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甲状腺検査活動 生活クラブが結果発表

 

生活クラブと各単協は2012年秋から、子どもたちの健康への放射能の影響について福島と他地域を比較するための「甲状腺検査」活動に取り組みました。これは生活クラブふくしまの提案を受けて実施したものです。結果がまとまったことを受け、6月30日に東京で中間報告会を開きました。(2013年7月3日掲載)

 

北海道から兵庫まで612人が参加

東京電力福島第一原発の事故後、福島県は2011年度と2012年度の2回、18歳以下の子どもたち約17万4000人を対象に甲状腺の超音波検査を実施しました。しかし、検診を受けた子どもや保護者に対する情報公開について納得が得られる状況ではありませんでした。

 このため生活クラブふくしまは、甲状腺検査の情報公開と再受診(セカンドオピニオン)を求めて活動を進める一方、福島と他地域の比較のために各単協での甲状腺検査の実施などを生活クラブ連合会に提案しました。

これを受けて各単協は「福島と他地域との比較」に加え、「子どもの早期検診」や「全国の実態を知り」「脱原発活動につなげる」ことを目的に検査活動に取り組みました。北海道から兵庫までの26単協が参加。小学生、中学生、高校生合わせて612人が検診を受けました。

検診人数と「結節」発見率は反比例

比較調査の結果は1の通りです。福島県による2回の結果並びに環境省が比較データを得るために青森県、山梨県、長崎県で実施した調査(4,500人規模)結果、それに生活クラブを比較しました。調査では「のう胞」(水胞)と「結節」(しこり)の頻度および大きさ分布と比較を行ないました。

【表1】

「のう胞」ですが、集計のまとめを監修した北海道深川病院内科部長の松崎道幸さんは「『のう胞』の頻度と大きさ分布については福島とそれ以外の差はなさそうです」と説明しましたが、のう胞の医学的意味は現在のところ不明として次のように指摘しました。

「大きさについては福島以外の地域で高いと解釈できるデータになっていますが、『のう胞』が大きいとがんになりやすいという証拠はありません。したがって、その大きさを甲状腺検査の判定基準に入れたのは政府や県のミスリードではないかと思います」

一方の「結節」の頻度は、サイズの大きなものが福島以外、特に生活クラブの検査データで高くなっています。この結果には誰もが疑問をもつところでしょう。ただ松崎さんは、検診人数と結節発見率がきれいな反比例の関係にあるデータ(表2)を示し、「福島県による検査のように10万人規模の検診を行う場合と、その100分の1の人数の検診を行う場合では、一人あたりにかけられる時間の差などから、甲状腺異常を捉える感度が大きく違うことも予想される」と話しました。そして今後についてこうアドバイスしました。

「甲状腺超音波検査の時間は福島県による検診では数分以内と短く、生活クラブは15分前後と比較的長時間であったようですが、今後は福島県内で100人規模の再確認のための検診を生活クラブ方式で行い、県の調査結果と比較する必要があります」

【表2】

▲上表をクリックすると、甲状腺検査の実施状況及び検査結果について(PDFファイル)が開きます(出典:2013年2月13日福島県第10回県民健康管理調査検討委員会資料)

 

 

 

市民の立場からの監視には大きな意義

比較調査の結果は、原発事故による放射線被曝を多く受けた福島以外では「のう胞」や「結節」が少ないのではないかとの予測とは異なるものでしたが、松崎さんは、生活クラブによる甲状腺検診には「大きな意義がある」と、次のように強調しました。

 「市民の立場から政府や福島県の甲状腺検診を監視検証する。これによって科学的で正確な事態の把握が可能となり、政府による恣意的な世論誘導を許さない市民的縛りとなります。また、福島事故の健康影響に関するカウンターレポートを作成し、国際社会に向けて福島事故の健康影響を周知することが可能となります。さらに、あってはならないことですが、新たに原発事故発生に対する市民レベルの効果的な対策を講じる基礎資料となります」

 

 

中間報告会では、松崎さんと生活クラブ京都エル・コープ理事長の佐々木郁子さん、生活クラブふくしま理事長の大津山ひろみさんによるパネルディスカッションがあり、今後も、福島を加えた甲状腺検査活動を続けていくことの重要性などについて発言がありました。

生活クラブ生協甲状腺検査活動中間報告本文はこちら(PDFファイル963kB 2013年11月19日更新)