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放射能の自主基準 生産者への説明会開催

 
 

4月から暫定運用がはじまった生活クラブの放射能の自主基準。3月23日は青果生産者、4月17日は主に加工食品生産者を対象にその運用などについての説明会が行われました。(2012年5月15日掲載)

膨大な検査データに基づいて決まった自主基準

加藤好一会長 両日とも説明に立ったのは加藤好一会長、槌田博品質管理部長の2人。このほか、3月23日には農産課長、4月17日には事業部長らが具体的な運用について説明しました。
加藤会長は今回の基準設定は、福島第一原発事故を受けて生活クラブが決めた「放射能自主基準設定の基本方針」にもとづいたものあることの理解をまず求めました。
福島第一原発事故を受け、生活クラブはそれまでの放射能自主基準値である放射性セシウム合計37ベクレル/kgの運用を停止し、当時「国の暫定規制値」(500ベクレル/kg)に基づく運用方針を採用しました。その時決めた基本方針にはあわせて、自主検査の実施やその情報公開の徹底、さらに、提携生産者とともに新たな放射能自主基準を創造する―などが示されています。
生活クラブはこの方針に基づいて昨年9月から消費材の徹底した放射能検査を開始。一方では生産者による自主的検査も行われてきました。その結果、米や牛乳、鶏卵、肉類では放射性セシウム合計で10ベクレル/kg以下を維持していることなど、品目ごとの実態が分かってきました。今回の基準の設定について加藤会長は「生産者の自主的検査を含めればわれわれは約1万8000件以上の膨大な検査データに基づいて決めました。勝手に決めたわけではなく、この範囲なら多くの品目は基準内に収まるという手ごたえを感じることができる」と述べました。
生活クラブの今回の基準は、4月から国が運用を始めた新基準より厳しくなっています。このため、放射能セシウムが検出され国の新基準を下回ったとしても、生活クラブの自主基準では供給停止となることも起こり得ます。この点について加藤会長は、「供給停止になった場合でも生産原価は生活クラブが補償する仕組みをつくっていきたい」と説明しました。

めざしたのは組合員と生産者が納得できる基準

槌田品質管理部長は「今回の放射能自主基準値の考え方」について、1月に発足した「自主管理委員会・放射能基準検討専門委員会」での検討準備資料を示しながら説明しました。今回の基準を検討するあたり、専門委員会が留意したのは以下の3項目だったといいます。
(ア)    組合員と生産者がともに目指して、納得できるようにすること
(イ)    万が一、供給を停止することになった場合でも、きちんと生産者の生産原価を補償すること
(ウ)    単に、“放射能の検査数値さえ低ければよい”と誤解されないように、消費材の総合的な価値を広めることに留意すること
 説明のなかで槌田品質管理部長は「生活クラブが他とちがう!と言えるのは、この留意点がどこまで実現できるかにかかっている」と強調。そのうえで、なぜ自主基準が必要かについてこう言及しました。「放射能ゼロのなかで暮らすことができないことには憤りを感じますが、ゼロを望みたくとも望めない現実がある。したがって自主基準が必要になってくるのです」
 その基準は、組合員と生産者がともに目指して管理すべき基準を設定する、組合員と生産者が納得できる―などの方向性で決まり、一定期間ごとに見直すことになっています。

生産者からは多様な意見が

具体的な運用については、3月23日は荒川健一農産課長が説明に立ちました。同課長は、4月からの検査体制を説明するなかで、自主基準を上回った場合の供給停止とする対応について、その目的は「検出の背景や原因について調査確認を行うこと」にあるとし、そのうえで「消費材の放射能検査を継続しながら、生産者と検出値の低減対策について協議し対策をすすめたい」と述べました。また、生産者の自主検査については2011年度と同様、提携産地・コア産地に実施を要請しました。11年度は静岡県・長野県・富山県より西の地域は対象外でしたが、12年度は全産地を対象とすることとし、土壌検査、空間線量の計測方法などを詳細に説明しながら自主検査実施への理解と協力を求めました。
 4月17日は吉田弘之事業部長が4月以降の暫定運用について説明しました。同部長はそのなかで、期間中に「暫定運用の点検」と「生産者との合意形成」、「補償の仕組みの検討」と「単協での組合員による討議」を行うこととし、最終的に8月度の連合理事会で決定することを伝えました。そのうえで自主基準は「われわれが生産者のみなさんとつくってきた価値を揺ぎないものにするために納得する基準にしたい」と強調しました。
 質疑応答では、たとえば3月23日には「自主検査の頻度は」「空間線量計測の高さは」「土壌検査は乾燥状態か生土壌か」「検査対象になっている土壌資材の範囲を知りたい」など自主検査に関するものが多く出されました。このほか、「果実類の検査では未熟果となっているが収穫直前のほうがいいのではないか」などの疑問も出されました。これらの質問については槌田品質部長らがていねいに説明して理解を求めました。
 また、「青果物の自主基準値は放射性セシウム合計50ベクレル/kgで国の新基準値100ベクレル/kgの半分だが、以前の37ベクレル/kgにもどしたほうがアピールする」との意見や、「組合員に対して生産者が頑張っていることもPRしていくことも重要」といった注文も出されました。
基準値について槌田品質管理部長は「軽くてかさばる消費材の検出下限を低くすることはなかなかむずかしい。そのためにすべての消費材で、37ベクレル/kgの基準値をクリアしていることを保証できない」と事情を説明しました。また、PRについては連合会の広報部門担当者が、「メディアではあたかも自主基準競争のように報道されていますが、生活クラブは競争のために決めたわけではありません。多くの人がまだ風評に流れていると思われるので、しっかりと検査していること。そのためにも生産者が頑張っていることが組合員に伝わる広報を展開していきたい」との意気込みを語りました。
主に加工食品の生産者を対象に開かれた4月17日の説明会では、「牛乳の検査頻度を上げて欲しい」といった要望のほか、お米の生産者からは「組合員から土壌や空間線量を報告してほしいと言われている。どう対処すればいいのか」などの質問が出されました。これらについて槌田部長は、「牛乳の検査頻度を上げることについては検査費用の問題もあるので持ち帰って検討したい。お米の土壌測定については自主測定をお願いしたい」と述べました。
栃木の黒磯米生産者からは、「栃木北部の放射線量が高いという地図が今回の資料にも出ているが、新たな風評被害につながるのではないか」という懸念が示されました。これについて事業部の舘勝敏副部長は、「生活クラブは情報を公開して理解を高めていくことを基本スタンスにしている。そのうえで提携関係をどう考え理解して食べていくのか、その共感をつくっていくことが大事だと思います」と応えました。