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「法制化」に向けてシンポジウムを開催

「法制化」に向けてシンポジウムを開催

 働く人々が協同で出資し、経営にも平等に参加する「協同労働」に新たな法人制度を創設する「協同労働の協同組合法(仮称)」が国会に提出される見通しとなっています。こうした国会の動きに呼応して、生活クラブ連合会とワーカーズ・コレクティブの全国組織「ワーカーズ・コレクティブ・ネットワーク・ジャパン(WNJ)」が主催して、シンポジウム「みんなで実現!ワーカーズ協同組合法」が4月17日、東京・御茶ノ水で開かれ、「法制化を実現し、働く人たちの協同組合の大きなうねりをつくっていきましょう」とするアピールを採択しました。(2010年4月28日掲載) 

生活クラブが先駆的役割を果たし700団体に

シンポジウムの様子

 個人が出資して組合員となり、全員が経営、労働する形態は「地域の生活を充実させるために必要な機能を担う非営利の市民事業」として、生活クラブの運動から先駆的に生まれました。82年に神奈川県で第1号の「にんじん」が誕生、その後、生活クラブを中心に全国各地に広がりました。
  こうした事業形態は「ワーカーズ・コレクティブ」と呼ばれ、現在では食や農、福祉、環境など多くの分野で約700団体、約1万8,000人が参加しています。このほか、労働者協同組合(ワーカーズコープ)関連で約4万人、農協関係の女性による起業も約1万団体あるとされています。
  「協同労働」の形態は地域の活性化に役立ち、雇用を創出すると期待されていますが、日本には根拠となる法律がなく、現在活動中のワーカーズ・コレクティブも法人格がない任意団体か、やむなく実態にそぐわない特定非営利活動法人(NPO法人)や企業組合の形で法人格を取得しています。法人格がないと、不動産の賃貸や資金の借り入れ、介護事業の実施、税金面などで障害が大きく、運営に支障が出ることもあることから、約20年前から法制化を求める運動が続けられてきました。
  一昨年に国会議員による議員連盟が発足、昨年には法制化を求める地方議会の意見書が783に上り、政権交代も絡んで法制化の機運が高まりました。今年4月14日には、与野党の8政党が参加する超党派の議員連盟で法案要綱が合意され、議員立法で国会に提出される見込みです。法制化の悲願達成が目前に迫っています。実現すれば、生協、農協などに続く新しい協同組合が60年ぶりに誕生することになります。

新しい日本をつくる原動力に

笹森清さん

 この日のシンポジウムには、ワーカーズ・コレクティブのメンバーや生活クラブの組合員ら約200人が全国から参加しました。  
  来賓としてあいさつに立った元連合会長で、「『協同労働の協同組合』法制化をめざす市民会議」の笹森清会長は「格差社会、貧困社会の一番のベースは働く場所を壊されたことで、みんなで助け合っていくしかない。協同労働は新しい日本をつくり上げていく最大の原動力になりうる」と述べたうえで、「(法制化まで)最後のアタックが必要になってきた。この法律が必要だという熱意をぶつけ、最後の努力をお願いしたい」と訴えました。

宮野洋子さん

 第1部のシンポジウム「地域社会づくりとワーカーズ・コレクティブ運動」には進行役の宮野洋子・WNJ代表と5人のパネリストが登場。「にんじん」の設立当初に事務局としてかかわったという加藤好一・生活クラブ連合会長がジョークを交えて、草創期の苦労話を披露しました。また加藤会長は「協同組合関係の法律は状況的には危機にある。そうした中で新しい法律が生まれる意義を共有したい」と述べました。  
  続いて、神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会の島田純子理事長、井瀧佐智子・元WNJ代表、NPO法人「アビリティクラブたすけあい」の香丸眞理子・前理事長の3人がそれぞれ「雇用関係が発生し実態に合わない」「ワーカーズ・コレクティブの理念の継承が難しい」「平等なはずなのに代表者に一方的な不利益がある」など現行の法律でできる範囲ではさまざまな問題点があることを指摘しました。  
  さらに、生活クラブ東京の吉田由美子理事長は「働く人の協同組合がないのは、協同組合陣営全体にとってマイナス」として、この間の生活クラブの取組みを報告しました。

新しいルールづくりの発信を

田中夏子さん

 第2部では、田中夏子・都留文科大教授が「世界の協同組合・ワーカーズ法の日本における必要性」と題して講演。イタリアの「社会的協同組合」を例に挙げながら、法制化後の問題についても言及し「市場や公共経済との接点が多くなると、競争原理への同化の圧力は強まってくる。仕事が正当に評価されるような新しいルールづくりを社会に発信していくことが課題になる」と語りました。  
  さらに、大河原雅子参議院議員(民主)が最近の法制化の動きを報告。超党派の議員連盟で合意された法案要綱は、役員が労災保険・雇用保険への加入を除外されているなど「100点満点ではない」(宮野・WNJ代表)とされていますが、大河原議員は「みなさんの思い通りの内容ではない点もあるが、これが突破口。一緒に法制化を目指しましょう」と訴えました。

大河原雅子さん

 最後に発言した浅草秀子・WNJ運営委員は、法案を評価しつつも、労災保険・雇用保険の問題に触れ「役員についても(加入が)必要であり、継続して主張していく」と述べました。  
  会場からは、実際に事業をする中で法律が未整備であることからくる苦労とともに「ワーカーズを生み出すことで、生活が豊かになる、地域が豊かになると思えることが有効だ」「法制化後が楽しみでもあり、不安でもある」などの意見が出されました。 なお、生活クラブやWNJなどで構成する「ワーカーズ協同組合法制定推進会議」では、「法制定を求めつつ法案への修正要望の理解を求めるため、今後、国会議員への働きかけを進めていきたい」としています。