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長崎県漁連と「水産交流会」を実施!

長崎県漁連と「水産交流会」を実施!

 燃油の高騰、魚離れなどによる魚価の低迷など厳しい環境に置かれている日本の水産業ですが、生活クラブは2002年、「生活クラブ・水産物の取り組み方針」を契機に、「産地の人々と組合員が直接対話により意見交換することで互いを知る関係」を目指して交流会を実施してきました。さらに2008年の「生活クラブ・水産政策」で「産地との提携強化」の基本政策を確認し北海道の雄武、岩手県の重茂、三重県、千葉県、そして長崎県を拠点産地として位置づけるとともに、目的を定めた交流を進めてきました。昨年12月上旬には生活クラブ連合会の福岡良行専務理事、一政伸子連合消費委員長ら8人が、長崎県漁連や野母崎(のもざき)三和漁協の皆さんと意見交換するために長崎県を訪れました。(2010年1月18日掲載) 

水揚量、国内第2位の漁業県

しめさばの生産者、藤岡水産の工場見学

 長崎県は五島・壱岐・対馬を中心に遠くは東シナ海と全国有数の好漁場の恩恵を受け、豊かな魚介類に恵まれた「海の幸」の宝庫で、水揚量国内第2位の漁業県です。また、アジやサバといった基本魚種の水揚量も多いことから、「08年に確認した水産政策の推進を目指すうえで、欠くことのできない拠点産地として提携強化を進めています」(生活クラブ連合会開発部水産課長・志村保幸さん)  
  長崎県漁連との提携強化の内容は、「地域横断型提携の推進」と「未利用魚や資源の有効利用」、さらに「環境・資源保全への(生活クラブ)参加」の3点です。これまで生活クラブと長崎県漁連との関係は、漁連が問屋機能、漁協や民間の加工会社が製品開発するという「個別提携型」とも言うべきものでした。このため、産地との情報交換が少なく関係性が希薄になりやすい、一方で、一定レベル以上の加工場がある産地のみとの取り組みという課題を残していました。
  これを地域横断型に変えていく―。これが今後目指していく「地域横断型提携の推進」です。生活クラブは長崎県漁連などに、漁連のコーディネートにより、漁協の規模が大きくない域内の複数漁協が協力して統一規格品を開発・製造する仕組みづくりを提案しています。その目的は(1)小規模産地が連携することで生産と供給の安定性を確保する(2)製品の共同開発体制をつくることで域内連携を進める(3)生活クラブが開発に参加することで産地との関係性を強化する―で、資源管理や養殖魚などへのアプローチもこれが礎になるという考え方です。 今回の交流会はその可能性を探ること、さらには「未利用魚や資源の有効活用」として、鮮魚出荷に向かない未利用魚種や規格幅を広げた資源の有効活用に関する意見交換などをポイントにしました。

漁業環境は厳しい状況に

早朝のセリ視察

  交流会は長崎県の水産情勢の説明会と意見交換で始まり、早朝のセリ視察、長崎県漁連の加工センターや消費材でお馴染みの「煮干」の共販場、これまたお馴染みの「しめ鯖」の加工場、さらには「地域内横断型提携」の候補に挙がっている野母崎三和漁協の水産加工場視察と意見交換、また、漁協や水産加工会社による製品の提案などが行われました。  
  長崎県の水産関係者が複数参加した水産情勢の説明会で生活クラブの福岡専務は、「生活クラブの水産政策は日本型食生活を大事にし、自給力を高めるために水産物の取り組みの強化を掲げています。それを協同組合間協同で強めていきたい。それには生産者と組合員の交流を強めなければならならないと思っています。組合員の参加による今回の交流をお互いの信頼関係を強める契機にしたい」と語りました。また、連合消費委員長の一政伸子さんは、「生活クラブは産地提携という言葉を使っていますが、それは対等な関係でお互いの夢や希望をかなえていく生産者と消費者のつながりのことを意味していると思っています。水産物についてはまだ始まったばかりですが、この交流会をこれからの第一歩にしていきたい」と語りました。  
  長崎県の水産情勢の説明会で明らかにされたのは、海水温が過去50年間で2℃も上昇して魚の揺りかごと呼ばれる藻場が減少する「磯焼け」現象が続いていることやマイワシ資源の急激な減少、さらには中国漁船との東シナ海などでの漁場競合などの影響で「水揚げが過去10年間で半減した」(長崎県水産部の担当者)ことでした。加えて、過去10年間で4倍に高騰した燃油代、消費者の魚離れと魚価の低迷という新たな問題に直面し、「漁業環境は漁業者のみならず水産加工、小売まで含めて厳しい状況に置かれています」(前同)  こうした情勢に対して県は、「資源を育む海づくり」や持続的、安定的な養殖業の育成などをはじめとする「魅力ある経営体づくり」などの施策を実施し、漁業で生活していける漁業づくりを推進しているといいます。

