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「つながる、乗り越える」の思いをともに~韓国で福島の現状を伝える講演会

 
 

2013年の夏、韓国のドゥレ生協連合会の協力で、福島の子どもたちのリフレッシュツアーを韓国で開催しました(→報告はこちら)。その出会いをきっかけとして、福島第一原発事故から3年目となる福島の現状をさらに多くの人に伝え、脱原発の思いを共有するため、4月9日~12日、生活クラブふくしまと連合会から、5名が韓国を訪問しました。(2014年5月16日掲載)

 夏のリフレッシュツアーでは、生活クラブふくしまの組合員9家族が訪問し、ドゥレ生協連合会の会員生協の組合員や職員の皆さんに、あたたかく迎えていただきました。
 今回の訪問にあたって、大津山ひろみ理事長から寄せられたメッセージには、「(韓国リフレッシュツアーをつうじ、)遠くに住んでいても『福島のことを思ってくれている人たちがいる』。そう感じることで、帰って来てからも、ここ福島で元気に暮らすパワーをいただいた、そう思っています。今回は、福島の現状を少しでも知っていただき、そのことがこれからの相互の理解と交流につながっていけば、こんなにうれしいことはありません」と綴られています。
 その思いを受け、今回は、ふくしまから組合員の新関まゆみさんと専務理事の土山雄司さん、生活クラブ連合会からは、渡部孝之常務理事など3名が参加しました。

市民グループとの懇談会に参加

 到着翌日の10日午前、さっそく、生協や代案学校(オルタナティブスクール)の関係者、情報公開センターなど市民グループの皆さんと、懇談の場をもちました。
 ふくしまの土山専務が、「福島県による放射能被ばくによる健康調査と市民団体ネットワークの活動について」として、「県民健康調査」の改善に向けた県との交渉経緯などについて報告。また、連合会の渡部常務は、「生活クラブ生協の甲状腺検査活動」と題して報告しました。
 参加者からは、「もし韓国で原発事故が起きたら、日本と同じような情報隠ぺいが起こるのではないか」との危惧が出され、土山さんは、「行政が作為的に議事録などを作らなければ公開もされない。プライバシーを盾に必要な情報を公開しないこともある」などとコメントしました。
 また、新関さんは、2011年5月に「放射能から子どもを守るネットワーク」を有志で立ち上げて、市民みずから通学路の除染を行ない、放射線量の高い場所への対策を求めて行政との交渉をおこなった体験を語りました。

韓国の生協関係者との懇談で生活クラブの活動を報告

 昼食をはさみ、午後は、ドゥレ生協の会員生協の関係者、約20名と懇談しました。2013年のリフレッシュツアーに参加された方も多く、「昨年、韓国に来た福島の子どもたちは元気ですか」と、誰もが気にかけ、声をかけてくれました。
 懇談では、同じ生協の仲間ということで、生活クラブの活動を中心に話をしました。渡部常務は「生活クラブの放射能汚染への取組みと放射能自主基準『補償のしくみ』」について、渡辺繁美課長は「生活クラブ連合会の脱原発運動に関する最近の動き」について報告。
 京畿南部ドゥレ生協(生活クラブ千葉と姉妹交流)の関係者からは、「子どもたちの健康のために生協としてどのような活動をしているか」との質問があり、「10時間かけて検出限界値10ベクレル以下で検査した野菜を、『福島の子どもたちのための野菜セット』として供給している」ことなどを紹介しました。
 「線量の高い地域からの避難に関する対策はあるのか」との質問に対しては、土山さんが、「国は賠償や移住の費用がかかることを恐れて、移住の権利より帰還を優先している。(移住するかどうかは)個人の判断を尊重すべきだが、年間放射線量が1ミリシーベルト以上の地域は、移住するかどうかを個人が判断できるように保障すべき」とし、「『原子力ムラ』の関係者は、放射能汚染による健康被害をなかったことにし、国際的につながって原発を推進している。私たちも連帯しながら脱原発をすすめていきたい」とまとめました。

生協や市民団体関係者など約100名が参加した講演会

 翌11日、「生活クラブふくしま招待特別講演―生活クラブふくしまの方々の話」と題した講演会が、ドゥレ生協連合会の主催で開催され、生協や市民団体の関係者など約100名が参加しました。
開会に先だち、3月に開かれた脱原発イベントで韓国の子どもたちが描いたメッセージハガキが、ドゥレ生協連合会のイ・グンジャ会長から、ふくしまの新関さんと土山さんに手渡されました。
 つづいて、新関まゆみさんが、「福島からの声~私たちの健康と暮らし、未来の子どもたちの命を守るために」と題して、「自家栽培の有機米や野菜・果物を食べ、裏山の木々でお風呂をわかし、地下水を飲料水とする、環境を大切にする、自給自足的な生活」が、原発事故によって一変したこと、県の甲状腺検査の結果について、自己情報開示請求を初めて行なった経験を語り、会場の人びとは真剣な面持ちで聞き入っていました。
 「未来の子どもたちの命を守るために、あきらめず、明るい未来のために、これからも、自分にできることをやり続けたいと思っています。生活クラブは、私にとって、健康を守り、維持していく最大の味方、知恵だと思っています」と締めくくった新関さんに、あたたかい拍手が送られました。

「つながる、乗り越える」の思いを伝えたい

 土山さんは「つながる、乗り越える」と題して、震災後の生活クラブふくしまの活動について講演。共同購入の継続をめざして組合員の安否確認をしながら配達を続けた日々、仮設住宅での「青空市」などの被災者支援、放射能測定や甲状腺検査活動などの活動、「『予防原則』と『市民の自己決定権』に立って、『福島の子どもと知る権利』を守る」とする放射能対策の観点を紹介しました。
 会場との質疑応答では、「福島の生産者との関係を組合員はどう考えているか」との質問があり、生活クラブふくしまで独自開発した豆腐について、土壌からの放射能の移行が少ない品種を原料とすることで取組みをつづける判断をした事例を紹介しました。
 また、「つながる、乗り越える」という講演タイトルが心に残った、との感想も出されました。土山さんは、「原発事故の夜に、全国の組合員とふくしまの組合員がつながってこの苦境を乗り越えたいという思いで、組合員向けニュースの題としてこの言葉を書いた。原発については声をあげ続けることが大切」と伝えました。

原発のない社会をともにつくる

 今回の訪問では、生活クラブの放射能対策、脱原発活動などについて、隣人である韓国の人びとに、より深く伝え、どの場でも、真剣な空気の中で、率直な質問が飛びかい、対話を深めました。放射能の「恐ろしさ」だけでなく、その中で葛藤しつつ、人と人が繋がる力で困難を乗り越えようとしている、福島の人々の思いを、伝えることができました。
 今回、はじめて韓国を訪問した新関さんは、「韓国の生協や市民団体の方々が、真剣に食のことや環境保全、原発のことなどを考えて行動していることを知って、励まされました。貴重な出会いに感謝しています」と感想を語りました。
 原発や放射能による汚染は、国境を超えた課題です。自分たちの暮らしを見つめなおし、原発のない社会をつくっていくために、韓国の市民の皆さんと、これからも手をたずさえて歩んでいきます。