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地域内自給のデッサンをかたちに─「ぐるっと長野地域協議会」

長野県内の生産者がネットワークをつくり資源循環をすすめることで自給力の向上や環境保全型の農業のモデルをつくろうとする「ぐるっと長野地域協議会」。発足から約1年半が経過しましたが、着実に成果をあげることができています。(2011年11月4日掲載)

深刻さを増す食の問題のなかで

生活クラブ連合会の福岡良行専務 2009年から準備会をつくり、昨年5月に発足したぐるっと長野地域協議会は県内の農協や畜産生産団体、食品加工生産者、森林事業者など13の生産者と生活クラブ長野、生活クラブ連合会で構成されています。
 9月下旬には11年度第2回目の協議会を開き、生活クラブ連合会の福岡良行専務理事は次のように述べました。
 「3月に発生した福島第一原発の事故以来、日本の農と食は放射能に脅かされています。一方世界に目を転じてみれば、3年前のリーマンショックを上回る規模の世界的な金融・経済危機が起こることが懸念されています。豊かさをもたらすと言われ続けてきた科学技術やグルーバル化の発展は、人を幸せにしないことが明らかになったといえるでしょう。私たちは生き方、暮らし方の根本を問い直し、地域や人がつながることを基本にした生活や経済をつくらなければならないのだと思います。ぐるっと長野地域協議会の取組みはまさにそのモデルづくりだと考えます」
 放射能問題をはじめ農業基盤の弱体化や、穀物や飼料といった食糧の国際的な逼迫など、私たちの食を巡る環境は深刻の度を増しています。
 そのようななかで「ぐるっと長野地域協議会」は県内の生産者間で原料や飼料、副産物などの自給や環境保全にむけた課題を共有し、つながることで課題の解決をめざしています。そして設立からわずか1年半ですが、着実に成果をあげています。

組合員とともにさらに自給力の向上を

(株)おびなた代表取締役で、ぐるっと長野地域協議会・代表の大日方大治さん 長野市内にある(株)マルモ青木味噌醤油醸造場は生活クラブの青果物や米の提携生産者であるJAながの、JA上伊那とつながることで、味噌づくりに欠かせない米の取引量を着実に増やしています。また大豆の生産についても両JAと連携し、昨年、今年と味噌用大豆の試験栽培に取り組んでいます。さらに白味噌づくりの副産物として出る大豆の皮を、牛乳の生産者である南信酪農業協同組合の飼料にすることを目標に実験を始めています。
 一方、そばの生産者である(株)おびなたは、ぐるっと長野地域協議会を通じてJA上伊那から国産そばの供給を昨年度から受けるようになりました。おびなたの代表取締役で、ぐるっと長野地域協議会の代表を務める大日方大治さんはこう振り返ります。
 「同じ長野県でもJA上伊那でそばを栽培していることはあまり知りませんでした。ところが協議会でそのことを知り、原料として使うことができるようになりました。昨年は世界的にそばが不作で、国産そばもその影響を受けて需給がひっ迫していたので、とても助かりました」
 同様にぐるっと長野地域協議会でお互いの原材料や製品の需要や課題を話し合うなかで、長野森林組合鬼無里事務所はJAながのから山菜の供給を受けることが可能になりました。
 また国産の木製品をつくる酒井産業(株)では間伐材でつくった割り箸が、ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン(WNJ)を通じて食のワーカーズのお店やお弁当と箸として使われるようになったといいます。この取組みはワーカーズ運動をともにすすめる生活クラブとWNJの連携から生まれた成果です。

生活クラブ長野の石川京子理事長 このようなぐるっと長野地域協議会の取組みに対し、生活クラブ長野・理事長の石川京子さんは「毎月機関紙で組合員に知らせています。また組合員が直接取材して記事をつくることも、ぐるっと長野地域協議会の取組みを共有するひとつの活動になっています」と語ります。
 生産者のつながりによる地域内自給の描きはまだまだありますが、コストなどを考慮すると踏み出せない取組みがあるのも事実です。
 「この1年半で参加者自身が驚くくらいぐるっと長野地域協議会による成果があったと思っています。今後はさらに組合員のみなさんと一緒に考え活動することで、さらに地域での自給力の向上などをすすめていきたいと思います」と代表の大日方さんは抱負を語っています。