協同組合間協同でモデル化したい

製品の提案

 説明会での意見交換では、長崎県漁連福岡事業部長の渡邉秀悟さんが、資源保護のために底引き漁の漁場を変えるための試験操業について解説し、「底引き網漁は水深150~200mで漁をしています。ところが資源が減少しているため、より深い500~600mラインで漁ができないか試験操業しているところです。その間、150mラインは休漁にするという試みです。500mラインで獲れる魚はいわゆる深海魚ですが、色々な魚がいるのでこれを利用できないか」と提案しました。このほか、アサリなどの食害があり駆除の対象になっているエイや、現在は一部の練製品くらいしか使われていない小型のシイラ、養殖魚の餌として使われている小型のサバなどについて、「この未利用資源の有効利用を考えないと日本の漁業は生き残れない」と指摘しました。
  一方で、長崎県水産加工振興協会の担当者は、未利用資源のみならず、流通している魚種の魚価が低迷している現状を説明しつつ、これらを加工製品化して流通させることで持続的な漁業につなげていく必要性を訴えました。
  これらの提案に対して、連合消費委員からは未利用魚種を組み合わせた鮮魚のセットや、食べ方を含めた製品提案も必要ではないかなどの意見が出されました。また、未利用資源について生活クラブ連合会の福岡専務は、生活クラブの立場をこう説明しました。
  「規格に縛られる市場流通の中では未利用資源が発生します。これは実にもったいないこと。それをいかに食べていくかを協同組合間協同でモデル化すれば社会化していく可能性があります。それが実現できれば、漁業者の所得補償と大事な食料資源をムダなく食べることにつながっていきます」
  その後の意見交換では、生活クラブ側から、組合員が資源保護に参加する方法として水産資源の増大に向けた人工漁礁へのカンパの取組みの可能性などが打診されました。一方、長崎県漁連側からは、持続的生産のひとつとして、「安全・安心な養殖魚」への取り組みが提案されました。説明会、意見交換の最後に長崎県漁連の渡邉部長は、生活クラブが提案している「地域横断型提携」に前向きに取り組む意向を示しつつ、過疎化にも悩む漁村・漁業者にとって「頑張って」という声が励みになるとして、こう話しました。  
  「長崎県は漁業がメインですが離島、半島が多くどこも人口減、過疎化が進んでいます。漁業で生活が成り立たないので人は都会へ流出していく。それを食い止め、元気づける取り組みができないかをいつも考えているところです。離島で生活している人は都会の人と接する機会は少ないのが現状です。生活クラブの組合員に直接、『頑張ってください』と声を掛けられれば、漁業者も『やってみようか』という気になる。交流を通して過疎化した漁村を元気づける方法について一緒に考え、実践していきたいと思います」

生活クラブの提案に大きな関心が

浅川代表理事組合長(前列右から2人目)らと

 生活クラブが提案している「地域横断型提携」の候補に挙がっているのが、前述したように長崎半島のほぼ先端に位置する野母崎三和漁協です。生活クラブの参加者は、同漁協の水産加工場を見学した後、長崎県漁連の関係者を交え、代表理事組合長の浅川勝さんと意見交換しました。
このなかで浅川さんは、バイヤーや大手スーパーが産地に要求するのは価格の安さで、しかもアジなど限られた魚種だけを買い取るという実態を説明し「スーパーが引き取らない魚は近所に配っている。これでは漁業者が貧乏になるだけ」と話し、この場で生活クラブが提案した少量多品目のセット取り組みに対して大きな関心を寄せました。また、長崎県漁連の渡邉部長は「地域横断型提携」に触れ、「長崎半島をひとつの地域として考えた場合、そこにある各漁協が原料供給しながらつながりを持てば協力体制を築くことができます。今後、その話し合いを強めて地域で協力して製品開発することも考えていきたい」と意欲を示しました。
  この場で、生活クラブ連合会の福岡専務は交流会の最後をこう締めくくりました。  
  「皆さんの協力もあり意義のある、そして今後につながる交流ができました。組合員が参加して話し合ったことに意味があり、こうした交流を継続して協同組合運動の発展につながるようにしたいと思います」