生活クラブ活動情報

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地域の高齢者や困っている人たちを地域ぐるみで支えるしくみ「安心システム」を全国に拡げます  「安心システムユナイテッド」設立総会が開催されました

介護が必要になっても住み慣れた自宅で暮らしたい。ひとり暮らしでも地域から孤立せずに生活したい。福祉にかかわるこれらの願いを実現するために、生活クラブは各地でワーカーズ・コレクティブや社会福祉法人を立ち上げるなど、地域の組合員が力をあわせた取り組みを積み重ねてきました。
この春、生活クラブグループから生まれた社会福祉法人とNPOの合わせて4団体が、困っている人々を地域で支える新しいしくみとして「安心システム」を他の社会福祉法人とともに提唱し、これを実行し全国に普及させる組織連合である「安心システムユナイテッド」を設立しました。
4月29日に東京都内で開催された設立総会には、「安心システムユナイテッド」に参加する社会福祉法人、協同組合、NPO法人などに加え、関東圏を中心とする生活クラブ生協の会員単協からもおおぜいが集まり、総勢約110名の出席となりました。

安心システムユナイテッド 呼びかけ団体(9団体) (五十音順)
社会福祉法人いきいき福祉会*(神奈川)/社会福祉法人小田原福祉会(神奈川)/社会福祉法人協同福祉会(奈良)/社会福祉法人生活クラブ風の村*(千葉)/社会福祉法人同和園(京都)/社会福祉法人福祉楽団(千葉)/社会福祉法人ふれあいコープ(栃木)/社会福祉法人悠遊*(東京)/特定非営利活動法人 結いのき*(山形)
*=生活クラブグループから生まれた福祉事業団体

 

地域包括ケアの理念を地域全体で

現在、国民の約4人に1人が65歳以上です(2014年9月時点で25.9%)。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、医療・介護の需要がさらに高まると見込まれています。こうした状況の中、国は「医療から介護へ・施設から地域へ」と、地域での包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。高齢者が重度の要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられる支援体制です。

「安心システムユナイテッド」は、この方向性に同意しながら、高齢者だけでなく地域社会を構成するあらゆる人々が自分らしく暮らしていけるように地域社会を再構築する必要があると提起しています。そして、地域包括ケアには地域で暮らすすべての人が担い手として参加することが重要であり、そのうえで地域の福祉事業者の役割は、制度に基づくサービス提供だけでなく、制度のすきまを含めた24時間365日の生活を支えることや、さまざまな困りごとを抱え孤立した人たちの自立と地域への参加を支援することにあるとしています。

安心システムユナイテッドは以下の2つの原則を掲げています。

2つの原則

  1. 事業所が属する日常生活圏域全体に責任を持ち、孤立しがちな高齢者、障がい者、生活困窮者などの地域生活の継続、地域生活者としての参加を支援します。(安心支援システム)
  2. 利用契約を結ぶ利用者の在宅生活をできる限り支えるために、インフォーマルなケアを含めて最期まで地域生活を継続できるよう「支えきる」ことをめざします。(安心ケアシステム)

設立総会冒頭のあいさつで、設立準備会座長である池田徹氏(生活クラブ風の村理事長)は、「本来の社会福祉の原点は『放っておけない』という気持ちである」と、制度に区切られずに非営利福祉事業者のあり方、地域社会のあり方を模索していく抱負を述べました。

各地域での先進的な事例報告 記念講演より

村城正さん設立総会後の記念講演では、呼びかけ団体の1つである社会福祉法人協同福祉会の村城正氏(理事長)から、協同福祉会が実践する「あすなら安心システム」の事例報告がありました。

「あすなら安心システム」は「安心システムユナイテッド」の2つの原則のモデルとなっている取り組みです。在宅で暮らす要介護者への定期巡回・随時訪問型介護看護を行ない、1日3回以上テレビ電話を用いて安否確認を行なうことで、24時間365日の生活を見守る「あすなら安心ケアシステム」や、定期的なランチやお出かけ企画の開催や買い物バス運行を地域で行なうことで、元気な高齢者が積極的に関わっていく「あすなら安心支援システム」の事例が紹介されました。また、ケアプランには「機械浴をしない・おむつを外す・トイレに座れる」といった項目を掲げ、在宅生活への移行を支援する体制が紹介されました。

村城氏は、こうした取組みを高齢者の日常生活圏域(歩いて20~30分で行ける距離)という限定した地域の中で高密度に続けていくことで「住みよい地域社会を実現したい」と述べ、そのためには社会福祉法人として「地域に丸ごと責任を持ち、持ち出し覚悟でやる」と熱く心意気を語りました。

秋山正子さん続いて、株式会社ケアーズ 白十字訪問看護ステーション統括所長の秋山正子氏から、国の在宅医療連携拠点のモデルにもなっている新宿区戸山地域の「暮らしの保健室」の取組みが紹介されました。

「暮らしの保健室」は、地域で気軽に医療や暮らしに関する相談を受けられる窓口があれば、という想いから、訪問看護士である秋山氏によって都営戸山ハイツの一角に開設されました。都営戸山ハイツは住人のおよそ2人に1人が65歳以上で、しかも全体の約4割はひとり暮らしです。

「暮らしの保健室」はこうした地域で、医療機関では対応できないさまざまな相談を請け負って解決のお手伝いをするほか、地域の人がふらっと立ち寄っておしゃべりし料理や手芸なども楽しめる交流の場、安心できる場としても利用されています。秋山氏は「自分で考えられる状態までゆっくり待って話を聴けば、ほとんどの人は自分の足で歩きだすことができる」と述べました。活動は相談員以外にボランティアスタッフや地域の人にも支えられており、相談者がいつしか自らボランティアを名乗り出てほかの困っている人の手助けをしている、というケースも紹介されました。

安心システムユナイテッドの今後の取組みと生活クラブ

今後、安心システムユナイテッドは、基礎自治体・都道府県・社会福祉協議会などに安心システムの説明を行ない、安心システムユナイテッドの趣旨に賛同する非営利福祉事業者を増やしていきます。また政策提言や安心システムをよりよい内容にするための研究大会などを行なっていきます。

また今回、生活クラブグループから呼びかけ団体として参加した3社会福祉法人の呼びかけにより「生活クラブ安心システム連合」を結成する動きが始まっています。今後は福祉事業に新たに取り組む単協や運動グループにも参加を呼びかけ、各地で運動グループが連携して生活クラブケアの実態づくりをすすめます。

*安心システムユナイテッドのホームページはこちらから>>

【2015年5月26日掲載】