生活クラブ活動情報

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子どもの甲状腺検査の報告会を開催─子どもたちを放射能から守るため、甲状腺検査活動を独自に続けています

生活クラブは、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で被災した方々への支援を続けており、支援活動のひとつとして独自に子どもの甲状腺検査を2012年度から行なっています。このほど2017年度の検査結果がまとまり、その報告会を9月8日に開催。組合員など65人が参加しました。


検査結果がくわしくわかる独自の甲状腺検査

2011年3月11日に福島第一原発事故が起こり、広範囲な地域が放射性物質により汚染されました。このうち、放射性ヨウ素は今はもう検出されませんが、事故当初に拡散されたことで、甲状腺がんの発生が懸念されています。放射能による甲状腺がんは年齢が低いほどかかるリスクが高いとされ、福島県でも県民健康調査で子どもの甲状腺を検査しています。しかし、受診した子どもや保護者が必ずしも納得できる情報公開にはなっていません。そこで子どもを守るとともに、県民健康調査との比較や監視を目的に、生活クラブは毎年、甲状腺検査を各地で行なっています。検査結果はその場で医師から伝えられ、質問にもていねいに答えてもらえるので、検査を受けた子どもや親からも安心できると評価されています。

福島の現状を知る機会にもなった報告会

9月8日に開催した甲状腺検査活動報告会では、2017年度は745人の子どもが受診し、このうち127人が2012年度からの継続者だったと報告がありました。生活クラブのこれまでの検査で、子どもの甲状腺にできたのう胞や結節は短期間のうちに消えたり発生することがわかっています。検査活動を監修する道北勤医協・旭川北医院の松崎道幸医師は、報告会の直前に起こった北海道での地震のために参加できませんでしたが、「生活クラブの検査は福島県の検査よりも、小さな結節やのう胞をしっかり発見しています。ていねいに検査されている可能性を示しています」とのコメントを寄せています。

報告会では会津放射能情報センターの代表などを務める片岡輝美さんの講演を行ないました。「福島では、家を除染した際に出た汚染土が庭に埋められていましたが、現在はそれを掘り起こして他の場所への移し替える作業が行なわれています」と片岡さん。また、放射能を監視するために設置されたモニタリングポストを原子力規制委員会が撤去する方針を出し、多くの人が反対しているとの報告がありました。参加者にとって片岡さんの講演は、報道されることが少なくなった福島の現状を知る機会となりました。

写真:片岡輝美さん
 

ふだんの子どもの甲状腺データを集めておくことが重要

原発事故から7年半が経つなかで、放射能への意識はだんだん薄れています。一方、福島県の県民健康調査では、甲状腺がんやその疑いがある子どもは公表されているだけで202人に及んでいます(2018年9月現在)。子どもの甲状腺がんの発生は震災当初100万人に1人といわれていましたが、約2000人に1人という高い割合で発生している状況です。

講演に続いて行なった甲状腺検査活動の継続にむけた各地の組合員リーダーディスカッションでは、生活クラブ茨城の市原裕美さんが「検査をしていた子どもが成人して時間が取れなくなるなど、継続者が減っています。新たに子育て世代にも検査を呼びかけていきたい」と発言。また「子どもの甲状腺がんは増えており、福島では不安に感じる子どもやお母さんがいます。そんな方たちに寄り添う活動をこれからも続けたい」と生活クラブふくしまの加藤純子さん。生活クラブ神奈川の桜井薫さんは「協力してくれる医療機関を増やすことが課題でしたが、今年は他団体との情報交換することで新たに2病院と提携できました」と成果を語り、生活クラブ栃木の渡部加奈子さんは「原発事故はいつどこで起こるかわかりません。万が一に備えて、ふだんの子どもの甲状腺データを集めておくことは重要で、この価値を多くの組合員に伝えていきたい」と抱負を述べました。

写真:左より市原裕美さん 桜井薫さん 加藤純子さん 渡部加奈子さん

 

これからも甲状腺検査を行ない、結果を公開

チェルノブイリ原発の近隣国のベラルーシでは、事故から10年後に子どもの甲状腺がんの発生がピークを迎えました。放射能による子どもの甲状腺への影響は、まだわからないことがあります。だからこそ子どもを守るために検査を続けることが大切だと生活クラブは考えます。
 

報告会の司会を務めた生活クラブ連合会理事の藤田ほのみさんは、「放射能汚染は終わったこと、なかったことにしようとする動きがありますが、今日の報告会では放射能に苦しんでいる人がたくさんいることがわかりました。私たちはできること続けていく必要があると思います」と話しました。


生活クラブはこれからも甲状腺検査を行ない、結果を報告会やWebで公開していきます。

写真:藤田ほのみさん

★2017年度甲状腺検査活動報告書はこちらから(PDFファイル、A4版9ページ、約607KB)

【2018年10月1日掲載】