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日本型の新しい3R制度について徹底討論!

 
 

生活クラブ生協も参加している「容器包装の3R(*1)を進める全国ネットワーク」が主催する国際フォーラム「欧州の容器包装リサイクル制度におけるEPR(拡大生産者責任)(*2)の現状を聞く」が12月6日、國學院大学常磐松ホールで開催され、全国から169名が集まりました。欧州から招いたゲストによる最新報告と、日本の容器包装リサイクル法の改正に向けて活動してきた容器包装の3Rを進める全国ネットワーク(以下、3R全国ネット)の関係諸団体、自治体関係者、有識者たちによって、容器包装リサイクル法の新しい制度について熱い議論が交わされました。(2013年1月7日掲載)

(*1)3Rとは、ごみを減らし循環型社会を構築していためのキーワードで、リデュース=発生抑制、リユース=再使用、リサイクル=再生利用の頭文字をとったもの。 (*2)EPR(拡大生産者責任)とは、生産から廃棄までの環境負荷について生産者が責任を負うこと。

EPRは輝かしいシステムである/トーマス・リンクヴィスト博士

時折ユーモアを交えながら講演するトーマス・リンクヴィスト博士 国際フォーラム「欧州の容器包装リサイクル制度におけるEPR(拡大生産者責任)の現状を聞く」の幕開けは、EPRの生みの親でもあるスウェーデン・ルンド大学国際環境産業経済研究所のトーマス・リンクヴィスト博士の講演「欧州における容器包装リサイクルと拡大生産者責任」でした。リンクヴィスト氏はスウェーデン・マルメ市生まれの工学博士で、1990年にEPRの概念を世界で初めて定義づけ、UNEP(国連環境計画)、OECD(経済協力開発機構)等の国際組織におけるEPRの議論の進展に貢献してきました。また、欧州各国やインド、南米等、各国のEPRの制度設計や分析に関与してきた、EPRにおける世界的第一人者です。
 リンクヴィスト氏は、はじめに「EPRは生産者を巻き込むことで、3Rの制度設計・向上への動機づけや、新システム構築に生産者の知識を活用し、十分な金銭的資力を確保できる」と、EPRのメリットを語りました。EU加盟国では多くの国でEPRの制度を活用していますが、リサイクル率などの法定目標値や達成結果に大きな差があり、政府主導か地域自治体が主体で分別収集するのかによっても成果は異なってくると話します。容器包装の回収率を左右する要件は、情報や教育のような意識的な啓発や、分別回収における利便性、デポジット制といった金銭的インセンティブが重要であると力説しました。
一方、一般市民に対する法規制や罰則は難しく、「いかに利便性の高いEPRシステムをつくるかが高い回収率を達成するカギとなる」とリンクヴィスト氏。欧州での世論調査では、市民が環境問題解決のためにできる手段としてリサイクルシステムの貢献が第一位であると答えており、市民意識を高めることとともに、制度設計上ではより利便性や分別機会の向上が求められているとうったえました。
 リンクヴィスト氏はスウェーデンやヨーロッパ諸国での分別回収の実施方法やデポジット制の仕組み、リユースびんの事例についてユーモアを交えながら紹介。「進歩は古い考え方を変え、世界を新しい観点から見るところから始まる。政策は新しいやり方や解決方法をとることを認め、促進すべきである」とまとめました。

EPRのゴールとは何か?/ヨアヒム・クヴォーデン氏

EU諸国のリサイクルや分別回収についての詳細なデータを披露するヨアヒム・クヴォーデン氏 続いて登壇したのは、ドイツ出身の弁護士で、欧州ほか33カ国の容器包装リサイクルシステムの横断組織「PRO Europe」の専務理事で、各国の容器包装リサイクル制度および国際規格に関する専門家でもあるヨアヒム・クヴォーデン氏。「義務づけられた企業により実施されている、ヨーロッパにおけるEPR」と題した講演を行いました。
 クヴォーデン氏は、EU諸国内での廃棄物抑制の枠組みを紹介。廃棄物は資源としてみられるべきであり、最もよくないのは埋め立て廃棄で、優先順位が高い順からリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)によってなされるべきで、エネルギー回収等は、LCA(Life Cycle Assesment=製品の生産、流通、使用、廃棄等ライフサイクル全体における環境評価)によって環境に対して害が少ないことが証明される条件で行うべきだとしました。
 資源効率においては、2020年の目標として、EU廃棄物指令の完全な施行と、一人当たりの廃棄発生量の低減、リサイクルとリユースは経済的に魅力的であり実現可能な最大レベルとなること、リサイクル不可能な材料に限ってエネルギー回収されること、埋め立ては事実上撤廃すべきであることがあげられました。そのうえで、EPRは高いリサイクル回収目標を達成するために必要な活動に対して資金を拠出できるシステムだと話しました。また、リンクヴィスト氏同様、加盟国間でも対象となる廃棄物種やシステムの費用効率性、システム管理、地方行政と製造者の役割において大きな差異があるとして、各国の資源別の回収率等のデータを紹介しました。
 欧州は27のEU諸国、2つのEEA(欧州経済地域)と、その他の国々で容器包装指令を実施していますが、そのうち、何も法的な体系がなく税方式を導入しているのがデンマーク、ハンガリーで、税方式と法的な体系を持つのがオランダ、EPRを導入しているが市場活用型に近いのが英国、産業界による基金方式を採用しているのがアイスランドで、その他27カ国がEPRを導入しています。なぜ多くの国がEPRを選択するのかについてクヴォーデン氏は「技術力と経済への影響力を持つ産業界が、その能力で環境と経済の両方にとって効率的な解決策を見つけることができると認識している」と述べました。またヨーロッパにおけるEPRには現在28の方式があり、例えば地方行政が強いフランスでは産業界と地方行政で責任を分担し、必要な収集方法についての共通合意を持つ「分担モデル」を採用していること、オーストリアやドイツでは、収集、選別、リサイクルの全責任を産業界が負い、収集を除いて地方行政はわずかの影響力しかもたない「デュアルモデル」であることなど、多くのEPRの方法がある紹介しました。ベルギーでは地方行政が収集と選別を担当し、産業界と責任分担をするシステムで、これが現時点での最善の実現策ではないかと話しました。
 クヴォーデン氏は「何があなた方の社会のゴールなのかを見据えるべき」とうったえ、リサイクル率の目標達成なのか、廃棄物の発生抑制なのか、高い環境基準を掲げることなのか、日本らしいシステムを考えていくことが重要であるとまとめました。

