生活クラブ活動情報

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生産者との共同の歴史にふれた庄内交流会

 
 

山形県の庄内地方は生活クラブの主要品目である米と豚肉などの産地で、いわば生活クラブの「食料基地」です。7月22日から25日にかけて、北海道から関西までの組合員あわせて72人が、A・B2コースに分かれて生産者と話し合う第39回庄内交流会が実施されました。今回は遊YOU米を栽培している遊佐町共同開発米部会の発足20周年、石けん運動40周年という節目の年にあたり、23日には記念式典が開催されました。(2012年9月5日掲載)

農薬削減や国産、「低投入持続型農業」の実際を学ぶ

 Aコースは22日に山形入りし、JAさがえ西村山のりんご園とすもも園、月山トラヤワイナリーを見学後、生産者との交流会に参加。23日は大江農産物加工所とトマト農園、選果場を見学してから生産者との意見交換を行いました。見学や意見交換のなかで生産者は農薬削減への取組みなどを説明。すもも生産者は「フェロモン材を設置することで殺虫剤の低減を図っている」ことを、また、りんご生産者は「ふじは農薬削減に加え、りんご自体の食味を向上させるために葉摘み作業を行わない“葉取らずりんご”に取り組んでいる」などを紹介しました。
 意見交換後、庄内に移動したAコースは鶴岡市で漬物類の生産者である羽黒・のうきょう食品加工の工場を見学、「基本方針は地元で眠っている資源を掘り起こし、国産にこだわった消費材の開発と販売」などの説明を受けました。その後、この日庄内入りしたBコースと月山パイロットファームの農場で合流。有機物の投入による土作りと輪作による病害虫の回避を狙い、農薬や化学肥料の投入をできるだけ減らして持続的に生産する「低投入持続型農業」の実際を見学しました。

記念式典では、開発当初の苦労話に感動!

菅原友一さん(左)、河野栄次さん 遊佐町共同開発米部会の設立20周年記念式典は23日の夕刻に開かれ、部会の歴史と実績を振り返るとともに、生活クラブとの強いつながりを実感する場ともなりました。
 「共同開発米部会は常に生活クラブと手を携えてやってきました。10年先を見すえ、考える生産者、行動する生産者を目指したい」と菅原英児共同開発米部会長が挨拶。生活クラブ連合会の加藤好一会長は「お互いの努力で展開した飼料用米は行政も追随し、農業を変える実績を残したことを大いに胸を張りたい。今後とも、元気になる産直提携とは何かを考え、行動する生産者として挑戦を続けて欲しい」とエールを送りました。   
 つづいて、生活クラブ連合会顧問の河野栄次さんと共同開発米部会初代部会長の菅原友一さんによるシンポジウムがありました。
 遊佐町共同開発米部会が誕生したのは1992年ですが、共同開発米の取り組みが始まったのは1988年のこと。当時はササ・コシ全盛時代で、庄内でもほとんどの田んぼにササニシキが作付けされていました。そんななか、温暖化の影響などから単一品種作付けのリスクを危惧した生活クラブが、「ポストササ」となる新品種の開発を提案したのがきっかけでした。ところが、農協理事会は大反対。青年部の有志たちが60aの実験田で4品種の栽培を始めたのです。3ヵ年の実験の末、自然災害などのリスクを抑え、安定供給するためにひとめぼれ、どまんなか2品種に絞ってのブレンドが実現しました。これが「遊YOU米」です。以来、減農薬を中心とする栽培体系の確立や価格、予約登録という食べ方などを双方が協議しながら合意して進めてきた経緯があります。
 当時のエピソードの数々は若い参加者には新鮮で、熱心に耳を傾ける姿がありました。最後に、食文化、作業の協業化、エネルギーの自給、農地の所有権と使用権の問題など、これからの農業と地域のあり方をめぐる提言がなされ、今後の課題とされました。

食べる人に会うことが生産者の意欲に

農協女性部のせっけんプラントを見学 翌24日の午前中は、A、Bコースともに遊YOU米の貯蔵施設・中央カントリーエレベーターと農協女性部のせっけんプラント、遊YOU米と杉勇蕨岡酒造場の酒米の田んぼを見学。また、4グループに分かれて共同開発米部会のメンバーとの意見交換と質疑応答が行われました。
 参加者が見学した遊YOU米の田んぼは、共同開発米部会長菅原さんの無農薬実験田。菅原さんは遊YOU米の特徴を「鳥海山の水だけで栽培していること、農薬の使用は8成分以内で育てていること、そして10万俵の生産量を誇る500人の仲間がいること」と説明しました。また、10年目をむかえた無農薬栽培についてこう証言しました。
 「毎年悩まされているイネミズゾウムシが今年は発生していない! 代わりトンボが大量発生して、作業している僕にぶつかってきます。まるでシャワーのようです。イネミズゾウムシの天敵が増え、田んぼの生き物のバランスがとれてきたのかもしれません」

無農薬実験米の田んぼで生産者の説明を熱心に聞く参加者 参加者からは肥料や農薬についての質問のほかに、「無農薬米と8成分米の育て方の違いは?」といった問いかけもありました。これに対して菅原さんは「病気にならないように風通しを良くすること。8成分米の株間は18cmですが、無農薬米は21cmと広くしています」と解説しました。
 現在、遊佐町の作付け可能面積の6割強にあたる1200haで、生活クラブの米が栽培されています。1988年に60aから始まった取組みがここまで大きく広がった理由はどこにあるのでしょうか。意見交換で出された問いに生産者はこう答えました。

共同開発米部会との意見交換会 「部会には72の班があり、地域ごとにまとまっているのが大きいですね。生活クラブの班と同じでひとりじゃない、皆と同じ目的に向かっているという意識が強い。それと食べる人と会うことが生産者にとってもっとも生産意欲につながる。一般的に農家は出荷して終わりですが、私たちは皆さんと会うことで自分がつくった米のその先までわかる。交流会に出ると、『もっとええあんべ作らねばねの(もっといいものを作らなければならないなぁ)』という気持ちになるんです」

平田牧場では部位バランスなどをポイントに見学

 午後からAコースは平田牧場本社ミートセンターで食肉加工の現場を、Bコースは平牧工房の工場を見学しました。その後、平田牧場生産本部で合流し、山形親生会との交流会に臨みました。ミートセンターでは部位バランスや、より高い品質管理を目指して導入された「Ⅹ線異物検出機」などをポイントとして確認。生産本部では、飼料用米について「飼料用米給餌を推進するために、輸入飼料との価格差を縮めるためには収量の増加や栽培コストの削減が課題」との説明がありました。
 最終日は平田牧場、平牧工房との意見交換を終え、Aコースは帰路につき、Bコースだけが庄内食肉流通センター(と場)と、平牧工房に羊腸を納めている加工場(NORIコーポレーション)を見学しました。羊腸の加工処理ではリン酸塩や漂白剤が使われることが一般的ですが、平牧工房ではこれらを使わずに水処理による手作業で製造するように依頼しています。
 庄内交流会を通して、参加者からは「共同開発米20周年の記念式典で、その始まりからの歴史を知ることができて良かった」「実際に現場を見学すると知っているようで知らないことばかり。単協に帰ってみんなに伝えたい」などの声が聞かれました。