生活クラブ活動情報

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子どもたちの甲状腺検査活動 2015年度の報告会を開催しました

東京電力(株)福島第一原発の事故による放射能汚染から「福島の子どもたちと知る権利を守る活動」として、生活クラブ生協は全国各地で組合員の子どもの甲状腺検査を実施しています。2015年度は全体で799人が受診し、その結果の報告会を7月23日に東京で開催し組合員ら約70人が参加しました。

検査活動により子どもの甲状腺の特徴が徐々に明らかに

木村庸子さん報告会では、生活クラブ連合会理事の木村庸子さんが「甲状腺検査活動は組合員からの復興支援カンパをもとに、2012年度から毎年実施しています。福島県が県民健康調査の一環として行なっている子どもの甲状腺検査の結果と比較するとともに、全国で健康に不安を感じている子どもの早期検診にする目的があります」と話しました。

続いて生活クラブ連合会の渡辺繁美企画課長が、2015年度の検査結果の概要を次のように述べました。
「2015年度に受診した799人のうち489人が通算で2回以上、検査を受けた人です。このように継続者が多いのが特徴で、その検査結果を通じて子どもの甲状腺は、のう胞や結節ができたり消えたりするなど、短期間のうちに変化する状況がみえてきました」。

過去4年にわたる生活クラブの甲状腺検査活動は、すべて道北勤医協・旭川北医院院長の松崎道幸医師の監修を受けています。

松崎医師松崎医師は「甲状腺がんはホルモン分泌の関係で、女性のほうが発生する確率が高くなっています。日本では子どもの甲状腺がん発生の男女比は、1:4強でした。ところが福島の県民健康調査の結果を男女比でみると、1:1.4~1.9になっています。福島の子どもの甲状腺がんは、自然発生だけでは説明がつかないと思います」と語りました。

また原爆被ばくによる健康被害がある程度明らかになるのに50年以上かかったと指摘し、「福島第一原発事故から5年しか経っていません。放射線被ばくの健康被害は、まだ一部しか表れていないと考えたほうがよいでしょう。甲状腺がん以外でも、死産や生後7日以内に死亡する『周産期死亡』の増加などに、今後注視していく必要があります」と語りました。

種市医師生活クラブふくしまでは2014年度から医師や医療機関の協力を得られるようになり、甲状腺検査を始めています。福島の組合員の子どもの検査を担っている種市靖行医師は、比較対象である福島県の県民健康調査についてこう述べました。

「福島県では現在2巡目の甲状腺検査が行なわれていますが、これまでに173人の子どもががん、もしくはその疑いがあると診断されました。予想外に多数のがんが発見されており、この事実を真剣に検討し対策を立てるべきです。また事故当時、高校生だった子どもから甲状腺がんが多く発見されていますが、受診率が低迷しています。この年齢層に対し受診率を向上させるための広報がぜひとも必要です」

2015年度生活クラブ生協甲状腺検査活動報告書(PDFファイル, 約210KB)

放射能汚染の問題を、自然エネルギーによる電気の利用にも広げよう

松崎医師、種市医師をパネラーにむかえ、生活クラブふくしま理事長の大津山ひろみさんをコーディネーターとしたパネルディスカッションは、会場からの質問をもとに進行しました。

福島第一原発の事故から5年が経過した現在も生活クラブが独自に甲状腺検査を行なう意義について、松崎医師は「生活クラブの検査活動によって、子どもの甲状腺は短期間のうちに変化する可能性がわかってきました。このような自然経過を明らかにすることはたいへん重要で、万が一、他の場所で放射能汚染があった時の基礎データとなります。できれば10年間は検査活動を続けたほうがよいと考えます。また福島以外のホットスポットと呼ばれるような地域でも、甲状腺検査を実施していくことを検討したほうがよいでしょう」と語りました。

福島や栃木県北部の組合員の子どもを2泊3日などの短期間、汚染の少ない地域で過ごしてもらうリフレッシュツアー(保養)の意義について、種市医師は次のように有効性を説きました。

「福島などの子どもたちは大好きな泥遊びや水遊びを禁じられて日々、ストレスを抱えています。精神的に解放され思い通りに遊べるリフレッシュツアーのような保養は、短期間でもたいへん意義のある活動です」

渡部常務理事報告会では最後に生活クラブ連合会の渡部孝之常務理事が「福島第一原発事故による放射能汚染と子どもの甲状腺がんの発生の因果関係が指摘される一方で、国は原発の再稼働を進めています。甲状腺検査活動でわかってきた放射能汚染の問題をアピールして、脱原発につなげていきましょう。また再生可能な自然エネルギーを広げる『生活クラブ電気』の利用者を増やしていきましょう」と述べて閉会しました。

生活クラブは2016年度も全国各地で子どもの甲状腺検査活動を行ない、検査結果がまとまりしだい報告書をWEBで公開する予定です。

【2016年8月22日掲載】