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西オーストラリアの「NON-GMなたね」最新事情

「西オーストラリアの「NON-GMなたね」最新事情

10月6日、生活クラブの連合消費委員会とGM食品協議会の共催で、オーストラリアの農家で遺伝子組み換え(GM)作物に懸念を表明しているジュリー・ニューマンさんを迎えて学習会を開催しました。ジュリーさんの話を中心に、生活クラブの「国産ブレンドなたね油」の主原料である西オーストラリアの遺伝子組み換えでない(NON-GM)なたねの最新事情を報告します。

(2010年10月22日掲載) 

オーストラリアでもGMなたねの栽培が

学習会には連合消費委員など、北海道から兵庫の各生活クラブの組合員約60人が参加しました

アメリカを中心にGM作物の栽培が広がっています。しかし、GMなたねの栽培はカナダでさかんに行われ、生活クラブは1998年に消費材の「国産ブレンドなたね油」の原料をカナダからオーストラリアに変更した経緯があります。ところが、そのオーストラリアでも近年、GMなたねの栽培が始まりました。

「西オーストラリアではGMなたねの認可にあたって州政府が検査をするのではなく、種子会社が行った結果をもとに承認しています。そのなたねで搾油した後の搾りカスを家畜に与えることに関しては、いっさいの規制もありません。このように州政府も産業界も、GM作物を推進する姿勢です」 ニューマンさんは、GM作物についてこのように話し出しました。

西オーストラリア州で東京ドーム2,000個以上に相当する10,000haの農場を持つニューマンさんは、種子精選会社を経営するとともに約1万頭の羊を飼養する農家です。GM作物に対しては当初はむしろ肯定的な考えでしたが、いったん調べ始めると分からないことばかりで、調査をしているうちに経営する種子会社のルーピン(マメ科の作物)がGM汚染されていたことが判明。「私自身も組み換え技術の脅威にさらされていることを知ったのです」と、反GM運動にかかわるようになったきっかけを話します。

とはいえ最初はひとりだけの活動。それも女性が単独で行動するのはオーストラリアでも稀有なことです。それでも新聞やラジオで意見を述べるうちに、同じように懸念を持つ農家から声をかけられるようになり、NCF(Network of Concerned Farmers GM作物に懸念を持つ生産者たちの情報網)という団体を2002年に設立するに至りました。

農家からは次のような声が届くことがあると、ニューマンさんは語ります。「オーストラリアの東部の2州では、西オーストラリア州より先にGM作物の栽培が解禁されました。でも、GM作物は収穫して販売する時に安くなってしまうなどの感想が、先行する州の農家から寄せられました。また、NON-GM種子のほうが安いし収量が多いという意見も聞かれ、GM作物を植えたものの、NON-GM作物にもどる農家も現れています」

作付面積の8%がGMなたねに

西オーストラリア州は08年までGMなたねの栽培をしていませんでしたが、09年に試験栽培が実施されました。生活クラブなど日本の団体は州政府に対し「NON-GMなたねの生産の継続を求める意見書」を提出しましたが、今年は作付面積のうち8%がGMなたねとなりました。

なたねは「他家受粉」といって、ほかの花粉によって受粉する性質を持っています。したがって、少しでもGM作物の栽培が始まるとNON-GMなたねを作付していても交雑する可能性は否定できません。

「GMなたねが栽培された場合、交雑や混入を防ぐために、NON-GMなたねを栽培する農家のほうが境界線より3km離して作付けしなければならないルールとなっています。また、NON-GM由来のハチミツを取ろうとする養蜂家にいたっては、巣箱を5km離さなければなりません。しかし、どこでGMなたねが栽培されているか分からない可能性も多分にあります。その場合はいったいどうすればよいのでしょうか」(ニューマンさん)

なたねの種は直径が約1mmのとても小さなもの。“水を運ぶようなトラック”でなければ輸送時にこぼれおち、交雑する恐れがあります。現に日本でも生活クラブ組合員などの調査によって、輸入なたねが陸揚げされる港付近でGMなたねの生育が確認されています。

NCFはGMなたねによる交雑などの脅威にさらされず、NON-GMなたねを守るため、法律の“例外の例外規定”を設けるよう州政府に働きかけをしています。

「GMなたねの栽培の承認は、実は『GM作物禁止法』の例外規定で行われています。私たちNCFはその“例外の例外”、つまりNON-GM作物をつくる生産者の農場をリストアップし、GM作物を栽培しないフリーゾーンに指定するような規定をつくりたいと考えているのです。具体的に西オーストラリア州のウイリアムズという地区で、NON-GMなたねを守ろうとする農家の動きもあります」と、ニューマンさんは説明します。

「NON-GM農家」指定の可能性を探る生活クラブ

生活クラブ連合会の田辺樹実さん。  加工食品では微量配合原料もふくめGM対策が必要な消費材は1122品目あり、そのうち997品目についてはすでに対策済みであることを報告

生活クラブの「国産ブレンドなたね油」は1割を国産なたねから搾油していますが、残りは西オーストラリア州でとれた種子を輸入しています。そこで、同州のウイリアムズ地区のNON-GM農家を指定して輸入する可能性を探るため、生活クラブは事務局を10月上旬に派遣して調査を行っているところです。

このようにGM作物を基本的に扱わないことを原則としている生活クラブに対し、ニューマンさんは最後に次のようなメッセージを寄せて学習会は終了しました。

「生活クラブは西オーストラリア州に意見書を提出するなど、NON-GM作物を守るために役割を果たしてきました。しかし、栽培禁止が解かれるなかで、西オーストラリアをはじめとした農家にNON-GM作物に需要があるというシグナルを送る必要があります。農家にそれが伝わればNON-GMをつくる人がでてきます。日本の組合員や消費者にGM作物についての教育を広げ、消費に変化をもたらしてください」

※『西オーストラリア州政府・農業食料大臣宛ての要望事項』についての詳細はコチラをご覧ください。