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「ぐるっと長野地域協議会」が発足!

「ぐるっと長野地域協議会」が発足!

 わずか41%―。これが先進国中で最低水準にある日本の食料自給率です。この数字は農業、漁業の衰退を表しており、第1次産業従事者は高齢化、後継者不足という重い課題を背負わされています。こうした状況のなかで生活クラブは、JA庄内みどり(遊佐)や栃木県開拓農協などと、自給力向上や環境保全型農業の推進などを基本テーマに、点から面への複合的な提携を構築してきました。その一環として今年5月、長野県の提携13生産者と生活クラブ長野、生活クラブ神奈川、生活クラブ連合会で構成する「ぐるっと長野地域協議会」が発足しました。(2010年5月27日掲載) 

山形県、栃木県に続く

(株)おびなたの大日方大治さん

 長野における協議会の発足は2009年度の生活クラブ連合会方針として提起され、10年度の活動方針では<長野においては、「生活クラブ・長野提携産地協議会」を正式に発足させ、多業種の生産者が存在することによる原料や生産資材の調達から廃棄物の有効利用などの可能性について議論を進めていきます>と位置づけられました。
協議会はこれまでに準備会が2度開かれ、このなかで、循環を意味する「ぐるっと」と、「ぐっ」と押し出すという意味合いを兼ねて、名称を「ぐるっと長野地域協議会」(以下・協議会)にすることを決めました。そして第1回目の協議会が5月17日、長野県戸隠の(株)おびなた本社で開かれ、構成団体間の連携を強化するための具体的な話し合いが行われました。
  協議会の代表である(株)おびなたの大日方大治さん、生活クラブ長野の石川京子理事長、生活クラブ神奈川の一政伸子さんの挨拶で始まった協議はまず、生活クラブ連合会の担当者が、複合的な提携の先行事例である「まるごと栃木生活クラブ提携産地協議会」の活動報告を行いました。同協議会はJAなすの、栃木県開拓農協、新生酪農、箒根酪農業などを構成団体にスタートし、自給力向上と、地域循環を持続的にするための生産者間提携を実践しています。具体的には飼料自給率を上げるために、県内で収穫された飼料用米と稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ)を生活クラブ向けの肉牛への給餌を本格化させていく計画です。また、地域内循環をさらに進めていくための調査活動にも取組んでいます。その一方で、08年からは地域全体に地域循環の可能性をアピールするために、「まるごと栃木まつり」を開いています。
  これらの取組みについて、生活クラブ連合会の福岡良行専務は「栃木は先行してスタートしましたが、ゆっくりとした形で進んでいます。しかし、循環をキーワードに生産者が横につながりはじめて確実に成果が出てきています。現在、試験的に肉牛に飼料用米を3~5%混ぜた餌を与えていますが、少しずつ増やしながら広げていき、地域内循環型のモデルにつながればと思っています」などと補足しました。

地域内循環の可能性を議論

 この日の協議では、原料調達をはじめとする事前に調査した生産者の要望について、地域内循環が可能かなどを話し合いました。  
  口火を切ったのは、キノコ栽培に使われる培地を生産する(株)イトウ精麦でした。キノコの菌床栽培に使われる培地はトウモロコシの芯を粉砕したものが使われていますが、この多くが中国産です。同社の中野隆平さんは「培地の7割は外国産原料。この国産化率を少しでも高めるために、もみがらを地域内循環できないかと考え、JA上伊那さんにお願いしたところです」と、すでに地域内循環に向けた具体的な取組みが進みつつあることを紹介しました。ただ、JA上伊那の小林久人さんは、もみがらは地域の畜産農家の需要が高いことや、輸送コストなど克服すべき課題があることを指摘しながらも「検討させていただきたい」と述べました。  
  協議会発足前から、長野県内の生産者間では地域内循環の取組みが進んでいました。そのひとつがJA上伊那とJAながの、そしてマルモ青木味噌醸造場のつながりです。二つのJAは味噌原料になる加工用米をマルモ青木味噌醸造場に供給しており、協議ではこれに加えて大豆供給の可能性について話し合われました。味噌の主原料である大豆は現在、北海道産と山形の遊佐産が使われています。これに長野県産の大豆を使えないかが検討されました。長野でも大豆は栽培されていますが、品種は味噌用ではなく豆腐用。このためマルモ青木味噌醸造場が味噌用の北海道産大豆種子を手配し、JAながのに試験栽培を依頼していることが明かにされました。また、JA上伊那も前向きな姿勢を示しました。
  生産者からの要望は多岐にわたりました。「JAながのやJA上伊那の玄そば比率を高めたい」(おびなた)や、「国産原料を使っていますが、ブナシメジやワラビ、ゼンマイなどは他県産が多いのが現状。是非、長野産を」(長野森林組合鬼無里事務所)、「生産者の高齢化で野菜ジュースに使うトマトピューレは県内産が間に合わなくなってきている。加工用トマトの面積拡大をお願いしたい」(長野興農)、「地場の杉やヒノキの破材や皮を使った製品化ができないか」(酒井産業)、「鶏糞を堆肥化しているが水分調整のために使う国産材のオガ粉の調達」(会田共同養鶏組合)などです。これらの要望について、具体的な話し合いが行われました。

持続的生産モデルを実現させたい!

 このほか、乳牛や養鶏における飼料用米給餌も俎上に上り、このなかで会田共同養鶏組合の中島学さんは、「5月24日から飼料用米を混ぜた餌の給餌が始まります」と報告しました。
  この日の協議は3時間近くに及びましたが、話し合いを通して浮かび上がったテーマを、生活クラブ連合会開発部部長の舘勝敏さんは次の6点にまとめました。 (1)加工食品の原料調達、(2)自給飼料の循環、(3)堆肥の循環、(4)森林から出る木や竹の循環、(5)キノコ培地の域内自給、(6)耕作放棄地の有効利用。  
  生活クラブ連合会の福岡専務は協議の最後に、エネルギーと食料を輸入に依存するという日本の姿は10年後には破綻するとの見方を示し、「持続的な生活を提案するための基本は食料。産地との提携関係を強め、山形、栃木、そして長野で持続的生産のモデルづくりを実現させ、そうしたネットワークを北海道、関西にも広げていきたい」と述べました。

「ぐるっと長野地域協議会」メンバー
(株)おびなた、(株)マルモ青木味噌醤油醸造場、美勢商事(株)、会田共同養鶏組合、JA上伊那、長野森林組合鬼無里事務所、(株)アルプス、酒井産業、(株)長野興農、JAながの、南信酪農業協同組合、横内新生ミルク、(株)イトウ精麦、生活クラブ長野、生活クラブ神奈川、生活クラブ連合会