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「生産への労働参画」夢都里路くらぶ

 農業従事者の高齢化、後継者不足が深刻化し、「命の源」である食料の自給は生産者任せにできない状況になっています。そこで生活クラブ連合会は2007年から、加工用トマトの収穫援農「計画的労働参加」などの経験を踏まえ、「誰かが守ってくれるのを待っていても未来は拓けない」として「生産への労働参画プロジェクト」をスタートさせ、現在は夢都里路くらぶとして具体的な取り組みを進めています。2009年度には山形県や宮城県、奈良県などで援農が行われ、今年1月29日からは沖縄県でさとうきびの収穫体験がありました。(2010年2月26日掲載) 

沖縄で最もきつい「手刈り」を体験

 生活クラブが取り組んでいる「素精糖」の原料は沖縄県産100%のさとうきび。台風など自然条件が厳しい沖縄にとって欠くことのできない基幹作物です。しかし、その生産基盤は高齢化とともに農家戸数が減少し脆弱化しています。ただ、生産量については、経営安定対策として交付金が支払われることで機械化と規模拡大が進み、2006年以降は微増となっています。また、交付金の対象要件を満たすために生産組合を立ち上げたり、定年退職者がさとうきび作りを始めるなど、「今後4~5年は大丈夫」との声も聞かれます。しかし、一方で高齢化にはなかなか歯止めがかからず、また、経営安定対策も3年間の特例措置という事情もあり、「10年後はどうなっているのか」と不安視する声も少なくありません。
  そんな沖縄のさとうきび収穫体験に参加したのは20~70歳代の男女9人。「素精糖」の原料となるさとうきびは沖縄本島北部地域で収穫されていることから、JAおきなわ北部営農センターの紹介先、喜納博文さんの畑で手刈りによる収穫となりました。さとうきびの手刈り作業は沖縄では最もきつい仕事だといいます。手順は専用の鎌で葉を落とし、茎の根元を斧で切って大束にして重ねるという単純なものですが、1束の重さは500kg。しかも、さとうきびは中の詰った竹のようであり、茎の根元は何本にも分かれて曲がるくねり、茎どうしが絡み合っていて実際の作業は力仕事。また、収穫後にすぐ新芽が出てくるため、それが台風に負けないように土のなかで茎を刈り取らなければならないなど技術を要する作業です。収穫作業を体験した参加者の一人は次のような感想を寄せています。
  「今回作業してみて、自分に非力さを痛感しました。力ではなくコツだとも聞きましたが、なかなかコツをつかむことができませんでした」

「皆ですることで楽しく」

さとうきびの収穫体験に参加したみなさん

 今回の日程は3泊4日。最終日にはさとうきびの搬入先である球陽精糖(株)の工場で機械刈りと手刈りの差、歩留まりの実態と原糖になるまでの工程を見学しました。ちなみに、原糖は本土に運ばれ、安価な輸入原糖と混ぜて「上白糖」となることが一般的だといいます。
  ところで、沖縄県で実施されたのは今回が初。参加者の一人は、「またこの企画に参加したい」として次のようなコメントを寄せています。
  「一人では苦痛になってしまうさとうきび刈りという作業も皆ですることで楽しく行うことができたと思います。改めて第一次産業の大変さを感じ、そしてやり甲斐や喜びを少しだけ体験することができました」
  夢都里路くらぶ運営委員会の担当者は、この取り組みをこう総括しています。
  「今回は、Sマーク品である素精糖を食べ続けたいという思いから始まり、提携先である(株)青い海、中間にある製糖会社、青果物の提携産地であるJAおきなわ北部営農センターの協力を得て、さとうきび生産者の収穫体験を実施することができました。夢都里路くらぶの沖縄での第一歩となりました」

地域も参加者も年ごとに増加

 夢都里路くらぶの2009年度の取り組みは09年4月の山形県遊佐町のパプリカの定植から始まりました。この他、りんごの摘果(長野県・上伊那)、採蜜(長野県・安曇野)、無農薬田の草取り(遊佐)、柿の収穫(奈良県)、白菜の収穫(宮城県)、みかんの収穫(和歌山県、愛媛県)などと企画が豊富化してきています。また、その内容も援農体験から中長期の農業研修まで多岐にわたり、実施する地域も参加者も年を追うごとに増えてきています。しかし、それは裏を返せば提携産地でも人手不足という現実と無縁ではないことを表しています。まさに「誰かが守ってくれるのを待っていても未来は拓けない」のです。
  企画への参加者からは様々な感想が寄せられています。
  生活クラブのキムチ原料になる白菜の収穫を体験した女性は、「近くに安売りの八百屋さんがありますが、生産者の方々のご苦労を知れば、消費者ももっと適正価格のことを考えたほうが良いのではないかと思います」
  柿の収穫体験をした女性は、「就農を検討しています。まず農作業を体験したくて参加しました。短期間だったにもかかわらず、皆さんとても親切にご対応くださいました。また、柿や梅について色々なお話を詳しくご説明くださり、大変勉強になりました」
  他方、生産者からは「生産者にとって一番、忙しい時期にお手伝いいただき、受け入れ農家から感謝をいただいています」(みかんの収穫)、「農作業を仕事としてきていただきましたので、産地としても非常にありがたかった」(柿の収穫)などの声が寄せられています。
  なお、2010年度の夢都里くらぶは企画のジャンルを整理して豊富にするとともに、就農を検討する人のニーズに応えるために、首都圏での4月からの「農業講座」の開講や、「就農説明会」の開催も7月に向けて準備中です。

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