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安全な食べものに関する国際フォーラム(開催地:バンコク)で加藤会長が講演

 
 

アジアでは経済成長にともなって農薬を大量に使用した農業が主流となり、生産する農家にとっても、食べる側の消費者にとっても、健康被害が深刻です。8月22日から24日の3日間、農業と食料の問題を考える「マインドフルマーケット」国際フォーラムがタイのバンコクで開催され、生活クラブが基調講演を依頼されました。(2014年9月8日掲載)

国際フォーラムに10か国以上が参加

基調報告を聞く参加者たち 「マインドフル」は翻訳しにくい言葉ですが、「心がこもった」「熟慮された」といった意味で、消費者と生産者がお互いのことを思いやると同時に、環境や将来の世代のことをしっかりと思いやるという意味が込められています。生活クラブは1989年にもう一つのノーベル賞として知られる「ライトライブリフッド賞」を受賞しましたが、タイで唯一この賞を受賞した人権活動家の僧侶が創設した「幸福のための学校」が中心となり、このフォーラムが開催されました。会場となったバンコクのシーナカリンウィロート大学には、主にアジアのおよそ10か国から延べ200人ほどが参加しました。
基調講演を行なう加藤会長 生活クラブ連合会の加藤好一会長はフォーラムの冒頭で、「食べ物・農業・幸せ、そして新たな精神」というテーマで基調報告を行ないました。加藤会長は、山形県遊佐町との提携を事例として挙げ、生産者も組合員(消費者)もともに生活の質を高めていけるような活動を継続してきたことを報告しました。「生産と消費の現場が直接結びつくことによって初めて、食をめぐるさまざまな問題の解決が可能になる」と加藤会長は強調しました。
 続いてビアカンペシーナのザイナイ・アリフィン・フアドさん(インドネシア)と「ブータン学とGDH研究所」のダショ・カーマ・ウラ所長(ブータン)が基調講演を行ないました。ビアカンペシーナは、アフリカ・アジア・ヨーロッパ・アメリカ大陸の73か国164の小規模農家の団体で構成され、合計で2億人の農民が参加しています。フアドさんは、自分の国の食料については世界規模の巨大食品企業の手にゆだねるのではなく、自分の国の人々が決める権利を持つべきだという「食料主権」の考え方を強調しました。
基調講演の進行役ハンス・ヴァン・ウィレンスワードさん(幸福のための学校、右)とビアカンペシーナのザイナイ・アリフィン・フアドさん(中央) そして、「ビアカンペシーナは世界中の小規模農家の集まりですが、力を合わせることによって、各国の政府にも、FAO(国際食料農業機関)などの国際機関の政策にも影響力を持つようになりました」と。ウラさんの国ブータンは、GDP(国内総生産)にもとづく経済成長に異議を唱え「国内総幸福」(GPH)を提唱し、「2020年までに全国民に有機食品」の供給を目指しています。ウラさんは、「市場での競争にもとづくのではなく、人々の幸福にもとづくような市場とはどのようなものなのか」と会場に問いかけました。

 

安全な食べものをすべての人々に届けるために

「地球にやさしい市場をつくりだす」パネルディスカッションでスリランカ、中国、カンボジアから 「安全な食べもの、特に有機農産物をどのようにしてすべての人々に届けるのか」というテーマは、会議を貫くものでした。3日間のフォーラムでは、タイ、ミャンマー、中国など各地で盛んになってきているCSA(地域支援型農業、地域の農家が消費者に有機農産物を届ける活動)、乳製品と農産加工品の製造・販売を行っているラオスの女性グループをはじめ「環境にやさしい製品」を製造販売する地域事業、2004年のスマトラ沖地震による津波で親を失ったタイ南部の子供たちのために建設された児童施設で、子供たちの食料自給と運営資金のために有機農業を始めた事例など、安全なたべものをめぐるさまざまな取り組みについて情報と意見が交換されました。

分科会では、アジアの共同購入を始めたばかりの人々から次々と質問

分科会では参加者たちから熱心な質問が 生活クラブは、生協と農協をテーマにした分科会も担当しました。分科会には、タイ、ミャンマー、カンボジアなどから20名ほどが参加しました。参加者は小学校の親たちで共同購入を初めて一年くらいというタイ人の若いお父さん、中国の北京近郊でCSAのために若者たちと農場を立ち上げた農家、カンボジアで有機農産物を都市の消費者に届けるために農家の協同組合作りを支援している市民団体の職員、農村の支援を行っているタイの農水省の職員などで、「生活クラブの誕生のとき、200人もの主婦をどうやって組織することができたのか」「34万人もの組合員に消費材を供給するための物流はどうなっているのか」「意思決定はどのように行うのか」など、具体的な質問が次々と上がりました。
 アジアでは農薬や添加物、巨大企業による食料の支配といった問題に目を向ける生産者や消費者が増えてきています。生産者と消費者を直接結びつけて、「マインドフルな市場」をつくる。そんな動きがアジア各地で起こっていることを実感できる会議でした。