生活クラブ活動情報

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日本・韓国・台湾の女性の交流で協同組合の発展に寄与

 
 

生活クラブ連合会に設置されている「女性委員会」。日本・韓国・台湾の協同組合運動に関わる女性たちで「三姉妹提携」を結び、交流を通じて相互理解や女性運動の発展のために活動をしています。1999年より女性委員会の委員長として活動を引っ張ってきた牧島佐代子さんを講師に迎えての勉強会が、8月7日に生活クラブ連合会で開催されました。(2012年9月10日掲載)

女性委員会ってどんな組織?

 生活クラブ連合会に「女性委員会」が組織されたのは1999年のこと。以来、韓国・台湾の女性たちによる協同組合運動と連携して「三姉妹提携」を結び、アジアにおける協同組合間の相互理解と国際交流の窓口を担ってきました。一方で、ICA(国際協同組合同盟)が1995年に発表した「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」(通称:「協同組合の価値と原則」)を、生活クラブの活動にひきつけて考えるワークショップを重ねてきました。
 女性委員会は、生活クラブ連合会の中に設置されている組織ですが、一般の組合員にはどんな活動をしているのか、活動の意義や歴史がよく知られているとはいえません。あらためて発足の経緯と理念を学ぶ機会を得ようと、8月7日、連合女性委員会による自主学習会「女性委員会の原点を知る」が開催されました。

韓国・台湾・日本の生協の姉妹提携

 この日の講師は牧島佐代子さん。1996年より2000年まで生活クラブ神奈川の理事長を務め、1999年10月に女性委員会が設立されてからは委員長として2004年まで活動を続けてきました。
 「私が生活クラブの組合員になったのは1980年です。はじめは消費者・母親の立場で生活クラブの活動に参加していましたが、生活や消費のあり方で自己変革をし、社会変革を目指していく生活クラブの活動の意義を感じ、これまで男性が中心となり動かして来た社会を、女性の視点で諸活動を組み立てていく必要性を感じました」と、設立当初の理念を振り返ります。そのころ、ちょうど韓国や台湾でも、社会のなかで女性の権利向上や社会参画の運動から、共同購入運動や協同組合の設立のムーブメントが始まっていました。
 生活クラブの女性委員会と三姉妹提携を結んでいるのは、1987年に韓国で設立した女性民友会(1989年に生協事業を開始、2000年に生協法人化)と、同じく1987年に台湾で女性の権利、環境改善に女性自身が発言し、行動・解決しようと組織化した主婦連盟環境保護基金会(1992年に共同購入開始、2001年生協法人化)です。それぞれ1990年代前半に生活クラブと出会い、交流を重ね、1999年12月2日に、韓国・女性民友会と台湾・主婦連盟環境保護基金会、生活クラブ連合会・女性委員会の三者が姉妹提携を結び、調印しました。

  • 2010年アジア姉妹会議についてはコチラからご覧ください(2011年1月21日掲載)。
  • 2008年アジア姉妹会議についてはコチラからご覧ください(2009年2月9日掲載)。

女性運動は市民・地域視点の社会変革

 21世紀に入り、国家や地域の壁を超えて経済や情報の流出入が巨大化するなか、特定の国家や企業に莫大な利益や富が流れるグローバリゼーションが進んでいます。その弊害として貧富の差が生じ、身近なところでは私たちの食の安全・安心を脅かす事態につながっています。三者はグローバリゼーションの流れに対抗し、女性・市民の視点から地域の特性を無視しないグローバリズムを発展させようという時代認識のもと、「女性が主体となって行う具体的な社会活動として、それぞれ協同組合を持っている。女性運動の有効な武器として、あらゆる協同組合の設立と発展のために相互協力と交流を行う」ことをお互いに確認、この三者の会議を「アジア姉妹会議」と名付け、1年に1回は三者が会い交流することを約束し、現在まで続いています。

ワークショップを通じて地域での活動が世界とつながっていることが実感できた!

 この間、「アジア姉妹会議」では共同購入に限定せず、互いのさまざまな活動について報告し合ってきました。2003年からは互いに知り合うことから、言葉の壁を克服して、さらに相互理解を深めるために、「私たちの協同組合の価値と原則」の議論をスタートさせました。
 女性委員会では、ICAが1995年に発表した「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」の「協同組合の定義・価値・原則」を、生活クラブの活動に照らし合わせる作業を行ない、「連合女性委員会版 私たちの協同組合の価値と原則2005」を作成しました。
 そこで定めている生活クラブの価値は、「相互扶助、自己責任、民主主義、平等、公平、連帯の価値を基礎に置く」というもの。組合員は「誠実、公開、社会的責任ならびに他者への配慮を倫理的価値として自己決定していく」としています。第1から第8までの原則があり、例えば<第1原則「組合員主権」>とは、「組合員一人ひとりが運動と事業を担う主体者であり、組合員としての権利と責任を行使する意志を持つ全ての人によって開かれ、常に意志ある人々の参加を可能にしていく組織です」など、生活クラブの組合員による言葉で、組合員による自主運営・自主管理、組合員の経済的参加などの原則が定められています。
 この「連合女性委員会版 私たちの協同組合の価値と原則2005」を持って、女性委員会のメンバーがファシリテーターとして各単協へ出向いてワークショップを行い、議論を重ねてきました。模造紙やふせん紙、ペンを使って、参加者一人ひとりの生活クラブでの活動からアプローチして、グループごとに話し合う形式で、協同組合の価値と原則についての理解を深めていったのです。
女性委員会の委員で生活クラブ千葉副理事長の木村庸子さんは、「このワークショップを通じて、日常の地域での活動が世界とつながっていることが実感できたし、自信も持てた」と言います。
 生活クラブでは、首都圏を中心に戸別の配送が進み、従来の班(グループ)での学び合い、助け合いが少なくなり、組合員の間でも「私たちの価値と原則」への共通認識が得られているかどうかという課題があります。女性委員会ではいま、あらためて「生活クラブらしさとは」を考えていく必要があるのではないかと、ワークショップの見直しをしている最中です。「生活クラブのアイデンティティを明確にして、次世代を担う若い世代の組合員へのメッセージとしたい」と、牧島さんは言います。
 牧島さんの話を聞き終えて、参加したメンバーからは、「女性委員会という組織があるのは知っていたけれども、いままでの活動のなかで特に女性性やジェンダーについて意識しておらず、意義を理解できていなかった。自立した市民が自立した地域社会をつくるために、女性の視点で社会や協同組合運動をとらえ直したい」、「女性委員会は韓国・台湾の協同組合との相互交流を担う窓口的な組織だと思っていたが、生活クラブの活動の根幹とも言える深い議論ができる場。女性委員会の活動をもっと多くの組合員に広げていきたい」などの感想が聞かれました。
 「私たちの協同組合の価値と原則」をめぐる議論は三姉妹会議でも行なわれ、言葉の壁を越えて自分たちのアイデンティティや私たちが望む社会、私たちは何を目標に活動するのか、協同組合として何ができるかを議論し、三者共通の「私たちが目指す協同組合像」を明確にしていきます。
 2012年のASIM(三姉妹会議)は、このうち「第7原則・コミュニティへの貢献」をテーマに韓国・ソウルで開催される予定です。