栗栽培への強い想いを感じたと語ります。  
  農家が収穫した栗は、「栗郷源専業合作社」の手によって集荷されます。合作社とは、日本の農協のような組織で、各農家の出資によって成り立っています。合作社は幹線道路などで買い取りを行うブローカーなどより1割以上の高値で農家から買い入れるとともに、栗の販売後に剰余が出た場合は、農家へ割り戻しも実施し、相場に左右されにくい持続可能な農業を推進しています。  
  生活クラブの天津甘栗の提携生産者である藤原食品(株)・社長の藤原拡人さんは、次のように話します。  「揚家峪には協同組合のような合作社があること、そして、栗の営農指導者がいることが、他産地にはない大きな強みです。生協である生活クラブの活動とも共鳴する部分が多く、食べ物をつくる生産者であることの責任を強く意識しています」

農家の気持ちに国境はありません

 約2年前に起こった餃子事件など、中国産品に対する消費者の不信感は根強いものがあります。しかし、いいものをつくろうとする生産農家の気持ちに国境はありません。「生活クラブが日本国内で提携する生産者と同じような志を持った人たちが中国にもたくさんいます」と、藤原さんは話します。  
  集荷後の栗は生産者を指定して明確に区分管理されるとともに、-3℃~0℃に設定された原料冷蔵庫で保管されます。このような低温で管理するのは、栗が自らの熱によって劣化するのを防ぐためです。  
  栗はその後、大きさによって選別されますが、その作業にあたっては原料のロット番号や選別量、規格外量などがきちんと記録され、トレースできる状態にあることが確認できました。また、保管された栗は、輸出用の船積み冷蔵コンテナに詰められ、封印されて合作社から天津港、そして日本に入港することも確認できました。  今回の点検ではもうひとつの栗の産地である河北省・青龍満族自治県の生産者も訪問しました。生活クラブが2産地からの栗を扱う理由は不作に伴う原料確保のリスクを分散することと、品種や地域が違うことによる収穫期のずれを活かして10月~5月まで安定的に取り組みを行うことにあります。  
  もちろん青龍満族自治県でも、原則無農薬で栽培履歴をつける生産者との契約栽培を実施。今期は91軒の生産農家と契約しました。  このように生活クラブは海外産地でも原材料の一つひとつの素性を確かめる活動を進めています。それは食べ物の安全性とは、生産段階までさかのぼって確認できることによって確保されると考えるからです。そして、海外の生産者とは、産地が持続的に生産できることを基本にし、“奪わない”あり方を重視して提携を結んでいます。

天津甘栗