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山形県遊佐町、JA庄内みどり、生活クラブ連合会が「共同宣言」

 
 

生活クラブと山形県遊佐町との関係は、「作る人」と「食べる人」を軸に、石けん運動をはじめとする地域の環境保全運動へと広がってきました。JA庄内みどりとはお米や青果の取組みから「飼料用米」の作付けなどを通して提携関係をさらに深めています。こうした動きを受けて遊佐町、JA庄内みどり、生活クラブ連合会は昨年から、これまでの提携関係を基礎にしながら国内自給率の向上と、自然環境を守り次代へ引き継ぐための協議を開始。1月26日には遊佐町で3者主催による「共同宣言」の締結式が行われました。(2013年2月22日掲載)

第一次産業の発展、担い手の育成、環境の維持など包括的な共同宣言

挨拶で「提携関係は新しい発展段階に入った」とも話した時田町長 締結式には山形県遊佐町、JA庄内みどり、生活クラブの関係者ら約100人が参加しました。
遊佐町の時田博機町長は挨拶のなかで、1988年に誕生した「共同開発米」は産地精米という新しいスタイルのコメ作りだったこと。また、旧遊佐町農協女性部が石けん運動を通じて水環境の大切さを訴えてJA店舗から合成洗剤を追放するなど、その運動も全国的に特筆すべきだったことなどを紹介。そのうえで、次のように決意を明かしました。
 「食料の生産と消費のうえにさらに、日本農業を含む第一次産業の発展、食料を作り続ける地方と担い手の育成、そして、生命の生存のための環境の維持などの包括的な共同宣言に達したことは大きな喜びで、そのための新たな取り組みをしていきたい」
 生活クラブと遊佐町の関係は、旧遊佐町農協とのコメの産直や環境保全型農業の推進にとどまりません。石けん運動のほか、1988年に起きた月光川上流へのアルミ再処理工場進出については、旧遊佐町農協と生活クラブが協力して反対署名に取り組みました。この運動はアルミ再処理工場の移転を実現するとともに、「月光川の清流を守る基本条例」の制定へと結びつきました。また、生活クラブ組合員のカンパ金をもとに、遊佐町は「環境保全基金」を創設した経緯があります。
 1986年ごろから始まった鳥海山麓での岩石採取については、JA庄内みどり遊佐支店の共同開発米部会が2010年に反対する意見書を町に提出。生活クラブも遊佐町町長と山形県知事にその中止を求める要望書を提出しました。一方で遊佐町は、水環境の役割を果たす山林原野等を保全することで町民の生命と健康を守ることを目的に、現在採掘している場所に隣接する山林の土地を公有化、生活クラブとともに水環境を守り発展させていくためのシンボル的な場所として積極的な活用を図るために、「共存の森」と命名しました。

産直提携の次なる発展形を!

「宣言文の内実を全国のモデルに」と強調した阿部代表理事組合長 締結式では時田町長に続いてJA庄内みどりの阿部茂昭代表理事組合長と、生活クラブ連合会の加藤好一会長が挨拶しました。
 阿部代表理事組合長は地域農業と日本の食料を守り、持続可能な社会と地域を発展させる必要がいまこそ求められていると強調。またこれまでの提携実績をふまえ、行政も一つのテーブルについて今後の地域農業のあり方や暮らしを検討して具現化することは「農業振興に携わる立場として心強く感じている」として、こう述べました。
 「共同宣言の締結は自然環境と町民の暮らしを守る先進的な取り組みで、これが全国のモデルになると確信しています。そのために私たちが果たす役割を認識し、実践することを誓います」

「宣言文は机に仕舞い込まない」とアピールした加藤会長 生活クラブ連合会の加藤会長は、コメの提携は日本における産直提携の先進モデルとしての実績と地位を築いたこと。また飼料用米の生産においては、国内自給力向上のための有力な実践例として内外の絶大なる評価を得ているなどを力説しました。そして、「共同宣言は持続的食料生産を維持発展させ、食料生産と消費の関係にとどまらず日本農業の生産構造の改革を通じて私たちの暮らしの維持向上を目指すことを決意している」など7つの課題(宣言文参照)を掲げていることを紹介し、次のように締めくくりました。

