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国産鶏種の生産を支え続けるために 「はりま振興協議会」が育種改良のフィールドテストを始めます

生活クラブ生協が共同購入する鶏肉は、国内で3世代以上に渡る育種によって開発された国産鶏種「はりま」です。市場では鶏肉のほとんどが外国からの輸入鶏種である中、種鶏からの国内自給であることや、食味や飼養方法も日本の風土に合った鶏種として評価されてきました。この「はりま」の育種を維持し安定生産を継続するには、年間200万羽の生産と消費が必要だと見込まれています。ところが2015年度の生産・消費量は約166万羽でした。「はりま」を生産し続けることができなければ、国産鶏種が食卓から消えてしまうことにもなりかねません。そこで生活クラブ連合会も参加する「はりま振興協議会」では、年間200万羽を生産・消費できる体制づくりをめざして、さらに生産効率のよい育種改良をめざすフィールドテスト(育種改良試験)を4月から始めます。

国産鶏種の生産拡大のために

日本の鶏肉の自給率は約66%ですが、肉用鶏の種鶏(元になるひな)の98%は外国からの輸入です(イギリス:87%、アメリカ:12%、フランス:1%)。種鶏を輸入に依存している日本では、輸出国で鳥インフルエンザなどが発生すれば、すぐに鶏肉の生産ができなくなる可能性があります。実際、2014~15年にかけてアメリカで鳥インフルエンザが発生し、採卵鶏を中心に約5,000万羽(日本で生産されている羽数の半分近くの規模)が殺処分され、種鶏の生産をアメリカに依存する各国は大きな影響を受けました。

食の供給を外国に頼らず自給力を高めるために、生活クラブ連合会では「独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場」で育種改良される国産鶏種「はりま」を肉用鶏種として選び、20年以上にわたって共同購入してきました。
2005年には「はりま振興協議会」(*)を立ち上げ、生産技術の向上や消費拡大などの活動を進めてきました。

* はりま振興協議会
はりまの生産振興や普及についての意見・情報交換のため2005年に設立されました。
構成団体は、全農チキンフーズ㈱・群馬農協チキンフーズ㈱・㈱秋川牧園・オンダン農業協同組合・㈱イシイ・全国農業協同組合連合会・生活クラブ生協連合会です。オブザーバーとして独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場はじめ「はりま」の生産から流通・消費に関連する各社が参加します。

生産者自らが育種改良に着手

生活クラブの鶏卵(10個)しかし、国産鶏種「はりま」は、一般的な外国産肉用鶏(ブロイラー)に比べ、体重を増やすのに必要な飼料が多めで、出荷できるまでに十分に育つ個体の割合が減少する「育成率の低さ」が課題となっています。また、肉のうま味を出すために飼育期間も長くし、健康に育てるために十分に運動できる広さも必要です。これでは、大企業によって次々と育種改良されるブロイラーに比べて生産コストに開きが出てしまい、販売価格でも対抗できず消費が増えない結果となってしまいます。

昨年3月に農林水産省より発表された「家畜改良増殖目標」においても、とりわけ鶏卵・鶏肉は比較的安価で良質な動物性たんぱくの供給源であり、持続的で安定的な供給体制の構築は重要な課題との認識が示されています。国産の鶏の「強み」を出すため、国産鶏種を軸とした、多様なニーズにこたえられる、ひと味違う「鶏づくり」が重要とされています。

区切った鶏舎内一刻も早く生産効率のよい「はりま」への改良が急がれますが、育種を担う「独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場」の予算は削減されていて期待はできません。そこで「はりま振興協議会」では、育種改良のためのフィールドテストを生産者自身が行なうこととしました。

まずは生活クラブの提携生産者である㈱秋川牧園が、現在のはりま育成と同じ環境で、強健性(病気への耐性)・増体率の向上・育成率の向上をめざしたテスト飼養を2016年4月から行ないます。テストのために㈱秋川牧園の鶏舎の改良(複数品種を同時にテストするための設備)にかかる費用は、生活クラブ連合会の「生産基盤安定積立金」から拠出する予定です。

入雛した様子安価で低脂肪・高たんぱくの食材である鶏肉は、子どもの成長や高齢者の健康維持にとっても重要な食材です。その食材を国内で種鶏から生産できる仕組みを維持するためのチャレンジが始まります。

生活クラブ生協連合会はこのチャレンジを支え、国産鶏種「はりま」を食べる仲間を増やすことで、「はりま」の安定生産を将来にわたって保障する200万羽生産・消費の体制づくりをめざしていく考えです。

(2016年4月26日掲載)