生活クラブ活動情報

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「認知症SOSネットワーク模擬訓練」を開催しました

認知症を理解し、地域で支え合おう


「驚かせない。急がせない。自尊心を傷つけない」の対応

「認知症」は、誰もがなり得る病気のひとつです。もし、認知症の家族や知人が出かけたまま戻らない時や、街で認知症らしき人を見かけた時、あなたはどうしますか?

9月24日、認知症の方への対応方法を学ぶ「認知症SOSネットワーク模擬訓練」が行なわれました。東京都西東京市の小学校体育館と周辺の住宅街を会場に、地域のみなさん、介護関係者、学生など110人が参加しました。生活クラブグループの「社会福祉法人・悠遊(ゆうゆう)」が主催し、今回で9回目となる訓練です。

実地訓練に先立ち、同市内の「泉町地域包括センター」の市川百合子さんによるミニ講座「認知症とは? 街で出会ったらどう接すればいい?」が開かれました。

「認知症は、まだ解明されていないことの多い病気ですが、緩やかな進行で生活を続ける人も増えていて、〝忘れても笑顔でいられればいい〟と受けとめられるようになっています。たとえば、認知症の方が道に迷っているときには『驚かせない。急がせない。自尊心を傷つけない』ということに気をつけた接し方が大事です。服装や態度が不自然だったり、危ない行動を取ろうとしたり、困っている様子の人には、ゆっくり穏やかに話しかけてみます。ひとりで対応しきれない時は、近所の人や地域包括支援センターにすぐに連絡して、周囲の人たちが協力しあって対応するように心がけましょう」。

街を歩いて「行方不明の認知症の人」を探し出す訓練

講座の後、参加者は10のグループに分かれて模擬訓練に移りました。各グループのリーダーに、西東京市の緊急メール配信サービスから「行方不明者の(模擬)情報」が実際に届き、その情報を手がかりに街を歩いて「行方不明者役の方」を探し出す、というものです。

あるグループに届いた行方不明者の情報は、「白いシャツに黒いズボンをはき、長靴をはいた70歳の男性。名前は泉太郎さん」。グループのメンバーは、表通りだけでなく狭い路地にも入ったり、家の前にいる人にも尋ねながら街を歩きました。好天に恵まれ、20分もするとかなり暑くなってきたが、なかなか発見できません。同じような服装の人を見つけても、長靴でなかったり女性だったり。「探すって難しいものですね」と口々に話しながら歩きます。

不安そうな様子の人がいたので、特徴は違っていても声をかけてみます。「孫の運動会に行こうとバスに乗って…」と応える男性は、どうやら自分がいる場所の認識があやふやなようです。「一緒に行ってみましょう」と語りかけて歩くことにしました。しばらくすると、この男性は別のグループが探している行方不明者役の方だとわかりました。

その後、交番の前を通りがかって中をのぞくと、情報と同じ身なりの男性が座っていました。「すみません。泉太郎さんですか?」と声をかけ、やっと行方不明者を発見! 安堵の表情が広がりました。

地域で見守るネットワークづくり

発見後は会場の体育館に戻り、グループごとに模擬訓練を振り返ります。

「もう少し詳しい行方不明者の情報がほしかった(女性・2回目参加)」、「実際に探した経験もあるが、難しい(男性)」、「70歳の人がどのくらいの年寄りなのかもわからなかった(学生)」、「街でそのような人を見かけても声をかけるのに勇気がいる(学生)」「探す気持ちが先走って、優しく声をかけるのは意外にできない(女性)」といった意見や感想が口々に出されました。

認知症が原因の行方不明者として警察に届けられた人数は、2016年には年間1万5,000人以上になり、4年連続で増加しています。思わぬ遠方にまで行ってしまうケースも多く、少しでも早く探し出すことで事故にあう可能性も減らせます。そのためにも、地域社会全体で認知症についての理解を深め、見守りあうことが大事です。

社会福祉法人・悠遊の鈴木礼子理事長は「このような訓練が各地で行なわれ、高齢になっても、認知症になっても、誰もが安心して暮らしていけるやさしいまちづくりの輪を広げていきましょう」と話しました。

【2017年10月20日掲載】