生活クラブ活動情報

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山形県の米農家が、栃木県の米農家を応援!

2011年産米の供給がスタートしましたが、生活クラブの6産地別取組み実績は、遊YОU米(山形県)、上伊那アルプス米(長野県)、江部乙米(北海道)が増える一方、黒磯米(栃木県)、ちばあさひ米(千葉県)が前年割れとなっています(12月現在)。こうしたなか、「遊YОU米」の生産者組織である遊佐町共同開発米部会が「黒磯米を食べて産地を応援すること」を決め、1月25日には部会員の家庭に配達されました。(2012年2月14日掲載)

「黒磯米」1820kgが遊佐に

「黒磯米」を積み込む共同開発米部会のメンバー 遊佐町にある精米センターに「黒磯米」が東京から到着したのは、横殴りの地吹雪に見舞われた1月25日の午前10時。出迎えたのは共同開発米部会会長の菅原英児さんと、部会事務局の小野寺一博さんらでした。大型トラックから下ろされたのは精米された「黒磯米」5kg入り364袋。「意外に少ないな」という声もありましたが、菅原さんは「いやー、自分のつくった米以外を自宅で食べる経験ははじめて。黒磯米がどんな味がするのか楽しみだね、でも、美味しかったらどうしよう?」とおどけて見せました。
 この「黒磯米」は午後、部会の役員10人が2人一組になって、遊佐町内各地域の「遊YОU米」生産者183軒に届けられました。一軒当たりの配達量は2袋、4袋などとまちまちでしたが、お米と同時に全員に手渡されたのは、生活クラブ連合会がお米の放射能検査の結果を公表したデータで、「黒磯米」からの放射能は“不検出”を証明するものでした。受け取った生産者は「いやいやご苦労さんだの」といいつつ、初めて目にする「黒磯米」を手にしながら興味深そうでした。

「飯米に黒磯米を」の提案に一人の反対もなし

「黒磯米」は申し込んだ部会員宅(右)に配達された 遊佐の精米センターに「黒磯米」が運び込まれる約2ヵ月前の昨年11月16日。約500人いる部会メンバーのおよそ半数以上が参加した臨時総会で、議題のひとつとして菅原さんら執行部が提案したのが「遊YОU米」の飯米一俵出荷運動とともに、家庭で食べる飯米は「どではら会」(編注:黒磯米の生産者組織)のブレンド米を食べて応援したい―などの内容でした。提案は、一人の反対もなく決まったと言います。
 その臨時総会の模様を菅原さんはこう振り返ります。
 「反対意見がゼロ、ということにこちらが驚きました。私たちも丁寧に説明しました。黒磯は福島県に隣接している地域で生活クラブの米産地。生活クラブの放射能検査で不検出、それが情報公開されているのに消費量が落ちています。個人的には、一人ぐらい“それでも危ない”とか“本当に大丈夫か”等の意見があると思っていましたが、それがない。同じ米生産者としてできることがあれば取り組みたい、他人事ではない、自分たちの問題でもあるという私たちの説明が受け入れられました」

「『黒磯米』と『遊YОU米』をバーターして食べればいい」の一言が

遊佐町にある精米センターに運び込まれた「黒磯米」。後ろには「遊YОU米」が 共同開発米部会執行部の提案は、台風の影響などで今年の遊YОU米の集荷量が生活クラブとの約束に届かなかったことが影響しています。その差は約5000俵(60㎏入り)。それを確保するために提案したのが、1993年の「平成の大凶作」時に遊佐町農協(当時)が「何としても生活クラブにお米を」と挙げて取組んだ自家保有米=自家用飯米の供出運動と同じ、一俵出荷運動でした。
 しかし、自家用の飯米を生活クラブ用に出荷すると遊佐の米農家の米びつが心細くなります。そこへ、かねてもたらされていた「原発事故とそれに続く放射問題などで遊佐と同様に生活クラブと提携する黒磯米などの消費量が落ち込んでいる」という情報が重なり合いました。その舞台は、開発米部会の歴代会長らで構成する顧問会議でした。
 「そんな話をしているときに元部会長の一人が、『遊YОU米と黒磯米をバーターして俺らが食べればいい』と発言したんです。そんな発想はなかったからこれには驚きました」というのは小野寺さん。菅原さんも「私たちは米を出荷するだけ。足りないなら『飯米も出荷しましょうと』いうところまでの発想はありました。しかし、その先をどうするか。食べる米が無いなら『他の産地の米を食べよう』という発想は、それこそ目からウロコでしたね」と言います。それが臨時総会での執行部提案につながったのです。
 「黒磯米」の遊佐への搬入は3月にも行われます。いくつかの事情が重なったとはいえ、米農家が「他産地の米を食べる」というのは前代未聞の出来事かもしれません。が、ある生産者はこの取組みについて、「つくっている米に問題があるものならともかく、そうではない事情で売れないと誰だって困る。遊佐であっても黒磯であってもそれは同じ」と胸中を明かしています。
この遊佐町共同開発米部会の取組みについて、「黒磯米」の生産者の集まりである“どではら会”会長の横田義弘さんは、「つい最近、聞いた話です」と前置きしながら、「お米の生産者同士が相互扶助の精神で取組んでもらえることは有難いこと」と話しています。