 「遊佐町・JA庄内みどりと生活クラブとの産直提携はなによりも面的、複合的な提携関係を築くことによって、内外に誇れる今日の到達点に至ったものです。共同宣言の締結にあたり、生活クラブは今後ともこの関係を誇りとし、さらに発展させていく決意をあらためて表明します。私たちはこの共同宣言を机の引き出しに仕舞い込むことなく今日から実行し、遊佐町、JA庄内みどりと生活クラブとの産直提携の次なる発展形をともに築きましょう」

小澤教授の講演に聴き入る参加者 締結式では、吉村美栄子山形県知事の代理・庄内総合支庁の会田稔夫支庁長や、生活クラブ親生会新田嘉七会長らの挨拶のほか、山形大学農学部の小澤亙教授の「地域農業と日本の食料を守る連携の役割と展望」と題する記念講演がありました。
 小澤教授はこのなかで、いまこそ「食料、農産物は単なる商品ではなく生きていくうえで必要不可欠なものという問い直しが求められている。そのためには消費者と生産者双方からの情報発信と連携が必要です」と強調しました。

 

地域農業と日本の食料を守り、持続可能な社会と地域を発展させる共同宣言

  遊佐町と生活クラブ生協及びJA庄内みどりの三者は、長い提携と交流の歴史の上に立ち、連携と共同のもとにお互いの地域、生活課題を解決していくために、手を携えて「地域農業と日本の食料を守り、持続可能な社会と地域を発展させる共同宣言」を締結する。
 この宣言では、持続的食料生産を維持発展させ、食料生産と消費の関係にとどまらず、日本農業の生産構造の改革を通じて、私たちのくらしの維持向上を目指す。

1.私たちは、私たちの生命を維持する食料や、飼料、原料の国内自給率と農業、漁業、畜産など第一次産業の社会における価値を高め、国内の食の自立や、健康の維持増進、地域環境の保全をともに担う。

2.私たちは、生命の根源に関わる大気・水・大地等への環境破壊をもたらすような放射性物質や化学物質、またそれらを直接に破壊する行為を削減するため、NON-GMO宣言の推進など連携しながらそれぞれの立場で継続的に運動を進める。

3.私たちは、土壌・森林・河川・地下水・海などの自然資源の利用にあたっては、自然資源の地域内循環の維持再生を第一に心がけ、そのために継続的な活動を行う。

4.私たちは、日常生活及び生産活動における使用資源の省資源化など積極的なごみの排出抑制を行い、生活、生産の場からごみ削減のための取り組みを進める。

5.私たちは、日常生活及び生産活動において、使用するエネルギーをできる限り節減するとともに、生産活動においては、生産・流通のエネルギー効率の改善と、安全で持続可能な再生可能エネルギー資源の開発、利用を通じて、過度に原発に依存したあり方ではなく、持続可能な社会を目指す。

6.私たちは、それぞれの事業内容に関する事柄について、安全・安心・健康・環境などに影響を及ぼす情報は、できる限り、共有、公開し、私たちの相互間および地域社会の人々とともに連携し、協働による事業展開を目指す。

7.私たちは、日本の食料自給率の向上、食の安全をはじめ、くらしと生命を守るため共同してお互いのネットワークを強化するための取り組みを行う。

 以上、宣言の具体的な取り組みのため、三者がそれぞれの事業計画の展開にあたって、常設の連携窓口を設置するものとする。

  2013年1月26日

  山形県飽海郡遊佐町 町長 時田 博機
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 会長 加藤 好一
庄内みどり農業協同組合 代表理事組合長 阿部 茂昭