生活クラブ活動情報

 活動情報一覧へ

「親鶏から国産」の鶏卵を食べて希少な国産鶏種を守る

 
 

将来、私たちの食料はますます外国への依存度を高め、農畜産物(第一次産品)の国内生産を続けるのが難しくなることも予想されています。
生活クラブ生協連合会は、将来の食料確保への危惧に対して、食料自給力を維持・向上させていくことを大きな「ビジョン」(展望)ととらえ、第一次産品=ビジョンフードの国内自給を支える対策をすすめています。
この10月、生活クラブ連合消費委員会メンバーの組合員3人が、埼玉県深谷市の鶏卵生産者「(株)生活クラブたまご」を訪問(注1)、生産者と「ビジョンフード産地推進会議」を開催しました。

(2015年10月20日掲載)

危機に瀕する「国産」たまご

鶏卵のパック詰め行程を説明する生活クラブたまごの吉野専務

スーパーの店頭などで販売され家庭の食卓にのぼる鶏卵は、100%が国産で輸入品は見かけません。しかし、その卵を産む鶏(採卵鶏)も含めれば、はたして「国産」といえるのでしょうか。

「(株)生活クラブたまご」の吉野訓史専務は、「日本では採卵鶏の96%は海外に依存しています。採卵鶏の販売事業者のほとんどは、採卵鶏の親(種鶏)をヒナで輸入しているのです」と明かします。
「日本に限らず、世界的に種鶏の生産はドイツとオランダの2社にほぼ独占されています。ですから海外で鳥インフルエンザなどが発生して種鶏の供給がストップすれば、日本で鶏卵の供給が途絶えるおそれがあります。現に2006年にはヨーロッパで鳥インフルエンザが発生し、国内の鶏卵生産に大きな影響が出ました」

鶏舎ごとに鶏卵が運ばれてくることを確認

それに対し、生活クラブが採卵鶏に指定しているのは、国産鶏種の「もみじ」と「さくら」です(注2)。何世代にもわたり国内で育種された鶏種で、生産履歴も明らかなうえ、日本の気候・風土に合わせた育種改良が積み重ねられてきました。

ところが、国産鶏種が国内の鶏卵生産にしめるシェアはわずかに4%で、「もみじ」と「さくら」の育種を行なう民間事業者は岐阜県の「後藤孵卵場」1社しかない状況です。
卵を産む鶏までを考えると、本当の「国産鶏卵」は危機に瀕しているといえます。

国が行なうべき育種改良事業を生活クラブがモデル化

 日比野義人社長後藤孵卵場の日比野義人社長は、組合員に次のように語ります。
「私どもは岐阜県に研究所があり、3万羽を飼養して育種改良をしています。しかし、海外の育種会社は実際に卵を産む鶏だけでも1万羽単位で飼い、そのデータをもとにさらなる改良をすすめています。規模では太刀打ちできないのが実情です」
そこで2014年度から、生活クラブたまごは実験飼養による生産データを後藤孵卵場に提供して育種改良に役立てる共同事業をはじめました。

「具体的には卵の重量など、鶏の日齢別のデータを後藤孵卵場に提供します。その膨大なデータをもとに次なる改良のポイントを検討し、『独立行政法人 家畜改良センター』とも連携して生活クラブの提携生産者が飼養する『もみじ』や『さくら』にフィードバックしていくのです」と日比野社長。本来であれば国が行なうような育種改良事業を生活クラブがモデルをつくって推進しているといえます。

生活クラブ生協・埼玉の副理事長を務める木下美由紀さんは「国産鶏種を追求する意義があらためてよくわかりました。加工食品でも生活クラブたまごの鶏卵を指定原料としているので、国産鶏種をすすめる政策を伝えていきたい」と述べています。

飼料用米が配合された鶏のエサビジョンフード産地推進会議では開放型の鶏舎を視察するとともに、エサについても、飼料用米の給餌割合が30%に増えたこと、トウモロコシや大豆かす、なたね油かすなどすべて遺伝子組み換え作物由来ではないことを確認しました。

将来にわたって安心して鶏卵を食べ続けるためには、日本の気候風土に合った国産鶏種を維持することが重要です。しかし国内の育種改良事業は危機的状況にあるため、これを支えるためにも必要なことは、国産鶏種の鶏卵の消費を増やす、つまり「食べる人」を増やすことに他なりません。

ビジョンフード産地推進会議に参加したみなさん生活クラブ生協・栃木の副理事長、早川幸子さんは「鶏卵をまだ予約していない組合員に呼びかけ、鶏卵が『ビジョンフード』である意味を広めていきたい」と述べます。横浜北生活クラブ生協・常務理事の三浦紀子さんは「これからクリスマス・正月用品の試食会などが開かれる時期なので、鶏卵をテーマにして呼びかけていきたい」と、予約して食べる人を増やす決意を語りました。

 

 

(注1)生活クラブ生協の鶏卵は、地域によって提携生産者が異なります。今回訪問した(株)生活クラブたまごの鶏卵を共同購入しているのは、東京都・神奈川県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・福島県の生活クラブです。

(注2)北海道および関西地方の単協の一部では、採卵鶏を国産鶏種に限定していません。