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国産ブレンドなたね油缶 新たに「生産者指定」の輸入などの提携覚書に合意

国産ブレンドなたね油缶 新たに「生産者指定」の輸入などの提携覚書に合意

 生活クラブは「なたね」油を共同購入していますが、原料の90%は西オーストラリア州産のNON-GM(遺伝子組み換えでない)なたねを指定して輸入しています。しかし、同州は今年度から、GM(遺伝子組み換え)なたねの商業栽培を解禁し、すでに作付面積は全体の8%に及んでいると伝えられています。そこで、生活クラブは連合会の福岡良行専務理事や提携生産者の米澤製油(株)など5人で訪問団を結成し、産地の状況を確認するとともに、直接、現地の生産者を指定して試験的に輸入するなどの提携覚書も交わしました。 (2011年2月18日掲載)  

10年度産5000tの供給の確約を得る

CBH社で打ち合わせる<br />西オーストラリア州訪問団

 一般に販売されている「サラダ油」は、表示を見ても原料の大豆やなたねがGM作物かどうかは分かりません。一方、「疑わしきは使用せず」という予防原則にもとづき、GM作物や食品を基本的に取り扱わないことを決めている生活クラブは、NON-GMなたねを100%指定した「なたね油」を取組んでいます。  
  生活クラブは国内自給率の向上にも力を注いでいますが、なたねの国内自給率はわずかに0.05%(2007年度)。生活クラブはこの貴重な国産を10%配合した「なたね油」を共同購入していますが、残りの90%は西オーストラリア州産を指定しています。  
  オーストラリアといえば洪水やハリケーンの被害が報道されていますが、今年度、産地である西オーストラリア州は約40年ぶりの大干ばつで、なたねは例年の半作程度の作柄でした。  
  このような稀に見る不作の状態であっても、生活クラブがJA全農を通じてNON-GMなたねを輸入している集荷会社CBH(Co‐operative Bulk Handling)社のピーター・エリオット氏は次のように断言しました。  
  「CBHにとって生活クラブは他の顧客とはちがい、日本の消費者の話を直接聞ける大切な取引先です。したがって、私たちも生活クラブとの安定的な取組みが重要と考えているので、NON-GMなたねを確実に届けることに最大限の努力をします」  
  そして、10年度産NON-GMなたね5000tの供給の確約を得ることができました。

生産者を指定した供給の可能性を追求

CBH本社の前で。西オーストラリア州訪問団。左端が田辺樹実執行事務局長

 ところで、生活クラブは以前から西オーストラリア州産のなたねを指定していたのではなく、カナダから輸入を行っていました。ところがカナダではGMなたねが開発されるや否や、その栽培が急速に進んだため、西オーストラリア産のNON-GMなたねに切り換えた経緯があります。  
  その西オーストラリア州でも前述のようにGMなたねの商業栽培が解禁され、栽培面積の拡大が危惧されています。生活クラブは新たに生産者を指定したNON-GMなたね供給の可能性を追求するため、訪問団は同州にあるナラカイン(Narrakine Hay)社を訪れました。  
  ナラカイン社は家族的な経営規模の会社で、NON-GMなたねの他に小麦や牧草(オーツヘイ)などをつくっています。また、会社のあるウイリアムズ郡ではGM作物に反対する農家が集ってGMOフリーゾーン宣言(GM作物をつくらない地域であることを宣言すること)を09年に自主的に行いましたが、ナラカイン社も賛同した農家のひとつです。  
  ナラカイン社のサイモン・ハーディング社長はGMなたねに反対する理由をこう話します。  
  「GM作物は農業の根幹である種子を開発企業に握られ、農家が自分たちの意思で農業を継続できなくなる恐れがあります。さらに、人体や環境に影響を与える懸念もぬぐえません」  
  このようにGM作物に対する考え方は生活クラブと共通するところが多く、今年度はNON-GMなたねを試験的に20t輸入するとともに、信頼関係を高めていくことをナラカイン社、米澤製油、JA全農、生活クラブで提携覚書を交わして合意しました。 
  訪問団に参加した生活クラブ連合会の田辺樹実執行事務局長は、ナラカイン社との提携をこう評価します。  
  「NON-GMなたねを単に商品として見るのではなく、食べものとしての価値観を共有できる生産者と出会えたことは良かったと思います。ナラカイン社は輸出用の設備を整えているので、ウイリアムズ郡でNON-GM運動を進めている人々との連帯の核になっていくことが期待できます。また、今後はなたねだけではなく、牧草やNON-GMなたね畑で採蜜したはちみつの取組みも考えられると思います」

NON-GM運動との連帯を強化したい

今年度、西オーストラリア州で収穫されたなたね

 今年度から商業栽培が始まったGMなたねですが大干ばつに対する効果は薄く、GMなたねを栽培した農家は種子代が高額だったにもかかわらず収量は上がらなかったと言われています。また、EUにおけるバイオディーゼルの取組みが進み、西オーストリア州産のNON-GMなたねは需要が高まっています。  
  その一方で商業栽培1年目にもかかわらず西オーストラリア州の南部では、なたねを有機栽培する農家でGMなたねとの交雑が確認されたという事件が起こっています。  
  西オーストラリア州の状況を視察した生活クラブ連合会の福岡良行専務理事は、次のように総括します。  
  「GMなたねが干ばつには効果を発揮しなかった一方で、NON-GMなたねの需要が高まっていること、さらにはGMなたねの汚染問題が発生して農家の間で不安が広がっていることなどから、現状ではNON-GMO運動に追い風が吹いていると捉えています。しかし、けっして予断を許さない状況に変わりはないと思うので、この機会にNON-GMなたねの生産者指定や牧草、はちみつの複合的な取組みを検討し、西オーストラリア州でNON-GM運動を行っている人々との連帯を強化していきたいと思います」  
  生活クラブ連合会では、今年の9月にも組合員をふくめた訪問団を西オーストラリア州に再び派遣して、ナラカイン社など現地のNON-GMOなたね生産者や養蜂家、消費者団体と交流を深める予定です。  
  容量が600gで隔週ごとに共同購入している「国産ブレンドなたね油丸缶」。この油を1本つくるには約1800gのNON-GMなたねの種子が必要です。そして、その確保のために生活クラブはこのような活動を行っています。食用油を購入しようとする時、原料表示には表れない“背景”があることをぜひ思い出してください。