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GM作物・食品がなくなる日まで運動を続ける!

 
 

遺伝子組み換え作物(GMO)の排除などを目的にイタリアで始まったGMOフリーゾーン運動。日本でも2005年に滋賀県高島市の圃場で初のフリーゾーン宣言が行われ、翌年には同市で第1回目の「GMOフリーゾーン全国集会」が開かれました。第8回目となる「GMOフリーゾーン全国交流集会in山梨」は3月2~3日にかけて山梨県北杜市で開かれ、全体交流会と分科会2日間にわたった集会参加者は約480人に上りました。(2013年4月15日掲載)

食品としての危険性を指摘する実験結果、相次ぐ

実行委員長の堀川千秋さん 今回の全国交流集会のテーマは「山梨発・GMOフリーゾーン宣言 守ろう!かけがえのない命の糧を」。JA梨北の代表理事組合長で実行委員長の堀川千秋さんは、TPP(環太平洋経済連携協定)について、国民保険制度や食の安全性が脅かされる可能性が大きいとの危機感をあらわにし、こう挨拶しました。「日本の食料をみなさんと一緒に守り、安全、安心な農産物をつくっていきたい。そのためにJA梨北の農業振興計画のなかに、『GM作物は作らない、作らせない』を盛り込みました」
 初日の全体交流会では、北杜市市長の白倉政司さん、実行委員会のメンバー「北杜市に遺伝子組み換え作物を作らない会」の石毛恵美さんの挨拶に続き、「遺伝子食品いらない!キャンペーン」代表の天笠啓祐さんの基調講演と、韓国の弁護士・ソンギホさんの特別講演がありました。

天笠さん、堀川さん、ソンギホさんはそれぞれTPP参加の危険性を訴えた 天笠さんによると、2012年の世界のGM作付面積は1億7,030万haで、これは世界の農地の10分の1を占めています。国別ではキューバとスーダンでGM作物の栽培がはじまる一方、ドイツ、スウェーデン、ポーランドでの栽培がなくなり、栽培国は29から28ヵ国に減りました。天笠さんはこの他、米国でGMサケの商業流通の可能性が近いことやGM豚の研究が進められていることなどを説明。そのうえで、GM食品そのものの危険性についていくつかの事例を紹介しました。
 その一つが、米国環境医学会(AAEM)が2009年5月にGM食品の即時モラトリアムを求めたことでした。AAEMは、<多数の動物実験の結果からGM食品と健康との間に、偶然を超えた関連性を示しており、“GM食品は、毒性学的、アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康、代謝、生理学的、そして遺伝学的な健康分野で、深刻な健康への脅威の原因となる”と結論することができる>と指摘しています。
 もう一つが、2012年9月に発表されたフランスカーン大学の研究チームがラット使って行った動物実験の結果です。それによると、雌で乳がんと脳下垂体の異常が多かったことや、雄では肝機能障害と腎臓の肥大、皮膚がん、消化器系への影響が見られました。
 これらを踏まえて天笠さんは、日本政府がTPPへの参加を表明したことに触れ、「TPPに参加すれば、非関税障壁としてGM作物の安全性評価の緩和や環境影響評価の簡素化、さらにGM食品表示の撤廃など、GM作物、食品の容認圧力が強まってくるでしょう」と警鐘を鳴らしました。

日本のTPP参加は韓米FTAに学べ!

