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"こめ育ち鶏"を3月から供給!

 食料自給率向上の仕組みとして注目されている「飼料用米」。作付けされていない水田を減らし、なおかつ輸入に依存している穀物飼料をお米に置き換えることで確実に自給力の向上につながる取り組みは、日本各地に広がりつつあります。生活クラブの鶏肉の生産者も昨年の試験給餌を経て、今年1月から本格給餌をスタートさせました。(2010年2月19日掲載) 

秋川牧園は5月まで、群馬農協チキンフーズは年間

こめ育ち鶏に給餌している飼料米

 “こめ育ち鶏”に取り組むのは秋川牧園(山口県)と群馬農協チキンフーズです。飼養している種鶏は国産鶏の「はりま」。秋川牧園の場合、これまでのエサの構成比はトウモロコシ(45%)、マイロ(24%)、大豆粕(25%)などとなっていましたが、全体の10%を飼料用米(もみ米)に置き換えていきます。群馬農協チキンフーズもこれまでのエサの構成比率は秋川牧園と若干異なりますが、飼料用米(玄米)の配合比率は5%になります。給餌期間は秋川牧園が2010年1月から3月まで、群馬農協チキンフーズは2010年1月から連続して給餌します。飼料用米を給餌された“こめ育ち鶏”は3月から出荷され、秋川牧園は5月まで、群馬農協チキンフーズは年間での取組みになります。
  ちなみに「はりま」の飼養期間は60日。飼料は生後14日までの「前期飼料」、15日から27日までの「中期飼料」、28日から60日までの「後期飼料」に分かれますが、飼料用米は後期飼料の一部に使われます。飼料用米を給餌する羽数は秋川牧園が年間生産数55万羽の約5%に当たる約2万6,000羽、群馬農協チキンフーズは年間生産羽数の100万羽を予定しています。
  「はりま」の飼料用米本格取り組みにあたっては、2009年に両社で試験給餌が行われました。「秋川牧園、群馬農協チキンフーズで給餌率や羽数は異なりますが、試験結果から判断して、飼料用米を給餌しない場合と比べて、 食味に違いがあることを確認しています」とは生活クラブ連合会開発部畜産課の守屋課長。実際、生産者が明らかにしている試験結果では、好結果が得られているといっていいでしょう。

試験結果では“こめ育ち鶏”に軍配

国産種鶏「はりま」

 飼料用米が各方面から注目されていますが、先行している豚や採卵鶏ではすでに各地で様々な取り組みがあることから、お米を飼料に使うことの試験データの蓄積があります。ところが、肉用鶏ではその取組みがほとんど進んでいないため、飼料用米を普及させる観点からも、両社の試験は重要な位置を占めていたと言えます。
  秋川牧園は(独)家畜改良センター兵庫牧場とともに、マイロの替わりとして全体の10%に飼料用米(もみ米)を与えました。飼料用米を使わない対象区と比較した結果、出荷平均体重や増体重などの肥育成績は、飼料用米給餌区が若干優れている傾向が見られています。また、食味の官能検査については「飼料用米が10%の配合割合だったということもあり、はっきりとした差は見られなかったものの、全体的に飼料用米を給餌した鶏肉の方が良いと評価されていた」と、家畜改良センターと秋川牧園との共同名で出した〈国産鶏種「はりま」での飼料米給餌試験の取り組みについて〉では報告しています。  
  一方の群馬農協チキンフーズは群馬県畜産試験場とともに、こちらはマイロではなくトウモロコシの50%を飼料用米に置き換えるなどの試験を行いました。その結果について同社がまとめた〈群馬農協チキンフーズ飼料用米取り組み〉のなかで、成分試験のまとめとしてデータを具体的にあげつつ、「むね肉に関しては顕著な差は確認できませんでしたが、もも肉に関しては栄養素、旨み成分においてはっきりとした差が確認できた」などと記し、飼料用米を与えた「はりま」に軍配を上げています。

「全出荷羽数で10%給餌を目指したい」

飼料用米フォーラムでの秋川牧園の展示

 “こめ育ち鶏”にも課題がなかったわけではありません。2月6日の横浜市で開かれた「飼料用米フォーラム」の席上、秋川牧園社長の秋川正さんは、飼料用米の試験に取り組んだきっかけを、「輸入に依存している飼料問題を自分たちで解決していけないかと考えていたところ、平田牧場の飼料用米への取り組みの話を聞いたこと」と明かしつつ、飼料用米生産者の確保に苦労した経験をこう説明しました。
  「試験結果は、お米の食べ残しもなく肉質についても『おいしい』という声が多かったと思います。しかし、飼料用米については西日本ではあまり理解が進んでいなくて、試験を始めるにあたっては生産者探しから始めなければなりませんでした。その後、飼料用米についての研修会を開くことで地元のJAなども前向きになってきています。試験段階では0.3haの作付けだった面積が今春は10haを確保できそうな勢いになってきています」 
  2005年に全国で45haだった飼料用米の作付面積は2009年には約4,100haに拡がりましたが、飼料用米の畜産飼料への利活用は米農家の理解がなければ進みません。今回の“こめ育ち鶏”で使われる飼料用米の予測収量は秋川牧園が14.3t、群馬農協チキンフーズが275tにのぼります。今後について前出の守屋課長は、2011年度の給餌目標をすべて10%にするとともに、「点検と検証を行ったうえで全出荷羽数を目指したい」として、こう続けます。
「飼料用米が拡がるためには、輸入トウモロコシとの価格差や低コスト生産とそのための多収穫品種の安定供給、さらには保管と流通体制の確立などの課題が残されています。それを解決するのは『食べるからつくって』という消費者の声でしょう。消費する力が飼料用米の今後、つまりは自給力向上の鍵になるのです」