生活クラブ活動情報

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わかりやすい表示を求めて!

食品衛生法やJAS法、さらには健康増進法などいくつもの規制がある食品表示。「分かりづらい」「例外規定が多すぎて不十分」との指摘があるなかで消費者庁は2011年9月から「食品表示一元化検討会」を設置、2012年6月に報告書を取りまとめ、同年度内の法案提出を目指しています。このような動きがあるなか、生活クラブも参加する市民団体は食品表示の問題点や課題を明らかにするために12月20日、参議院議員会館で院内学習会「消費者が考える食品表示のあり方」を開催しました。(2012年1月10日掲載)

持ち越された「食品表示制度の抜本改正」

 主催したのは生活クラブやグリーンコープ共同体、主婦連合会、日本消費者連盟などを構成団体とする「食品表示を考えるネットワーク」。広く消費者の意見を集めて消費者が望む食品表示法を実現するため、2011年11月に結成されました。
 生活クラブは2009年秋から他団体とともに、「食料の自給力向上と、食の安全・安心の回復に向けて、食品表示制度の抜本改正を求める」署名活動に取組み、2010年3月には「加工食品の原料のトレーサビリティと原料原産地の表示を義務化すること」、それにもとづき「全ての遺伝子組み換え食品・飼料の表示を義務化すること」などを国会に請願しました。請願は審議未了となりましたが、その後、消費者庁がとりまとめた“食品表示をめぐる主要な論点”にこの二つが明記されました。一方で、内閣府消費者委員会食品表示部会の「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会」が報告書をまとめましたが、具体策を示さぬまま、消費者庁の「食品表示一元化検討会」(以下・検討会)に結論を持ち越すこととなりました。

「消費者の権利」の明記を!

食品表示の一元化にはまず「消費者の権利」が明記されなければ、と神山さん 院内学習会で問題提起したのは食の安全・監視市民委員会代表で弁護士の神山美智子さん、検討会の委員である主婦連合会会長の山根香織さんと同じく食品安全グローバルネットワーク事務局長の中村幹雄さんの3人。神山さんはまず、食品表示に関する食品衛生法、JAS法、健康増進法、さらに食品安全基本法など複数あるものの、そのどれにも「消費者の知る権利、選択の権利、そして安全に暮らす権利が明記されていない」と批判。さらに、遺伝子組み換え食品や食品添加物表示に代表されるように表示しなくてもすむ例外規定が多く、消費者に分かりづらいとしたうえで、食品表示の一元化にこう注文をつけました。
 「消費者の権利を明記することがまず求められます。これを守るという基本姿勢がなければ、せっかくつくっても法律を一本化しただけで消費者の役に立たないおそれもあります。また、分かりやすい表示というのは表示事項を少なくするということではありません。アレルギー表示のように表示は国民の生命に直結している。実際に何が使われているのか、どこの誰がどのような方法でつくったかということなどが分かりやすい言葉で記載されていることが求められます」

「消費者に必要な情報は何かの議論が必要」と訴える山根さん 山根さんは、「消費者庁は表示の量が多いことが問題であり、どう文字を減らせばいいか、また、事業者の負担を増やさないことに焦点を当てているように思える。消費者に必要な表示が何であるかの議論をしっかりすべき」などと検討会の課題を示すとともに、原料の原産国・原料原産地名や遺伝子組み換え、放射線照射なども表示義務化した「食品表示法要綱案」について説明しました。この要綱案は主婦連などが提案したもので、山根さんは「正確な情報を提供されることが消費者の権利であることを消費者庁は明確に示し、そのために一元化法案制定となるように検討を進めていくべきことを委員として求めていきたい」と話しました。
中村さんは、現行法の制度的な欠陥につけ込んで事業者が消費者への情報開示を減らす方向へ制度の改悪を狙っていると思える動きがあることなどと指摘。表示の一元化については「最低限現状の表示内容を維持したうえで、さらに必要な表示事項を増やし、消費者の知る権利を確保しなければならない」と訴えました。

原料原産地表示は食料自給率向上につながる情報

 問題提起を受けた第2部では、消費者庁食品表示課の担当者との意見交換が行われました。消費者庁の担当者は現行の食品表示に関する制度を説明した後、食品表示一元化について、「食品衛生法、JAS法、健康増進法の表示部分を抜き取るイメージです。すべてを表示することは不可能なので、より多くの消費者に活用できる表示にならざるを得ない」と話しました。そのうえで、現行では表示の適応外にある外食や店頭で計り売りしている惣菜、さらにはインターネット、カタログ、自動販売機によって提供される食品については、「皆さんの意見を聞きながら引き続き検討していきたい」と述べるにとどまりました。
 こうした説明に対し、参加者からは「加工食品の原料原産地表示が食料自給率向上につながる大切な情報です。これがなければ、自国の加工食品を買うことも外食で選ぶことができない」、「遺伝子組み換え食品も消費者の目から見れば危なっかしいものばかり。表示をしなくても済む例外規定が多いことを改め、せめてEU並みの表示(※)にしてほしい」などの要望がありました。さらには「そもそも食品表示一元化の目的の議論が定まっていない」などの厳しい意見が出されました。

※EUと日本の遺伝子組み換え食品の表示制度のちがい
・EUは最終食品でDNAやたんぱく質が検出されなくても、表示・トレーサビリティ義務を課している。また、遺伝子組み換え添加物や遺伝子組み換え飼料も食品と同様の表示義務がある。
・一方、日本では、遺伝子組み換え食品の表示は7種類の農産物と32種類の加工食品だけが対象で、飼料などは対象外。また、加工食品でも食物油やしょう油など、組み込まれた遺伝子やその遺伝子がつくるたんぱく質が製造過程で壊れてしまい、技術的に検出できない場合には義務づけられていない。なお加工食品で原材料に占める遺伝子組み換え原料の割合が「上位3位以内、かつ5%以上」でない場合は表示が省略できる。