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国産鶏種「はりま」飼料用米の給餌が全面化

国産鶏種「はりま」飼料用米の給餌が全面化

食料自給率向上の仕組みとして注目されている「飼料用米」。作付けされていない水田を減らし、なおかつ輸入に依存している穀物飼料をお米に置き換えることで確実に自給力の向上につながる取組みは、日本各地に広がりつつあります。生活クラブの鶏肉生産者も2010年1月から本格給餌をスタートさせました。2011年1月からは、一時中断していた秋川牧園が飼料用米の給餌を再開したため、今年4月から「こめ育ち鶏」の全羽供給が始まります。(2011年2月7日掲載)

秋川牧園、群馬農協チキンフーズともに年間を通じて全羽給餌

こめ育ち鶏

 「こめ育ち鶏」に取組んできたのは秋川牧園(山口県)と群馬農協チキンフーズです。飼養しているのは国産鶏種の「はりま」。秋川牧園の場合、飼料用米に取組む以前のエサの構成比はトウモロコシ(48%)、マイロ(20%)、大豆粕など(24%)などとなっていましたが、2010年1月から3月まで、対象羽数を限定して全体の10%を飼料用米(もみ米)に置き換えました。群馬農協チキンフーズは飼料用米(玄米)の配合比率を5%とし、2010年1月から給餌を続けています。  
 秋川牧園で飼料用米の取組みが中断した理由は、飼料用米が十分に確保できなかったからです。同社が飼料用米の取組みを始めたのは2009年からで、わずか0.31haの試験田で山口県の気候に合う品種や栽培方法を検討することからのスタートでした。この結果を踏まえ、地域に飼料用米作りを広く呼びかけたことで、2010年には法人を含む21人が手を挙げ、前年の実に100倍となる36haで作付けが実現しました。飼料用米作りを呼びかけた理由を、秋川牧園の秋川正社長はこう説明します。
 「きっかけは2008年に起こった世界的な穀物の高騰です。ご存じのように鶏の主たるエサはトウモロコシで、日本はほぼ全量を海外に依存しています。そして、その多くはアメリカから輸入していますが、現地では遺伝子を組み換えたトウモロコシの作付割合が9割に迫る勢いで広がっています。このような状況のもと、私たちは食の安全や食料の安全保障を考えた時、飼料を含めた自給力の向上が欠かせないと判断したのです。とくに飼料用米は遺伝子組み換えではないので安全性はもちろんのこと、減反された田んぼが有効活用できるという点でも強みを発揮できると考えます」
 36haの作付けで収穫量は籾米で300トンを見込んでいましたが、昨夏の酷暑が影響して220トンに止まりました。ただ、年間を通して全羽供給が可能となる収穫量があったことから、2011年1月から配合比率を7%にして給餌がスタートしています。一方、群馬農協チキンフーズはこれまで5%だった配合比率を、2010年12月から10%に引き上げました。
 「はりま」の飼養期間は58日以上。飼養ステージによって「前期飼料」、「中期飼料」、「後期飼料」に分かれますが、飼料用米は後期飼料に使われます。給与羽数は年間で秋川牧園が50万羽、群馬農協チキンフーズは94万羽を見込んでいます。

食味は飼料用米給餌の方が好結果に

 「はりま」の飼料用米本格取組みにあたっては、2009年に両社で試験給餌が行われました。「秋川牧園、群馬農協チキンフーズで給与率や羽数は異なりますが、試験結果から判断して食味に違いがないことを確認しています」(生活クラブ連合会開発部畜産課の守屋課長)。実際、生産者が明らかにしている試験結果では、好結果が得られているといっていいでしょう。  
 各方面から注目されている飼料用米ですが、先行している豚や採卵鶏ではすでに各地で様々な取り組みがあることから、飼料としてお米を使うことの試験データの蓄積があります。ところが、肉用鶏ではその取組みがあまり進んでいないため、飼料用米を普及させる観点からも、両社の試験は重要な位置を占めていました。
 秋川牧園は(独)家畜改良センター兵庫牧場とともに、マイロの替わりとして全体の10%に飼料用米(もみ米)を与えました。飼料用米を使わない対象区と比較した結果、出荷平均体重や増体重などの肥育成績は、飼料用米給与区が若干、優れている傾向が見られています。また、食味の官能検査については「飼料用米が10%の配合割合だったということもあり、はっきりとした差は見られなかったものの、全体的に飼料用米を給餌した鶏肉の方が良いと評価されていた」と、家畜改良センターと秋川牧園との共同名で出した〈国産鶏種「はりま」での飼料米給餌試験の取り組みについて〉は報告しています。
 一方の群馬農協チキンフーズは群馬県畜産試験場とともに、こちらはマイロではなくトウモロコシの50%を飼料用米に置き換えるなどの試験を行いました。その結果について同社がまとめた〈群馬農協チキンフーズ飼料用米取り組み〉のなかで、成分試験のまとめとしてデータを具体的にあげつつ、「むね肉に関しては顕著な差は確認できませんでしたが、もも肉に関しては栄養素、旨み成分においてはっきりとした差が確認できた」などと記し、飼料用米を与えた「はりま」に軍配を上げています。
 飼料用米の全羽給餌が全面化し、「こめ育ち鶏」は群馬農協チキンフーズが2月後半から、秋川牧園は3月から順次、出荷されます。ただ、在庫の関係から全羽が切り替わるのは前者が4月、後者が5月出荷分からとなります。