日本の現状を踏まえ、日本らしいEPRを次期改正容リ法で!

 リンクヴィスト氏とクヴォーデン氏の発表を受け、コメンテーターの京都府立大学の山川肇准教授は、EU各国の制度と日本の容器包装リサイクル法を比較し、改正容リ法に向けた市民案を踏まえて、主な検討課題を整理しました。

  1. 発生抑制の推進(現状:発生抑制が不十分)
  2. 再使用の推進(リユースびん減少に歯止めがかからない)
  3. リサイクルの推進(プラスチック製品および紙製容器包装のリサイクル率が低い)
  4. リサイクルの質の向上(低付加価値、見えにくい)
  5. 分別収集・選別保管の効率化(二重選別、効率化のインセンティブが少ない)
  6. 役割分担・費用支払いに関する合意形成

 上記の課題をいかに改正容リ法に反映させていくか、コーディネーターに国立環境研究所の資源循環・廃棄物研究センター主任研究院の田崎智宏氏を迎え、「徹底討論!次の容リ法で本当の3Rの実現を」をテーマにディスカッションを行いました。奈良県生駒市長の山下真氏、新宿区環境清掃部長の伊藤憲夫氏、PETボトルリサイクル推進協議会専務理事の近藤方人氏、秋田エコプラッシュ専務取締役の本田大作氏、セブン&アイホールディングス総務部の永井達郎氏、関東学院大学法学部教授の織朱實氏、山川肇氏、リンクヴィスト氏、クヴォーデン氏と、北海道から九州まで3R全国ネットの運営委員&政策委員、3R地域政策研究会のメンバーによる一大ディスカッションへと展開しました。
 ディスカッションでは織氏が「容器包装には商品を守るという機能が本質的にあり、環境全体主義に陥らない議論が必要」と問題提起し、田崎氏も「湿度が高く高温な日本と欧州ではパッケージに求められる機能が異なり、情報提供の重要性も話されるべきだ」と対応、リンクヴィスト氏は「EPRのシステムによって環境適応性のコストは内部化される。情報をパッケージに示すことで市民に情報共有していく」と欧州の状況を話し、情報共有の重要性が語られました。山下氏は「国が収集・選別・保管の標準コストを定めるべき。足りない部分は自治体が負担するなどして、いまのように自治体によって異なる費用分担は財政的に厳しい」と発言。近藤氏は「容リ法によって市民・行政・事業者の役割が明確になり、三者の主体が連携できるようになった。改正容リ法では次のステージに進んでいきたい」と力を込めました。
 活発なディスカッションを受け、コーディネーターの田崎氏は、「改正容リ法に向けた議論では、異なる意見も認めたうえで活発に議論し、日本独自の答えを出していきたい」とまとめました。

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 生活クラブ生協でもびんリユースシステムの推進や、過剰な容器包装の見直し、啓発活動などを通じ、3Rの優先順位を意識した活動を行っています。こうした日々の積み重ね一つひとつが、限りある資源を大切にし、2Rを重視したライフスタイルへの変革の礎になっていきます。
 改正容リ法の市民案が実現すると、3Rの優先順位が配慮された商品開発が行われ、2R(リデュース、リユース)の大切さが実感されるようになります。減量された容器包装の商品や詰め替え商品、リユース容器入の商品などが売れるようになり、市町村の分別収集以外にも集団回収や店頭回収などの新しい回収方法が広がる、市町村のリサイクル費用が公開され分別収集の効率化が進むと言ったメリットが生まれます。2013年春には改正容リ法市民案の最終案がまとまる予定です。