韓米FTAで韓国国民の生活は苦しくなったと強調するソンギホさん ソンギホさんは、通商法や韓米FTAの専門家として著書が多数あります。特別講演のテーマは「韓米FTAが農業、遺伝子組み換え問題にもたらす影響」。FTAとは自由貿易協定のこと。韓国と米国の2国間では2012年3月15日に発効しました。5年以内に95%の品目の関税が撤廃される取り決めになっていますが、ソンギホさんは「FTAで生活は苦しくなっており、国民は批判的な立場をとっている」と現状を説明しました。
 韓米FTAについてソンギホさんはまた、米国がFTAの妥結条件として提示したGMO覚書と呼ばれる「農業生命工学覚書」が、韓国のGMO政策と有機農業に大きな影響を及ぼしたと指摘。その結果、GMO原料を使ったすべての食品に対する表示規制が採択されずに限定的になったとことや、環境リスク評価が弱まった事例などを列挙し、GMO覚書の狙いについてこう述べました。
「この覚書は結局、カルタヘナ議定書という新たな国際規範に対抗して、米国のGMO農業を守ろうという米国の利益を貫徹するものです」
 こうした動きがあるなかで、韓国のGMO反対運動は有機農業運動と組合員36万世帯の「ハンサルリム」とiCOOPなどの生協を中心に進められています。最近では、全国女性農民会総連合が始めた固有種の種子保全運動に注目が集まり、2012年にはこの運動をさらに発展させるために、いくつかの団体が全国ネットワークを結成しました。
 講演の最後をソンギホさんは、こう締めくくりました。
 「韓米FTAが韓国の人々の暮らしに苦痛と危機をもたらす状況のなかで、有機農業農民と生協消費者のGMO反対運動は、国民一般の韓米FTA反対運動と結合して展開されるでしょう。日本の経験もまた、韓国の運動に大きな手助けになると思います」
 講演の後、講演した2人に実行委員長の堀川さんを加えてTPPをテーマにしたパネルディスカッションが行われました。ソンギホさんは、韓米FTAの経験を踏まえ「TPP阻止に向けて大切なことは、地方、国レベルでの議員への働きかけ」とアドバイスしました。

分科会で活発な意見交換が展開

2日目は3つの分科会が開かれた。写真は第2分科会 2日目は3つの分科会が開かれました。第1分科会のテーマは「作る側の挑戦」。アドバイザーで生活クラブ・スピリッツの白井和宏さんは、最近のGMOの動向について解説する中で、米国では農家がNON-GMOの種子を入手できなくなっていることや、日本でもGMOの試験栽培がのべ28品種で実施されていることを明らかにしました。第1分科会ではまた、自家用飼料としてトウモロコシの栽培を12年続けている酪農家などからの報告や、これからも「遺伝子組み換え作物を栽培しない」との生産者からのアピールが相次ぎました。
 第2分科会は「世界のGMOフリーゾーンの動きと日本の自治体条例制定の動き」をテーマに、日本消費者連盟の纐纈(こうけつ)美千代さんがフリーゾーンについて、生活クラブ北海道の泉谷めぐみさんが日本の自治体条例制定の動きについて報告しました。纐纈さんはGMOを栽培している国は増えていないとする一方、「GMOフリーゾーン宣言を行っている国、自治体、農業団体が増えている。市民、NGOなどの運動の成果です」と強調しました。
 泉谷さんはGMイネの反対運動が、「北海道遺伝子組み換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」につながった経緯を説明。そのうえで、「不完全だと思われる条例でも作り、施行することが重要」と話しました。第2分科会では、子育て真っ最中の女性たちのネットワーク「食を守るママの会in山梨」の活動報告があり、泉谷さんは「北海道でも若い人たちからこれまでにない運動が起きている。山梨と同様にそういう人たちとも連帯したい」とエールを送りました。
来年の開催地は栃木県。生活クラブ栃木の理事と黒磯米の生産者「どではら会」の会長が挨拶 第3分科会のテーマは「日本のGMO政策」。アドバイザーの天笠啓祐さんは、日本のGM規制は各省庁バラバラで、しかも、日本への主な輸出国である米国への配慮から例外だらけの緩い規制になっていると指摘。また、現在、消費者庁が進めている新食品表示制度づくりに消費者の意見を反映させるためには、「消費者庁や国会、国会議員への働きかけが必要」と述べ、さらに、GMOを国際的に規制するために「海外のNGOと連携した国際条約制定への働きかけが効果的」と訴えました。
 今回の全国交流集会は生産者の参加が目立ちました。初日の全体会で、生活クラブ山梨の中野裕子理事長は、放射能汚染も遺伝子組み換え技術の事故もひとたび起きると制御不能でよく似ていると指摘し、こう締めくくりました。
「もう一つのフクシマを起こさないために、この全国集会が『遺伝子組み換え作物いらない』意志を共感する場となりますよう切望するとともに、この地からの発信を各地に広げる努力を続けてまいります」